アーサー・ウェイリー訳源氏物語が面白すぎる(1)

平凡社ライブラリー版です。1巻まとめ。
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あきのな@Skeb @akinona

『牛車』って英語だとどう約されてるかしらないけどこの物語の場合『Ferrari(フェラーリ)』になってそうだなって思いました

2018-03-07 07:58:08
あきのな@Skeb @akinona

ランボルギーニのボンネットに乗って(少女革命ウテナのアレ)夜更けの平安の都の大通りを疾走するプリンスGENJIのお話に変換されてきている

2018-03-07 08:25:35
あきのな@Skeb @akinona

というわけでみんな大好き『末摘花』まで来ました。不義密通だの幼女誘拐だのハイパーやりたい放題だった源氏の君だけど、ハイセンス恋文アタックも洒落た最先端宮中モードもGENJI謹製イケメンオーラもまるで通用しない化石レベルで時代から取り残されすぎた深窓の姫君(!)に苦戦を強いられています

2018-03-08 12:35:54
あきのな@Skeb @akinona

ウェイリー訳は源氏の君の外道感マシマシなので、すえちゃんがんばれー!そいつは魔性の男だ!まけるんじゃないぞーー!みたいな気持ちがすごい……

2018-03-08 12:39:27
あきのな@Skeb @akinona

恋のキューピッド役になる女房(源氏の乳母の娘さんなんだけど家庭の事情で末摘花宅によく宿泊してる娘さん)の大輔命婦さんが末摘花ー源氏に挟まれてめっちゃ苦心するんだけど「もし(末摘花さんが)源氏の君に恋をして、悲観にくれることになったらどうしよう」ってめっちゃ心配してるのが妙に印象的

2018-03-08 12:49:38
あきのな@Skeb @akinona

超絶ボロ家なのにいきなり災害級のイケメンが現れたもんだから家中大騒ぎしてるし末摘花さんも思わず鍵かけちゃうし、その鍵のかかったはずの扉を押し開けて入ってきたけど薄暗がりで目が慣れてくるにつれて「あっ……(やばい、美女じゃなかった…)」ってこそこそ退散する源氏の君最高のコメディアン

2018-03-08 12:57:26
あきのな@Skeb @akinona

で、「うーん今回はハズレだった…でもお手紙は出さなきゃ」ってそれとなくそれっぽい内容の文を送って、末摘花さんも頑張っていい感じじゃない文を返すんだけど、そのド下手な文を見て「こんな恋愛沙汰してたら彼女きっとトラブルに巻き込まれる…俺がなんとかしてやらなきゃ」ってなる源氏の君おまえ pic.twitter.com/fMzqEFJfZm

2018-03-08 18:25:54
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あきのな@Skeb @akinona

時代から取り残されすぎた没落貴族の家やその家の人達に漂う哀しさ、ありとあらゆるものが古ぼけて色褪せている中で源氏が見つめる真っ白な雪景色、髪だけは誰よりも美しいけど強烈すぎる容姿の無口な女、というあまりにも強烈すぎる世界……古語→英語→現代語になっても消えないこの確固たる描写力…

2018-03-08 18:58:24
あきのな@Skeb @akinona

昔ぼけーっと読んだ時は「藤壺さんなんだか大変そうだなー」くらいだったのに成長して世の中のあれこれ知った後に源氏物語における『義理の息子との不義密通の末に「天皇の子」を出産する妃』という瞬間最大風速が強すぎるパワーワードの本当の恐ろしさを知る『紅葉賀』

2018-03-09 21:42:05
あきのな@Skeb @akinona

それが全編とても雅やかな宮中行事、青海波の舞や冠を彩る紅葉や菊の花などといった色鮮やかで美しいものの描写と同時進行で綴られるのが恐ろしいところである。これは…罪深さがより際立つ……

2018-03-09 21:45:35
あきのな@Skeb @akinona

あと『末摘花』のコメディ回が当時いたかもしれないリアルタイム読者たち(?)的な人々からめっちゃ好評だったのか、それともこの美しさ&罪深さに書く側が(?)耐えきれなくなったのか、ここにもコメディが挟まれています。源典侍はなんだか妙にいい味出してて好きです。

2018-03-09 21:54:31
あきのな@Skeb @akinona

文字書きや絵師にちょっと伝えたいこの『美しい風景やものをしっかり描写することにより登場人物の持っている罪や宿命などといった昏い場所が大変際立ってすっげえいい感じになる』法則……難易度高いけど覚えておくといいことあるんじゃないかな、みたいなそういう……

