アルター・オブ・マッポーカリプス ＃１０

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「シツレイ！」ケイトーはサツバツナイトのカラテを躱し、間合いを取った。だがサツバツナイトは騙されず首を振った。「オヌシにはアイサツに応じる時間が十二分にあった。礼儀にもとるのはオヌシだ、ケイトー・ニンジャ＝サン」「……フン」鼻を鳴らし、オジギを返す。「クローザーです」　23

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「……イクサの礼儀は如何に。クローザー＝サン」サツバツナイトは半身になり、手招きした。クローザーは苛立たし気な溜息をついた。装束を緋色の稲妻が駆け……踏み込む！「イヤーッ！」「イヤーッ！」サツバツナイトは凄まじいチョップが胸を裂くコンマ1秒で躱し、ショートフックを打つ！　24

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「ヌ……」軽い打撃でバランスを崩したクローザーの小足を払い、さらに崩し、拳を叩き込む！「グワーッ！」クローザーは後退！「スウーッ……ハアーッ……！」マフラー布が呼吸にあわせ橙に燻る！彼らの肩越し、サツガイとニンジャスレイヤーは再び踏み込み、互いにカラテを繰り出す！　25

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「当然そのボーは返してもらう」サツバツナイトは言い放った。「そしてオヌシをニンジャスレイヤー＝サンに近づけはせぬ」「そんな事が出来るのかね？歴史浅きニンジャよ。この……クキキキキ……このケイトー・ニンジャに対し、カラテで上回らねばならんのだぞ……！」「片腹痛し」「ほざけ！」　26

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「イヤーッ！」足元に緋色の稲妻を残し、クローザーは襲い掛かった。サツバツナイトは横に避け、カラテを返した。サツバツナイトの装束が風圧で裂け、ナムサン、危うく薄皮一枚。そして紙一重の反撃もクローザーは躱していた。「イヤーッ！」二段蹴りが襲い来る！サツバツナイトはブリッジ回避！　27

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彼らの動きはもはやマイめいていた。ゼンすら感じさせるマイである。互いの打撃は死の寸前を常に通過する。サツバツナイトはクローザーの動きに拮抗している。彼の身体を限界を超えて動かすのは、背水の陣じみた傷ゆえであり、チャドーであり、怒りであり、決意である。決して後れは取らぬ……！　28

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「ゲーッ！」上空を三本足のカラスが羽ばたき、斜めに滑った。羽ばたくたびにカラスの羽根は散って飛び、そのひとつひとつが飛翔武器となって、地上の者達……大通りで戦闘する混成軍、あるいは空でヒャッキ・ヤギョと格闘するシャドーバージ、あるいはア、ウンと戦うザイバツ精鋭を援護する！　29

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「ウンッ！」目くらましじみた羽根のスリケンを受けたウン・ニンジャの動きはほんの一呼吸遮られただけだ。しかしダークニンジャにはそれで充分であった。ウン・ニンジャの右腕は肩を離れ、落下していった。大ツルギが斬り落としたのだ。苦しむウンを後ろに、クロヤギ・ニンジャの抱擁を躱した。　30

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「イヤーッ！」ロウ・ワンの秘儀を脱したパープルタコは命を振り絞り、決死の覚悟でジツを集束させる。クロヤギ・ニンジャの動きが鈍った。邪悪そのもののリアルニンジャは煩わしげにパープルタコを振り返る。「イヤーッ！」スパルトイがかかってゆく！ダークニンジャは中心球体に手を突き入れる！　31

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ZAP！ZAP！ZAP！その手に握られているのは、砕けたカタナの鍔元であった。妖刀ベッピンである。鍔元は球体内に侵入し、中をスノードームめいて狂い舞っていた破片に干渉し始めた。「今こそ我が手に戻れ！ベッピンよ！」　32

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「AAAAARGH！」クロヤギ・ニンジャはスパルトイの顔面をその手に捕らえ、力を込めて握り潰しにかかった。「アバババッ、アババババーッ！」「ンンンンン……！」それを寸前で止め、爆発四散を留めているのはパープルタコのジツだ！目から血を流し、翳した腕がねじれ始めた！「ンンンンンン……！」33

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「イヤーッ！」そこへ流星めいて降り注いだのは、パーガトリーのカラテミサイル！「AARGH！」背中に複数の光弾が着弾すると、クロヤギ・ニンジャは僅かにその握力を弱める。大ツルギが旋回し、クロヤギ・ニンジャを襲う。「AAARGH！」クロヤギ・ニンジャはスパルトイを投げ捨て、下へ流れ落ちた。34

