即興羽根ッ娘化パンデミックSS【R-18】

タイトル見たら大体わかると思う
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深海さかな @dzurablk_kai

件の廃工場は、意外に綺麗だった。雑草はびこる敷地に入るまでは廃墟にしか見えなかったが、戸口に近付くと扉のノブや蝶番は最近まで使われていた形跡がある。外壁はサビだらけだが壁や屋根に穴も無い。裏取引には絶好のロケーションだ。 #突発羽根ッ娘ss

2019-01-05 22:10:11
深海さかな @dzurablk_kai

呼び鈴が見当たらなかったので、俺は深呼吸を一つすると扉を手荒く何度か叩いた。扉のすりガラスの向こうには小さな灯りが垣間見える。 誰かが、いる。 「こんばんわー、ウナギ百兵衛ですー! 注文もらってた出前の配達に来たんですけどー!」 #突発羽根ッ娘ss

2019-01-05 22:12:45
深海さかな @dzurablk_kai

こんな廃墟に夜分にいるのは、浮浪者か罪人か、はたまた亡霊。 だが浮浪者が開けっぴろげに灯火を点けることはないし、亡霊などはこの世に存在しない。結論、この奥にいるのは罪人ということになる。そんな相手に警察の名を名乗るのは下作の中でも更に下の下である。 #突発羽根ッ娘ss

2019-01-05 22:14:48
深海さかな @dzurablk_kai

そんな咄嗟の判断だったのだが。 『年末年始にウナギ食うヤツがいるの…』 耳元のイヤホン越しに、リサのそんな言葉が聞こえてきた。どうやら渾身の縁起がお気に召さなかったらしい。うるさいな、大晦日にオッサンが一人飯するドラマ観てからこの方、ウナギがずっと食いたいんだよ。 #突発羽根ッ娘ss

2019-01-05 22:16:43
深海さかな @dzurablk_kai

そのまま五秒が過ぎ、十秒が過ぎた。誰も出てくる気配が無い。再度、荒々しいノックをするも返答は無し。 一分が過ぎてから俺はリサとアイコンタクトを交わすと、けん銃を手に取り静かにドアノブを回した。鍵は掛かっていなかった。 #突発羽根ッ娘ss

2019-01-05 22:28:16
深海さかな @dzurablk_kai

扉を開いた先にあったのは、有り触れた事務室だった。無機質なスチール机が立ち並び、机上には几帳面にファイリングされた書類束がブックエンドに支えられ並んでいる。そしてそれらをベールのように覆う、分厚い埃の束。 「ねえ、これ…」 #突発羽根ッ娘ss

2019-01-05 22:30:58
深海さかな @dzurablk_kai

リサの声に振り返ると、彼女が指し示す先にはコーヒーカップがあった。規則正しくロッカールームのように無機質に並んだ机とは独立して、一つだけ置かれたその机は恐らく、管理職の誰かの席だったのだろう。 だが異様なのは、コーヒーカップと共に置かれていた皿や食品だった。 #突発羽根ッ娘ss

2019-01-05 22:32:42
深海さかな @dzurablk_kai

コンビニで売られているサンドイッチのフィルムの上に置かれたどす黒い三角形の物体は恐らく、半分ほど齧られたサンドイッチが放置され腐敗した成れの果てだろう。横に置かれている未開封のおにぎりも同じく、乾燥しきってミイラ化している。 #突発羽根ッ娘ss

2019-01-05 22:35:02
深海さかな @dzurablk_kai

まるで誰かが食事の最中に席を立って、そのまま二度と帰らなかったかのような、そんな光景だ。 俺はおにぎりやサンドイッチの成れの果てに手を触れないよう、注意深く懐中電灯で照らしながらそれら包装の消費期限を見た。日付は、ここを使っていた暴力団員が失踪した数日後だった。 #突発羽根ッ娘ss

2019-01-05 22:37:14
深海さかな @dzurablk_kai

「リサ、撃鉄を起しておけ。多分ここがグラウンドゼロだ」 その一言で、公私共に永い付き合いの相棒は意を解してくれたらしい。自動拳銃のスライドを静かに起す気配を察し、俺は更に歩を進めた。事務所の奥の部屋から、光が漏れている。誰かが、いるはずだ。 #突発羽根ッ娘ss

2019-01-05 22:42:52
深海さかな @dzurablk_kai

P230のマニュアルセイフティを解除し、スライドを手のひら全体で覆うように保持しながらゆっくりと引き、戻す。 リサが奥開きの扉向かって左側、蝶番側に立ちノブに手を掛けるのを待った後、静かに頷く。脳裏でカウントスリー。それがゼロになると同時に、リサが静かにドアを開いた。 #突発羽根ッ娘ss

2019-01-06 10:42:22
深海さかな @dzurablk_kai

「公安だ、全員動くな!!」 ドアの隙間に身を滑り込ませながらそう叫んだ俺の目に真っ先に飛び込んできたのは、肉だった。血抜きやワタ出し、皮剥ぎを終えた無数の牛肉らしき獣たちが、天井のフックから逆さに吊られている。 #突発羽根ッ娘ss

2019-01-06 10:45:40
深海さかな @dzurablk_kai

室温は外気よりも一段と低い。この工場は生きている。間違いなく誰かが密かに操業を続けていたのだ。 後に続いたリサがドアの裏をクリアリングした後、俺は右手側、リサは左手側に壁に沿って進み、規則正しく並ぶ精肉の列間を確認していった。 #突発羽根ッ娘ss

