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バイオテック・イズ・チュパカブラ #7

翻訳チームによるサイバーパンク・ニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) ニンジャスレイヤー公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 続きを読む
ニンジャスレイヤー
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Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
第1巻「ネオサイタマ炎上」より 「バイオテック・イズ・チュパカブラ」#7 #NJSLYR
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
「モウン……」温泉旅館ニルヴァーナの薄暗い廊下を、ミニバイオ水牛のモウタロウがトボトボと歩く。ムギコに遊んでもらえない失望は、部屋の外への興味で数分間だけ打ち消されたが、人気のない旧館に迷い込んだ彼の心は、すぐに不安感に塗りつぶされたのであった。
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
ボームボームボームボームボーム……。年代ものの柱時計が鳴る。傘つきのタングステン・ボンボリがバチバチと明滅して、カモイにかけられた恐ろしいハンニャやテングのマスクを照らす。ザザー、ザリザリザリザリ……館内放送のレディオが混線し、反バイオ過激派団体のアジテーションに変わった。
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
「……バイオ生物は地球の癌なのです!ブルジョアのために作られたミニバイオ動物を御覧なさい!飼育するのにどれだけの自然破壊が必要だと思っているんですか!ミニバイオ動物を見つけたら囲んで警棒で叩く!囲んで警棒で叩く!囲んで警棒で叩く!囲んで警棒で……」洗脳的なフランジャー音声が続く。
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
「……モウン」モウタロウは不安そうに鳴いた。彼は人間の言葉を理解しない。少なくとも理論上はそのようになっている。かろうじて反応できるのは自分の名前くらいだ。だが、この旧館の不気味な静けさに恐怖を感じたのか、それともレディオ放送の意味を感じ取ったのか、彼はいつになく不安そうだった。
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
ムギコのところに帰ろう。ムギコに抱っこしてもらおう。モウタロウはそう考えて、今来た道を後戻りし始めた。だが、旧館の廊下はまるで迷路のように入り組み、彼を奥へ奥へと迷い込ませる。「…モウン」モウタロウは鳴いた。彼はか弱い生き物だ。ネコと遭遇しただけでも、致命的な命のやり取りになる。
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
と、見覚えのあるL字路。壁にかけられた印象的なヒョットコ・マスク。このまま進めば帰れるかもしれない。モウタロウが勇気を振り絞ってL字路の角に向かおうとした時……その先からギシッ、ギシッと、床板の軋む音が聞こえてきた。ムギコだろうか? とモウタロウは考えた。
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「……モウン?」その場に立ち止まり、モウタロウは鳴いた。すると、L字路の向こうの見えない場所から「……モウン(嘆く)」という言葉が帰ってきた。ムギコの声ではない! いや、それどころか人間の声ですらない! 直後、バチバチと電灯が明滅し、前方の壁に長く奇怪な影絵が映った! ナムサン!
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モウタロウは後ずさりした! ギシッ、ギシッという音とともに、謎の影が近づいてくる! 前かがみの二足歩行、丸まった背中、両手に備わった刃物のように長い爪、口から生えた蚊のような吸血器官、額の角、背中に垂れ下がる触手めいたもの……チュパカブラだ! 逃げろ! モウタロウ! 逃げろ!
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
ガガーン! ガガガーン! ショウジ戸の外で激しい雷が鳴り、青白い光が廊下を照らす!  「モウーン! モウーン!」 哀れ、モウタロウは腰を抜かし、もはや一歩も動けなくなってしまった! 指先の刃物を擦り合わせるカシャカシャカシャという音が、L字路の向こうから聞こえてくる!
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
その時、不意にモウタロウの真後ろから声が聞こえた。
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「ドーモ、チュパカブラ=サン……いや、チャベタ所長=サン。ニンジャスレイヤーです。やはりまだ言葉を話すだけの知性は残っているようだな」 ガガーン! ガガガーン! 激しい雷光に照らされたその姿をモウタロウが見上げると、「忍」「殺」と彫られた鋼鉄メンポが冷徹な輝きを放っていた!
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
ニンジャスレイヤーはモウタロウを後ろから持ち上げ、タンスの引き出しの中に入れた。そしてジュー・ジツの構えを取り、ゆっくりとL字路へ向かう。「ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン、チュパカブラです」暗闇の奥から声が聞こえた。それを合図に両者は駆け込み、L字路の角でカラテを激突させる!