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邪悪な黒い肉塊が地に落ち、肥った小さな無数の山羊となって、四方八方へ駆け去る。恐るべきリアルニンジャが今、この地より現世に解き放たれた瞬間であった。だが、今は。「ウンーッ！」「イヤーッ！」ファイアウィルムの竜がウン・ニンジャに喰らいつき、パープルタコへの攻撃を阻む！　35

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「アナヤ！なんとするか！」センド・ニンジャは憤慨するも、何ら力を持たぬ。「ハデス・ニンジャ・クランの徒！どうにか……アナヤ！」カシマールはインシネレイトの泥臭いカトン突撃に全力で応じるばかりだ！「醜いな」ヒャッポ・ニンジャは浮き石に立ち、戦場を眺めて嘆いた。「大義なきイクサだ」36

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「大義だと？」その背後に新たなリアルニンジャが降り立った。「気に入らんのォ……。お前の事は前々から気に入らなくてォ……門をくぐるお前の背中、必死こいて追ったわい。グフ、グフフ……」モモジ・ニンジャは殺気を溢れさせた。振り返るヒャッポの目がギラリと光った。　37

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「よかろう、ならば北の果てで納得ゆくまで」美剣士は軽蔑をあらわにモモジに応えた。モモジは太鼓めいた腹を掻き、メンポの隙間から黄色い息を吐いた。「グフフ……後悔するぞ」「貴様がな」二人のリアルニンジャはひらりと跳び、去った。「ナムサン……！」センド・ニンジャは唸った。　38

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ダークニンジャは球体の中に差し入れたベッピンの鍔元に、失われた破片を吸い集めてゆく。かりそめの刃が作られつつあった。これを以て刀身を回収すれば、あとは鍛え直すにせよ、いかようにも。「おのれ、おのれ」センドは更なる来訪者を期待する。それからサツガイを見る。　39

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「イヤーッ！」「イヤーッ！」「イヤーッ！」「イヤーッ！」サツガイはニンジャスレイヤーと打ち合っている。集中している。ヒャッキ・ヤギョなど眼中にないようだ。イクサはどうしたのだ、センドは考え、不意に思い知る、サツガイのこのヒャッキ・ヤギョ召喚の手引きには、さしたる意味がない事を。40

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門の核たるベッピンがダークニンジャに奪われれば、道は断たれる。「いかんぞ！」センドは鈴を鳴らし、続く者を急かした。「来たれ！地に満ちよ！」ゴーン。ゴーン。鐘の音は空に反響し続ける。カシマールはついに黒蛇でインシネレイトを捕らえ、右手に処刑のタントを影から作り出す。　41

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「手こずらせおって」カシマールのフードは焼け焦げ、骸骨じみた青白い顔があらわだった。「ド畜生がコラ……」インシネレイトは目を剥いた。「オニイサンが絶対黙ってねえぞコラ……俺はソウカイヤの宝……！とっととコロセッコラー！百回呪ってやるッコラー！」ハープーン飛来！「グワーッ！」42

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オールドストーンが投じた恐るべきカラテ砲はカシマールの胴体を貫いた。「イヤーッ！」インシネレイトは体温を数千度に上昇させ、ダイジャ・バイトを焼き切ると、カシマールの顔面を何度も殴りつけた。「ザッケンナコラー！スッゾコラー！テメッコラー！」「グワーッ！」　43

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地面に落下したインシネレイトはカシマールのマウントを取り、繰り返し殴りつけた。「イヤーッ！」「グワーッ！」「イヤーッ！」「グワーッ！」「何が過冬だッコラー！」「うらなり野郎コラー！」「グワーッ！」殴られ続け、カシマールが融解し始めると、「墓暴きの虫」達の動きが鈍ってゆく……！　44

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ゴギン、ゴゴゴゴ……。巨大モニュメントの刃のひとつに再び鎖つきの銛がかかった。「ゲーッ！」カラスは羽ばたいた。イクサの趨勢が決まろうとしている。しかし、混迷の度合いは何一つ減じていないのではないか。リアルニンジャに統制なく、しかし地に放たれてゆく。　45

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ザイバツの狙いはモニュメント中央の物体だ。あれを回収すれば撤退するに違いない。リアルニンジャの新規出現もその時点で止まるであろう。では、その後は。サツガイとニンジャスレイヤーはワン・インチで殴り合い、離れては異常な力を互いに行使し、また殴り合う。カラスは方向を変えた。　46

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「イヤーッ！」「イヤーッ！」「イヤーッ！」「イヤーッ！」クローザーの緋色の打撃を、サツバツナイトは躱し続けた。しかも躱すたびに、必ず打ち返した。さほどのダメージはないが、クローザーは苛立つ。そして打撃のたび、呼吸のたび、サツバツナイトはカラテの質を増している……！　47