2019-01-06 10:49:51
深海さかな @dzurablk_kai

どこにも人気は見当たらない。だが気配はある。 俺はリサと再びアイコンタクトを交わすと、足音を立てぬよう足首に力を加えつま先から踵への角度を慎重にコントロールしながら、部屋の奥へと歩を進めた。まるでプレデター2の主人公の気分だった。 #突発羽根ッ娘ss

2019-01-06 10:52:13
深海さかな @dzurablk_kai

最初に彼女を見つけたのは、リサの方だった。 『マルタイ発見』 その声に左方を見やると、ちょうど肉の影で入り口からは見えなかった位置から、真っ白な鳥の翼が覗いていた。 「羽根族か」 「あなた、大丈夫!?」 リサが彼女に駆け寄る後から俺も続く。 #突発羽根ッ娘ss

2019-01-06 11:00:48
深海さかな @dzurablk_kai

背中に身の丈以上はあろうかという羽根を生やしたその少女は、真冬の夜の、それも精肉工場の冷蔵庫内であるにも関わらず、ほとんど全裸に近い状態だった。薄汚れた端切れのような肌着しか身につけていない彼女に、コートを脱いで肩から掛けてやる。 #突発羽根ッ娘ss

2019-01-06 11:03:26
深海さかな @dzurablk_kai

「あなた、名前は?」 「…リーチャ。リトゥーチャ・ムィーシ…」 色素の薄い肌や伸び放題の銀髪といった見た目に違わない、ロシア系の名前。それはつまり、彼女を異世界から連れてきた人身売買組織がロシアンマフィア絡みであることを意味している。 #突発羽根ッ娘ss

2019-01-06 11:05:32
深海さかな @dzurablk_kai

「他には誰かいるのか? 羽根族や、ここに連れてきた男たちは?」 少女は顔を伏せたまま震える手で部屋の奥に見える扉を指差す。 「男の人たち、もういない…」 「見捨てて逃げた後か」 「酷いわね…」 「早く他の娘たちも探そう」 「待って、彼女衰弱が激しい。先に保護しないと」 #突発羽根ッ娘ss

2019-01-06 11:08:57
深海さかな @dzurablk_kai

「わかった、先に彼女を連れて車に戻れ。応援も要請しといてくれ。俺は次の部屋に進む」 「…できるだけ早く戻るわ」 そこで俺とリサは分かれた。 今にして思えば、それが最初の過ちだったのかもしれない。その後に起きたことは、全ての終わりの始まりだった。 #突発羽根ッ娘ss

2019-01-06 11:14:41
深海さかな @dzurablk_kai

リサと別れた俺は、改めてけん銃を構え直すと、次の部屋に続くドアへと向かった。 その部屋は扉越しにも分かるほど、異様な気配を漂わせていた。無数の足音や金属の軋む音、翼が激しく煽られる音に、壁を爪で引っ掻く音。それらに混ざって聴こえてくるのは、無数の女性の嬌声だった。 #突発羽根ッ娘ss

2019-01-06 11:39:39
深海さかな @dzurablk_kai

大人数がいるであろう部屋にリサの援護も無く突入するのは得策ではない。そう判断した俺は扉を少しだけ開くと、隙間から中を窺った。 そこで繰り広げられていたのは、酒池肉林としか言えない光景だった。 背中に羽根のある少女や、イヌ科の獣を思わせる尖った耳に尻尾を持った少女。 #突発羽根ッ娘ss

2019-01-06 11:42:02
深海さかな @dzurablk_kai

彼女達が幾人も集まり、全裸で肌を重ねまぐわっていたのだ。 先ほどまでの冷蔵室に無数に吊られた牛肉の林と対を為すかのように、肉欲のままに同性どうしで交尾を続ける少女達。床には彼女たちの零した愛液や唾液がぬらぬらと薄明かりの中に光り、さながら酒池の如くであった。 #突発羽根ッ娘ss

2019-01-06 11:45:39
深海さかな @dzurablk_kai

唯一故事と異なる点があるとすれば、その場にオスの個体が一切いなかったことだ。代わりに羽根族の娘の何人かの下腹部には、たわわに実った乳房に似つかわしくない男性器が備わっていた。両性具有の彼女達はその凶器で他のメスを犯し、或いは犯されながら、歓喜に咽び悦んでいる。 #突発羽根ッ娘ss

2019-01-06 11:48:16
深海さかな @dzurablk_kai

そのあまりに異質すぎる光景に、俺はしばしの間、呆然と眺めるしかできなかった。だがよくよく観察していくと、乱交以上に奇妙な点がいくつかあった。 一つは、彼女たちが皆一様に、とろんと潤んだ目をしていること。逃げ出さないように麻薬でも打たれているのかとも思ったが、 #突発羽根ッ娘ss

2019-01-06 11:58:03
深海さかな @dzurablk_kai

それにしてはどうにも違和感がある。麻薬常用者は同じ薬剤を使用したとしても、テンションが上がるタイプと下がるタイプに二分することが多い。だが部屋の中の人間は皆一様にテンションが高いのだ。加えて、彼女たちは覚せい剤よりも性交の方を嬉々として求め続けている。 #突発羽根ッ娘ss

2019-01-06 12:00:42
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