個人情報保護の観点から見た『宮崎真・早野龍五論文』の問題点(2019.1.11作成)

34
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

なお、平成27年改正後の個人情報保護法36条以下では、匿名加工情報の作成およびその第三者への提供に関してかなり詳細な規制を設けています。福島県伊達市の個人情報保護条例には、これに該当するルールは存在しないようですが、本来は、個人情報保護法の改正に対応して条例を改正すべきなのです。

2019-01-11 01:20:04
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

この点については、単に、まだ市が対応できていないのだと思われます。従って、改正個人情報保護法の基本的なスタンスに従った場合でも、不完全な匿名加工情報は、それ自体が問題であるということになります。

2019-01-11 01:20:30
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

しかも、今回の研究の対象は被曝情報であり、被曝は健康に影響を及ぼしうる要素ですから、改正後の個人情報保護法2条や福島県伊達市の個人情報保護条例2条にいう「要配慮個人情報」に準じる扱いをすべきです。この点に照らしても、今回の事案における情報の提供は、かなり杜撰といわざるをえません。

2019-01-11 01:21:53

高嶌さんによる補足

TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

先日、私のツイートを、「個人情報保護の観点から見た『宮崎真・早野龍五論文』の問題点」としてまとめて頂きました。→ togetter.com/li/1307547  私見では、本件については、法的な観点からさらに補足しておくべき点があります。以下のツイートをご参照下さい。

2019-01-13 01:21:26
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

今回問題になっている被曝情報の外部提供事例については、現在、提供情報をもとに作成された論文内容それ自体に多数の重大な過誤があること、提供者の同意を得ていない等の点で研究倫理上も大きな問題があることが指摘されています。

2019-01-13 01:22:10
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

私も、これらの指摘は正当であると評価していますが、さらに法的観点からは、次の2点をきちんと確認しておくべきだと考えます。

2019-01-13 01:22:34
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

すなわち、本件における被曝情報の外部提供は、研究倫理規定違反のレベルにとどまらず、法的にも違法と評価される可能性が高いという点です。

2019-01-13 01:23:03
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

まず、個人情報保護条例との関係では、伊達市による情報提供が同市の個人情報保護条例違反であり違法と評価しうることは既に確認しました。

2019-01-13 01:23:41
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

しかし、条例に違反したとしても、直ちに被害者に損害賠償請求が認められるわけではありません。一般に、個人情報保護法や個人情報保護条例は、被害者の損害賠償請求を基礎づける規定を置いていないからです。

2019-01-13 01:24:16
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

被害者はこのような場合、個人情報保護条例や個人情報保護法ではなく、国家賠償法1条、民法709条、715条、719条等の規定に基づいて、加害者たる地方自治体や個人に対し、損害賠償を請求できる可能性があります。

2019-01-13 01:24:57
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

そして私見では、本件で既に明らかになっている事実、すなわち、被曝情報が提供者の同意なく個人を特定しうる形で第三者に提供されたという事実だけで、国家賠償法1条の違法性、及び民事上の不法行為に基づく違法性が基礎づけられると考えます。その理由は次の通りです。

2019-01-13 01:25:30
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

先に示したように、被曝情報は健康に大きく関わる点で「要配慮個人情報」に準じた扱いをすべきであり、民事上、被曝情報はプライバシー権の内容に含まれると考えられます。

2019-01-13 01:25:52
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

なお、診療情報とプライバシー権の関係一般については、高嶌英弘「医療における情報の意義と機能」加藤良夫編著『実務医事法第2版』第2章、及び同『医事法判例百選』〔2006年,有斐閣〕46頁、同「同意なきHIV抗体検査の違法性(中)」、法学教室(2006年11月号),47-51頁などを参照して下さい。

2019-01-13 01:26:52
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

また、条例に反して被曝情報を外部提供した公務員の行為は、プライバシー権侵害について故意または過失があると評価できますし、これを受領して研究に利用した研究者にも、同様に故意または過失があると評価できます。

2019-01-13 01:27:35
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

これらのことからすれば、本件事案においては、伊達市については国家賠償法1条の違法性、研究者については民法709条(一般不法行為)、719条(共同不法行為)の違法性が基礎づけられます。

2019-01-13 01:27:57
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

もちろん本件では、現在のところ、被害者に具体的な損害が発生していないか、あるいは発生損害額が希少であるため(プライバシー侵害に対する慰謝料)、このような法的問題点は顕在化していませんが、今後、被曝情報の漏洩によって、被害者がより大きい不利益を被る危険性もあります。

2019-01-13 01:28:36
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

また、個人情報保護条例違反は、民事上の違法性を基礎づける一要素になりますので、この点からも本件の違法性は重大であると評価できます。

2019-01-13 01:30:14
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

このような結論は、常識で考えても分かると思います。知らない間に、自分の被曝情報が第三者に提供され、しかも個人が特定される危険性すらあるという場合に、何も法的に問題がないと考える方がおかしいでしょう。

2019-01-13 01:30:49
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

このような結果を、学問の自由で正当化することができないのはもちろんです。

2019-01-13 01:31:18

内田 @uchida_kawasaki

2018.12.10【研究申請前に解析結果を公表〜伊達市の被ばくデータ | OurPlanet-TV】関連ツイートまとめ ♯早野龍五 togetter.com/li/1297502 上記まとめより、倫理指針に関するツイートを一部再録

2019-01-11 02:33:41
リンク www.mhlw.go.jp 研究に関する指針について 研究に関する指針についてについて紹介しています。 32
内田 @uchida_kawasaki

該当するのはこちらと教えていただきましたm(_ _)m 1 人を対象とする医学系研究に関する倫理指針 mhlw.go.jp/stf/seisakunit… twitter.com/uchida_kawasak…

2018-12-12 17:52:45
内田 @uchida_kawasaki

研究に関する指針について |厚生労働省 mhlw.go.jp/stf/seisakunit… 8 疫学研究に関する倫理指針 mhlw.go.jp/stf/seisakunit… ↑に該当?

2018-12-12 07:26:04