(新連載まとめ20)朝の三分小説～おかん〜(ホテルのレビューは見た方がいい編)

カメックスシ @agodenderu

おかん310 おかんは実家の食糧を凄い勢いで食べていた。 「姉さんフォッサマグナの戦士になったんだって、何考えてんだ」 「私はただ卵が欲しかっただけさ。それよりそろそろ松本へ戻ろうと思う」 「ならこれ持って行きな」 おかんの祖母安賀多モガが持たせてくれたのはロールキャベツだった。

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おかん311 「松本なら駒ヶ根市まで戻って駒ヶ岳を抜けたら木曽経由で帰れるぴよ」 という父の言葉を信じておかんは駒ヶ根市へ戻った。 「ねぇおかん、今まで描写とかなかったけど今日の宿はどうするの」 「既に楽天トラベルで予約してあるのさ」 「駒ヶ岳温泉旅館」そこが今日の宿だった。

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おかん312 「いらっしゃい」 受け付けにいたのはじいさんが一人である。 「予約してた安賀多です」 「あぁ予約、どれだったかな。う～んこれか」 とかなり迷いながら部屋の鍵を渡してきた。 チェックインを済ませ受け取った鍵で部屋に入ると中では煙魔神達がきな粉を燃やして煙を吸っていた。

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おかん313 「お前らどこの組のもんじゃ」 「うわっ養鶏場と間違えました」 「なんだ養鶏場の人か」 咄嗟の機転でこの窮地を切り抜けた。 おかんはフロントに殴り込んだ。 「じじいふざけんな、これどこの鍵だよ」 「ごめん間違えた」 おかんはちょっと高い部屋のルームキーを奪った。

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おかん総集編三十一 いつの間にか総集編が三十を越えていた。そんなに書いていたのかどこかで数字を間違えたのか。たまには総集編をやらないとナンバーがわからなくなりそう。 それはそう先日のアンケートの結果、典型的おかん読者像は謎の電波を受けたドラゴンボール好きの中年オス犬とか猫です。

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おかん314 「よかった、今度はまともな和室だ。少し古いけど」 「おかん見て、ユニットバスから味噌汁が出るよ」 ユニットバスの張り紙には 「大浴場を使ってください」 とだけ。そして、寝具にも 「気安く触れるな」 と人数分以外の布団にはトゲが生えていた。 「枕投げできねぇー」

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おかん315 おかんは改めて危機感を感じていた。 「うーんやっぱり不味そうだぞこの旅館」 「いやぁでも温泉とかあるらしいよ」 何気なく天井を見上げた時、天井に変なおっさんが張り付いているのに気付いた。 「なんだお前」 「いや、自分カブトムシなんでぇー」 「なんだオマェー」

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おかん316 おかんはロビーに電話した。 「なんか部屋に変なカブトムシみたいなのいるんだけど。すぐに来てくれ」 三分ほどしてホテルのじいさんが網を持って来た。 「よくいるんよねあいつ。とりあえず捕まえるね」 「ならば戸隠忍法虫心得」 男はハムスターほどの大きさになってしまった。

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おかん317 小さくなった男は昭明の裏に隠れてしまい姿をくらました。 「うーん、どっか行っちゃったね。出てきたらまた言って」 「おいふざけんな」 じじいは逃げるように去って行った。 「じゃあ僕も大浴場に行ってくるよ」 「ムーンライトさだみつまで、私を一人にしないでくれーッ」

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おかん318 ムーンライトさだみつは大浴場にいた。 「ボロボロの鏡に散らばった謎の毛、でかい蛾、ちょうどいい湯加減、う～ん、なんとも言えない風呂だね」 この後どうしようかと考えても何も思いつかないのでとりあえず風呂掃除を始めた。 その頃おかんは部屋の中で虫を探していた。

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おかん総集編三十二 安いホテルだと設備が古かったりするかもしれない。掃除があまりされてない事もあるかもしれない。部屋を間違えられたりするのもまだ許せる。 でも虫は本当に無理だし、部屋を替えてもらっても駄目そうな気がする。だって非常口のドア開けっ放しだし。 そんなホテルあるよね。

