アルター・オブ・マッポーカリプス #9

ネオサイタマ電脳IRC空間 http://ninjaheads.hatenablog.jp/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「BWAHAHAHAHA……MWAHAHAHAHA……ならば、よかろう」ならば、よかろう。サツガイはそう言った。ターミナスが失われ、そこにカノープスがいる。ならば、よかろう。そういう事だろう。サツガイはカノープスに触れた。(((ニンジャ!))) なにかが叫んだ。それは多重の声、地の底からの呼びかけだった。49

2018-12-26 23:48:20
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

マスラダは遥か下に銀色の「力」を感じた。頭上には黄金の立方体が無慈悲に輝きながら自転していたが、地下深くにあるその銀の石は不動であり、黄金の輝きに染まる事は決してなかった。(ニンジャ……)(ニンジャ……)(ニンジャ……)呻き声は怨嗟の声だった。(ニンジャ……)(ニンジャ……!)50

2018-12-26 23:50:38
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

怒涛めいて、その意識がマスラダの自我の拡散を妨げた。(ニンジャ……)(ニンジャ……!)呻き声に押し流されそうになりながら、マスラダは声を限りに叫んでいた。「サツガイ!」繰り返し、叫び続けた。「サツガイ!サツガイ!サツガイ!」(ニンジャ……)「サツガイ!」 51

2018-12-26 23:52:20
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

マスラダは己の鼓動を聴いた。床に手をつき、立ち上がった。目の前にはアユミが居た。サツガイの後姿が消えると、アユミは震えながらマスラダを見た。「カイ」アユミは血を吐いた。血ではない。それは煮えたぎる光じみた恐るべきエネルギーであり、今、アユミの中で爆発的に膨れ上がろうとしていた。52

2018-12-26 23:57:08
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(ニンジャ……!)(ニンジャ……!)(ニンジャが、我らを……)マスラダは己の中で渦巻く怨嗟の力に慄いた。アユミはもう一度マスラダを呼んだ。「カイ」瞬間的なヴィジョンがマスラダの脳裏を走る。それは恐らく、過去の類似の出来事の記憶を、彼の中の無数の声の一つが参照したと思しきものだ。53

2018-12-26 23:59:55
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

輝くニンジャが翼を広げると、無数の超自然光の腕がのたうちながら溢れ出、薙ぎ払う。触れられたモータルは抗うすべなく爆発し、その死は周囲の者に伝染し、さらなる爆発を引き起こす。四散したモータルは光の粒となり、ニンジャの糧となり、翼を羽ばたかせる……「カイ」アユミが言った。「殺して」54

2018-12-27 00:03:38
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(((これはヒカリ・ニンジャのコウ・リン・ジツ)))マスラダの内なる声が示唆した。(((ひとたび放たれればこの都市ひとつ容易に灰燼に帰すること必定!)))(ニンジャ……!)(ニンジャ……!)(ニンジャ……!)(((殺すべし!)))「カイ……殺して……!」 55

2018-12-27 00:09:17
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(((ヒカリ・ニンジャは自らのジツを弟子に伝承する事すらしなかった!何事だ?こ奴のジツはヒカリそのもの、まがいのワザにあらず……!)))「……!」マスラダには、出来なかった。彼は泣いていた。アユミは震える腕でカラテを構え、マスラダに襲い掛かった!「イヤーッ!」 56

2018-12-27 00:14:04
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(((ニンジャ!殺すべし!)))赤黒の炎がマスラダの全身を駆け巡った。マスラダは泣いていた。その赤い涙は頬を伝い、「忍」「殺」の文字を作り出した。メンポを。装束を。「イヤーッ!」マスラダはアユミの拳を左手で掴んだ。そのときには、右手が彼女の心臓を過たず貫いていた。 57

2018-12-27 00:17:06
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「よかった」アユミはマスラダにもたれ、囁いた。彼女のニンジャ第六感は、マスラダが彼女の力を止められると察知していた。マスラダが自身を殺せると理解した。アユミはマスラダを信じていた。「サヨナラ」アユミは爆発四散した。光の粒子がマルノウチ・スゴイタカイビルを満たし、衰滅した。 58

2018-12-27 00:21:06
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「何故、おれが」マスラダは膝から崩れ、呟いた。「何故、おれが、生きている」ナムアミダブツ。……ナムアミダブツ。 59

2018-12-27 00:24:29
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

座り込んだマスラダの背後、ニンジャスレイヤーが歩き進み、通過した。マスラダの記憶は赤黒の炎と化し、装束に吸い込まれた。彼は赤黒の炎を呼吸した。そのたび、経て来たイクサの影がニューロンに焼き付いた。「……わかったぞ」ニンジャスレイヤーは低く言った。目の前にサツガイ。睨む。 60

2018-12-27 00:29:12
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

何故アユミが死に、何故マスラダが生き残った?何故アユミの前にサツガイが現れた?理由などない。意味などない。だが、アユミはあの瞬間、あの場所に在った。マスラダは今もここに在る。ニンジャスレイヤーとして。そしてサツガイが居る。「おれはサツガイを知っている」 61

2018-12-27 00:33:49
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

土砂降りの赤い雨が降り始めた。ニンジャスレイヤーは地を蹴った。「イヤーッ!」サツガイがハッポースリケンを投じた。「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはチョップを真正面で振り下ろした。高速回転するハッポースリケンがチョップとかち合い、ギャリギャリと音を立てる。……断つ! 62

2018-12-27 00:36:36
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

左右に分かれて散ったハッポースリケンの残骸を越え、ニンジャスレイヤーはサツガイに到達!右拳!左拳!右拳を叩きつける!サツガイはタタミ3枚距離後退し、体内を駆け巡る破滅的カラテに堪える! 63

2018-12-27 00:38:31
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

赤い雨はニンジャスレイヤーの肩に落ちると蒸発し、煙となって装束に吸い込まれてゆく。前傾姿勢をとったニンジャスレイヤーのマフラー布は銀色の輪郭を燃やしていた。黒炎と混じり合う銀の炎に呼応するように、サツガイの身体の奥で、弱々しい輝きが明滅していた。それがゾーイだった。 64

2018-12-27 00:40:15