(新連載まとめ21)朝の三分小説~おかん~(白のカール編)
おかん329 中央アルプスに広がる標高2600メートルの千畳敷カールへはロープウェイで行けてしまう。夏や秋には大地に広がる鮮やかな色彩を見せてくれるのだが、冬にはなんとも美しく、雄大な白銀の世界。 「しょうゆ雪は美味しいなぁ」 「僕はごはんが食べたい」 おかん達はそこにいた。
2017-02-13 06:59:03おかん330 「なぁムーンライトさだみつよ、こんな時に言うのもあれだけど犬飼いたくない?」 「本当にあれだけど、人間一人飼えないおかんに犬が飼えると思ってるの」 「いや、なんとかなるだろかわいいし」 「食事だって毎日カロリーメイトばっかり、僕のおふくろの味はもはやチーズ味だよ」
2017-02-14 06:56:04おかん331 「そこまで言うなら作ってやろうじゃないですか、おふくろの味ってやつをな。何がいい?」 「酸辣湯」 「えっ」 「サンラータン(酢と胡椒の中華スープ)」 「ああサンラータン」 「おかん解ってないでしょ」 「この雄大な千畳敷カールを見てごらん、些細な問題に思えるだろう」
2017-02-15 06:58:43おかん332 「千畳敷カールの雪景色は凄いけど酸辣湯とは関係ないよ」 「だいたい可愛くないんだよ、子供だったら子供らしくカレーとかナンとか言っとけばいいんだよ」 「それおかんの食べたい物なんじゃ。そもそも料理とか出来るの」 「これでも若い頃は(ゾンビの)天ぷら屋で働いてたんだぞ」
2017-02-16 06:55:15おかん333 「近くに食材が売ってたら直ぐにでも実力見せてやれたんだがなー、食材ないしなー、残念だなー」 「あったよコンビニが」 「あるのかよ、標高2600メートルだぞ」 そこでコンビニの前に繋がれているダックスフントを見つけた。 「なんだ、飼い主に待たされてるのかお前」
2017-02-17 06:53:43おかん総集編三十五 おかんが今度は関所と真剣勝負。女と子供対関所の因縁の闘いが木曽福島で始まる。長野四天王も巻き込んだこの騒動、最後に勝利するのは誰なのか。おかん木曽福島編は近日公開。
2017-02-19 17:14:22おかん334 「お前雪の中じゃ寒いだろ、これやるよ」 寒そうな犬を見かねたおかんはタオルをかけてやった。 「湾ッ」 「なんだここを掘れって?」 犬が示した場所の雪を掘ると大量の金貨が。 「すげぇ、犬って律儀で可愛い奴だなぁ」 おかんは目を醒ますと雪の中に倒れていた。 「えっ夢か」
2017-02-20 06:56:32おかん335 体温の低下で気絶していた様だ。 「僕達は気絶してたか」 「多分」 覚えているのは犬の可愛さだけだ。 「なぁムーンライトさだみつよ、こんな時に言うのもあれだけど犬飼いたくない?」 「本当にあれだけど、人間一人飼えないおかんに犬が飼えると思ってるの」 「白のカール編」完
2017-02-21 07:02:30