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おかん319 虫を探していたおかんが見つけたのはカブトムシではなくスイッチだった。 「楽天トラベルのレビューで☆１(最低ランク)をつけるスイッチ？これは神の裁きじゃぁぁ」 躊躇わずにスイッチを押すと天井からコンクリートが流れ込んで来た。じいさんの声がする。 「押したんだねそれを」

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おかん320 「コンクリートを止めるには反対側にある楽天トラベルで☆5を付けるスイッチを押すしかないよ」 「ふざけんな、でもドアとか窓も空かないしヤバイぞこれ」 「あぁやっぱり客の苦しむ姿は最高だね。これだからホテルはやめられない」 「こうなったらヤフー知恵袋に相談だ」

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おかん321 「とりあえず警察に相談するべきです」 「そんな状況になったのは自分の日頃の行いの悪さのせいでは」 流石知恵袋だけあってろくなアドバイスが来ない。 「気分転換にワカサギ釣りでもしたらどうかな」 「もうこれがベストアンサーでいいや」 おかんは床に穴を開けて釣りを始めた。

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おかん322 釣りなんかでいいアイデアが出てくるはずがなかった。 「釣りのバカヤロー」 おかんが全く見当違いの怒りをぶつけているとムーンライトさだみつが自分の部屋に戻り扉が開かないことで異変に気付いた。 「ヤバイよこれ」 「多分あのじじいを倒さないと駄目だ」 「じゃあ警察呼ぶね」

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おかん323 ムーンライトさだみつは仕方なくじじいの部屋を探し始めた。とりあえず怪しいのは一階受け付けカウンターの奥の部屋だ。 そこにはクリスタルの中に閉じ込められた人がたくさんいた。 「どうです、最近珍しく切手を今どき集めてる人を収集してみたんです」 じじいが現れた。

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おかん総集編三十三 今週分を読み返したら楽天トラベルとかヤフー知恵袋が登場していた。松本城攻防戦ではアフィブロガーとしてそれなりだったしおかんは結構ネットを使いこなしているようですね。 でもラインとかツイッターみたいなSNSはしてなさそう。 この違いは多分自分が得するかどうか。

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おかん324 老人とは言え敵は大人げない大人だ。小学生のムーンライトさだみつは格闘戦で劣勢となった。仕方なく持ってきたきな粉を煙幕にしてなんとか逃げ出した。 じじいが部屋を出るとロビーには部屋の鍵が散乱していた。 「そっかぁかくれんぼだねぇ」 じじいは一部屋ずつ訪ねて回った。

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おかん325 自由自在に鍵を生成することが出来る、それがじじいのキーメーカーと呼ばれる能力である。ホテル業者がこの能力を使うと鍵の管理が曖昧になる。 つまりじじいはどの部屋でも入り放題。ムーンライトさだみつを一部屋ずつ追い詰めて行った。 「おかしいねぇ、この部屋は空室のはずだよ」

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おかん326 「見つけたよ、君の様な少年は大好物なんだ、コレクションに入れてあげよう」 「ひぃぃぃ」 逃げ場のないムーンライトさだみつまであと一歩という所で 「今だおかん」 じじいの体が宙に浮いた。上の階からおかんに釣り上げられている。この部屋はおかんの真下だったのだ。

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おかん327 釣り上げられたじじいの前にはホワイトおかん。 「ようじじい、宿泊代をまとめて払ってやるぜ」 「やめろ、ムシケラが」 「無防備無抵抗の悪を容赦なく叩き潰す、こんなに楽しい事はないな」 ※これより先は朝の連続小説としての品位と公共性に配慮して一部省略となります。

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おかん328 後にじじいの身柄は駆けつけた警察に引き渡された。そして、駒ヶ岳にも朝日が差し込んだ。 「なんだよ全く休めない夜だったな」 「お腹すいたね」 「ソースカツ丼でも食べに行くか」 其の首は天竜川の河川敷に晒された。 「ホテルのレビューは見た方がいい編」完

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おかん総集編三十四 おかん達は駒ヶ根市でろくな目にあってませんが駒ヶ根市はソースカツ丼とかそばが非常に美味しかったりします。 また絶景スポットの千畳敷カールへもロープウェイで手軽に行けてしまうのです。 そんな楽しい街なので温泉旅行(まともな温泉もあります)に訪れてみてください。