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「モウン」引き出しから前足と顔だけを出していたモウタロウは、あまりにも激しいニンジャ同士の戦いに恐怖し、すぐに頭を引っ込めてタンスの奥に隠れた。正解だ。直後、無数のスリケンが乱れ飛び、タンスに突き刺さり、上に乗っていたコケシを破壊したのだから。
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「「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」」激しいカラテが火花を散らす! チュパカブラの吸血器官がニンジャスレイヤーの腕を貫通したが、もう片方の手が切れ味鋭いカタナのようなチョップを繰り出し、これを根元から切断した! 「グワーッ!」よろめくチュパカブラ!
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
好機を見逃すニンジャスレイヤーではない!「イヤーッ!」両腕がムチのようにしなり2発のスリケンが喉と股間に命中する!「グワーッ!」バイオエキスが飛び散る!さらに頭をつかみ強制オジギの姿勢を取らせたまま顔面を蹴り上げる!スパーン!スパーン!スパーン!「グワーッ!グワーッ!グワーッ!」
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
チュパカブラはのけぞって浮き上がりながらも、空中で姿勢を制御しバク宙に切り替え、壁と天井をスーパーボールのように飛び回る。「私は死ぬわけにはいかん!バイオテックの怪物チュパカブラとして、人間どもを恐怖に陥れ続けるのだ!」チュパカブラの鋭い爪がニンジャスレイヤーに迫る!
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーが狙い済ました斜め45度のポムポム・パンチを繰り出し、チュパカブラのダイビング攻撃を撃墜! タツジン! 艦載対空砲のごとき破壊力! しかも、負傷したチュパカブラの口元を狙う無慈悲な一撃だ! 「グワーッ!」チュパカブラの体がのけぞる!
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
好機を見逃すニンジャスレイヤーではない!「イヤーッ!」両腕がムチのようにしなり2発のスリケンが眼と口元に命中する!「グワーッ!」バイオエキスが飛び散る!さらに頭をつかみ強制オジギの姿勢を取らせたまま顔面を蹴り上げる!スパーン!スパーン!スパーン!「グワーッ!グワーッ!グワーッ!」
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
強制オジギの姿勢を取らせたまま、ニンジャスレイヤーは言い放つ。「オヌシはもはや人間ではない。チャベタ研究所長でも、汚染バイオエキスを浴びて生まれた悲劇の怪物チュパカブラでもない。オヌシはただのニンジャだ。どこまでも利己的な、ニンジャだ! ニンジャ、死すべし! イヤーッ!」
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
スパーン!スパーン!スパーン! 強制オジギのまま、チュパカブラの顔面に容赦ないキックが叩き込まれる! 眼に刺さっていたスリケンが蹴り込まれ、スーパーボールのように頭蓋内を切り裂く! 「イイヤアーッ!」ひときわ大きなカラテキック! チュパカブラの頭が飛び爆発四散した!「サヨナラ!」
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
「モウタローウ! ごめんね、モウタローウ!」ムギコは泣きじゃくっていた。父と母に付き添われながら、旅館中の廊下を探し回る。彼女は自分のずるさが嫌だった。最初にモウタロウがいなくなったのに気付いた時、脳裏をよぎったのは、「お父さんとお母さんになんて説明しよう」だったからだ。
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
しかし懐中電灯を持って廊下を歩き回るうちに、モウタロウが感じたであろう不安感に思いを馳せ、自然と涙が出てきた。モウタロウと初めて出会ったクリスマスの夜から今までのことが、いっぺんに頭に蘇って、思い出のひとつひとつが涙になってこぼれてきた。彼女は優しい子なのだ。
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「……モウン」小さな鳴き声が、廊下の先から聞こえた気がした。「聞こえた?!」ムギコが両親に聞く。「いや」「聞こえなかったわよ何も」。ムギコは反論する「聞こえた!」そして懐中電灯を持ってL字の廊下を駆けた。床にこぼれた緑色のネバネバしたものを踏み越え、タンスの引き出しを照らした。
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コメント

オスツ🍣 @alohakun 2011-05-01 02:06:16
バイオテック・イズ・チュパカブラ #1 http://togetter.com/li/121054
satakein:limbotemple @satakein 2012-09-24 16:51:50
ノスタルジアの疫病はカルトの武器だ。もはや退路無し。私は現在と未来にのみ生きよう。彼女はニューロンに誓った。#njslyr
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