映画『ボヘミアン・ラプソディ』の史実と違う部分への考察、フレディの死の衝撃、そしてAIDS差別の記憶【追加収録あり】

11月24日はフレディ・マーキュリーの命日でした。 12月1日は世界エイズデーです。 ◆まとめの構成◆ ・字幕を監修された増田勇一さんの連ツイ 続きを読む
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増田勇一 @youmasuda

映画『ボヘミアン・ラプソディ』には、実際の歴史に忠実ではない部分がいくつかある。いくつも、と言ってもいいかもしれない。でもそこに文句を言う気にならないのは、事実関係をうまく繋げながら、限られた時間のなかで人物像やバンド像、時代背景を浮き彫りにしてみせてくれているからだ。

2018-11-12 11:18:39
増田勇一 @youmasuda

「あの時代にこの曲は~」とか「ここでの経緯が大事なのに端折られてる」といったことが作品自体の評価を左右するのは、ちょっとおかしい気がする。歴史映画じゃないんだし。それは単純に、観終わった後でファン同士が「そうそうそう!」と話しながら楽しめるネタになればいい。

2018-11-12 11:23:43
増田勇一 @youmasuda

今回、光栄にも『ボヘミアン・ラプソディ』の字幕監修を担当させていただきました。お褒めの言葉もたくさん頂戴し感謝しておりますが、そもそも風間綾平さんが作成された字幕自体がとても精度の高いもので、僕自身はそこにいくぶん調整の手を加えたにすぎません。この字幕の件は、また改めてどこかで。

2018-11-12 11:31:12
増田勇一 @youmasuda

『ボヘミアン・ラプソディ』のサウンドトラック盤が発売4週目にしてオリコンのアルバム・チャートでもトップ10入り(8位)を果たした。映画もサントラも、まさに世界中で大ヒット。2018年に、まさかこんな日が来るなんて!

2018-11-14 00:22:40
増田勇一 @youmasuda

ちなみにアメリカに目を向けると、『ボヘミアン・ラプソディ』のサントラ盤はビルボード誌最新チャートで第3位! 先週の25位から急上昇。

2018-11-14 00:28:04
増田勇一 @youmasuda

「おいおい、そこは事実と違うだろ」という何かを見つけたとき、それをみんなに知らせたり、それがどの程度知られていることなのかを把握したりしようとせずに、ニヤリと笑って心のなかで「さすが俺」と自分を褒めるのがマニアの悦びではないだろうか。それでみんな、楽しい気分であれる。

2018-11-16 09:16:40
増田勇一 @youmasuda

そこで「俺は本当のことを知ってるけど、まあいいか」という余裕が欲しい。今は知らずにいる人たちのうち、真相に辿り着くべき人たちはいずれそれを知ることになる。知らないからこその感動を奪う権利は誰にもない。

2018-11-16 09:23:48
増田勇一 @youmasuda

最近、どこのライヴ現場に行ってもかならず誰かしらから『ボヘミアン・ラプソディ』観ましたよ、と言われる。嬉しいことです。そして大概、「クレジットの文字、大きかったですね!」と続く(笑)。

2018-11-20 00:36:27
増田勇一 @youmasuda

BURRN! 1992年2月号の、目次にはない記事。 pic.twitter.com/fKThA7rUfP

2018-11-24 07:08:00
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増田勇一 @youmasuda

英国出張からの帰還後、「フレディ・マーキュリーの追悼記事を書いてくれ」という編集長からの指示があり、「エリック・カーのことも同等に扱って良いのであれば」という条件付きで引き受けた27年前、30歳当時の記憶。

2018-11-24 07:30:01
増田勇一 @youmasuda

そして今は朝刊を眺めながら『INNUENDO』を。

2018-11-24 07:30:43

※BURRN!(バーン)は、ハードロック/ヘヴィメタル、その中でも洋楽を中心に紹介する音楽情報系専門月刊誌。
Wikipedia:https://t.co/oGtEKKkVGd