2018-03-09 21:58:35
あきのな@Skeb @akinona

知性教養ほとんど申し分ないのに歳食っても色事だけは大好きで琵琶などでちょっとその歳には合わないんじゃないのみたいな若い子御用達ソング歌っちゃったりド派手な扇とか持っちゃったりとかで若い男どもをタジタジにさせるのなんか往年の女性ロックスターみたいだな!と思ってしまった源典侍さん

2018-03-09 22:03:41
あきのな@Skeb @akinona

美と罪が大変近い位置にある……知ってたけど……なんか改めて隅々まで読むとすごいな………まあこれも英訳からの邦訳だからあれなんだけどそれでも消えない美と罪がある……

2018-03-09 22:10:05
あきのな@Skeb @akinona

やっぱり人様の色恋沙汰に興味ゼロだった頃に「定番だし一応履修しよう」みたいになんとなく読んだのが失敗だったのでは…読んだはずだし色んなところで引用とか副読本とか関連美術あれこれ目にしてるはずなのに初読感がすごいぞ……まあウェイリー先生という外国人の眼を通してるってのもあるけど……

2018-03-09 22:19:52
あきのな@Skeb @akinona

などと一見真面目に感銘を受けてるように見せかけて頭中将と源氏の君の関係性(なぜかこの章ではめっちゃページ割かれて描写されてる)読みながら『あっこれBLでイケるやつだ…紫式部パイセンさすがやな………』って真顔で考えてしまったので別方面でもやっぱり罪深いと思いますこの作品

2018-03-09 22:28:49
あきのな@Skeb @akinona

頭中将が源氏の君とキャイキャイしてる時に『世間的には「品行方正ハンサム非の打ち所もない素敵な王子様だけどちょっとカタブツなのよねー」みたいな評価で通ってるけど俺だけはお前の本性知ってるんだからな?』みたいなこういうのなんかBLで見た気がするんだけど……ってなったけど通じるんだろうか

2018-03-09 22:43:15
あきのな@Skeb @akinona

『超絶美貌やることなすことチートレベルのハイスペック人間と、本人もそれなりの高スペックなのに親友の引き立て役になっちゃう(その引き立て役だけが完全無欠の相方のダメなところをよく知っている)』コンビ、みたいなやつ(アニメでもよくあるよね)の原型ってここだったりするのかなあ……

2018-03-09 22:50:21
あきのな@Skeb @akinona

ウェイリー源氏がやっと手元に戻ってきたので『葵』を読んでいます。愛と裏切りと嫉妬に満ち満ちた世界で鮮やかに執り行われる『まるで恋人の検閲に身をさらすかのようなコケットリーを費やし』『きらびやかで多彩なショー』(訳文ママ)光と影の明暗差にゾクゾクします

2018-04-03 07:55:19
あきのな@Skeb @akinona

おそらく私達ジャパニーズが想像している世界よりずっと明度彩度がパッキリくっきりした色鮮やかな『とある天皇の宮廷』の時代がアーサー・ウェイリーという人物の訳す翻訳の中に存在しているんだろうなあっていう

2018-04-03 08:01:41
あきのな@Skeb @akinona

ウェイリー訳源氏物語『葵』読んでるけど六条御息所(怨霊)の有名な歌「なげきわび空に乱るるわが魂を結びとどめよ下交ひのつま」が「結んでよ、スカートの縫い目がモールで飾られるように、絶望と孤独とが私の心から切り離してしまったこの切れ端を」ってなってて『んんん!!?!??』って顔してる

2018-04-04 20:29:15
あきのな@Skeb @akinona

@kuziranoko 平安時代の日本語→ヴィクトリア時代(くらい)の英語→現代の日本語、というミラクル三段跳びで読む源氏物語めっちゃやばいですよ……!(でもなんか面白いの)

2018-04-04 20:37:50
あきのな@Skeb @akinona

@syuiro やばいです!ほんとやばい!一旦英語になったせいか物語の筋とかザクザク面白く読めるけど和歌パートで『お、おう………?』ってなる!

2018-04-04 20:39:34
あきのな@Skeb @akinona

『葵』といえば例の牛車騒動や正妻葵の上の死去、六条御息所怨霊騒動から「お前この流れでか!」的に美少女若紫ちゃんと結婚しちゃう源氏の君も見どころなんですがウェイリー訳だとこの平安時代の婚礼の儀式で使われるお餅があろうことか『ピクニック・バスケット』で運ばれてきます(A.檜破籠)

2018-04-04 21:36:33
あきのな@Skeb @akinona

婚礼のお餅が入った『ピクニック・バスケット』の衝撃がすごすぎて、いきなり信頼してた男にうっかり抱かれて嫁になっちゃった(※大まかすぎる説明で申し訳ない)若紫ちゃんの衝撃がめっちゃ薄まってしまったのは痛恨の極み過ぎたのでやっぱり普通の源氏訳も読みたい

2018-04-04 21:51:43