※エリック・カー
1981年から死去までキッスのメンバーとして活躍。
1991年、心臓癌(英語版)のために死去(41歳没)。
Wikipedia:https://t.co/gDMpWloTb0

まじさん @mazy_3

『ボヘミアン・ラプソディ』で大きく史実と違うのは、フレディがAIDSだと診断されたのは、85年のライブエイドの後の87年。メンバーに告白したのは、ブライアンの証言から、88年前後だったと思われる。映画で改変したのは絶頂期で終わらせたかったと思うが、差別を描きたくなかったからかも知れない。

2018-11-20 14:17:50
まじさん @mazy_3

当時のAIDS差別は酷いものだった。 81年に米国で、後天性免疫不全症候群=AIDSの症例が初めて報告された。それからすぐに米国各地で同様の症例が報告された。原因不明の死に至る病の話は世界中を駆け抜けた。そして患者の共通点は、全員がゲイだった。

2018-11-20 14:17:57
まじさん @mazy_3

AIDSはゲイの病気というイメージが先行した。キリスト教団体は、乱れた肉欲の神罰だと叫び、ゲイ差別が増大した。同性愛者を見れば、プールや風呂、くしゃみなどで感染すると嫌厭された。原因菌であるHIVが発見されたのは85年である。→

2018-11-20 14:17:58
まじさん @mazy_3

多くのアーティストやアスリートがAIDSで亡くなった。また、ゲイをカミングアウトした著名人がHIV感染を発表し、そして程なく亡くなった事が、更に同性愛嫌悪を加速させた。サルの病気だった事から「人類最初の感染者はサルとヤッたゲイの黒人」という酷い噂も広がっていた。→

2018-11-20 14:18:00
まじさん @mazy_3

そんな中でキース・ヘリングやロバート・メープルソープ、リベラーチェらが亡くなり、世界を震撼させた。90年前後、激ヤセしたフレディ・マーキュリーの写真が報道され、AIDSが噂された。マスコミが真相を知ろうと殺到し、フレディとQueenのメンバーを苦しめた。

2018-11-20 14:18:01
まじさん @mazy_3

91年11月7日、マジック・ジョンソンがHIV感染を公表しNBAを引退した直後の23日、フレディがHIVで入院中だと新聞の小さな記事が出た。 その翌日、息を引き取ったと、NHKのBSのニュース速報が流れた。

2018-11-20 14:18:02
まじさん @mazy_3

当時、フレディがゲイだったと知らなかった者も多くおり、二重に驚いた人もいたようだ。また、フレディがゲイだったという事で、ファンに対する風当たりも強くなった。Queenのファンは同性愛者だからAIDSで死ぬと罵られた。→

2018-11-20 14:18:04
まじさん @mazy_3

その後、アンソニー・パーキンス、ジョルジュ・ドン、アイザック・アシモフ、ルドルフ・ヌレエフらも立て続けにHIVで命を落とした。 そんな時代に映画『フィラデルフィア』が公開。日本でもミドリ十字社による薬害エイズの被害者が、偏見により解雇されたりと、差別被害に遭われた。→

2018-11-20 14:18:05
まじさん @mazy_3

薬害エイズが問題になる以前は、性交渉以外の感染は余り知られていなかった。その為、配偶者に感染した時に、浮気が疑い、寄り添うべきパートナーが離婚するなど、多くの悲劇を生んだ。その為、自殺した者や、無差別に感染させんと、出会い系などを荒らした者もいた。→

2018-11-20 14:18:07
まじさん @mazy_3

当時、フレディの死から、AIDSの報道を気にする人は増えたと思う。特にQueenのファンは、AIDSを理解しようとした。AIDSと聞けばフレディを思い出した。正しいAIDSに関する知識に少しずつ耳を傾けてる人が増えて、浸透し始めたように思う。

2018-11-20 14:18:09
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