福井健策先生の国際契約注意書き
先週つぶやいた「国際契約を対等にしていく努力」。地味だが重要ポイントとして、裁判管轄の条項がある。もめごとがあった時にどこで裁判をやって解決するか、あらかじめ取り決めておく。
2010-04-06 19:57:04欧米から出てくるエンタテインメント契約書では、まず「もめたら相手の土地(ニューヨークやカリフォルニア)で裁判」と書いてある。(ちなみに、Twitterの利用規約にもそう書いてある。)
2010-04-06 19:59:41アメリカでの裁判を実際に想像してみよう。時差と距離と言葉の壁がある。経費は、ちゃんとやればすぐに500万円は突破する。多くのケースでは泣き寝入りを選ぶだろう。そんな約束を最初からするのである。
2010-04-06 20:02:28日本人は、「裁判などやらないから、大丈夫。話せばわかる」と前提したがる。しかし、もめた時の交渉ぶりや落とし所にだって、影響するのだ。だから、相手は管轄に徹底的にこだわる。
2010-04-06 20:04:17日本側は大事だと思っていないのだから、勝負は見えている。こういうときには、あきらめる論理だけは次々と出てくる。
2010-04-06 20:05:37よく聞くのは、「カリフォルニア管轄は国際スタンダードだから、のむしかない」という類のもの。国際派と言われる人ほど、こういうことを言う。
2010-04-06 20:07:45スタンダードなどないし、あったとしてもどうだというのだ。明治維新の頃は、欧米の植民地になるのがアジアのスタンダードだったのだ。
2010-04-06 20:08:55「準拠法はそちらにあげるから、管轄はこちらにくれ」という不思議なバーターが成功することもあります。RT @BigHopeClasic: こういうとき管轄を東京地裁、あるいはシンガポール国際仲裁センターとかに持っていくにはどうしたらいいのでしょう。
2010-04-06 20:23:39ただ、欧米、特に英米は管轄は本当に死守しようとするので、まずはこちらがどれだけ強い気持を持てるか。そしてこの点では横の連帯も大切でしょう。一社で戦っていても厳しいので、前例を積み上げる。
2010-04-06 20:27:40こうした引き出しをたくさん持つことが大切ですね。RT @takujihashizume: ネット上で仲裁が完結する日が来るのではと。以前 @tosawada さんともTLで話題にしたのですが> http://bit.ly/diujVl
2010-04-06 20:28:57これがダメならこれ。それがダメならこれは、と出していく。何かの改善が残れば、それが次の契約への足場になりますね。
2010-04-06 20:34:09これは、訴えたい側が相手の国に出向いて裁判をする条項、という意味ですか?それだと、こちらが契約を履行済みで相手がまだの場合には、必ずしも有利に働きません。RT @lichfieldgarden: 訴える側と裁判地を入れ子にする様交渉するはABCレベルかと
2010-04-07 09:17:27ただし、とりあえず相手国で突然裁判を起こされる!というリスクは減るので、訴訟という選択肢に行きたがらない日本側としては改善策ではありますね。 @lichfieldgarden
2010-04-07 09:20:43@fukuikensaku 管轄は、日本でも、東京か大阪かでは大きく違うので、できる限りクライアントの本社住所又は東京に寄せるよういしていますが、アメリカではそれとは比較にならない位インパクトを持っていそうですね。また、「横の連帯」の話はとても勉強になりました。
2010-04-07 00:52:42(同じ状況下で)欧米の裁判管轄をすんなり呑む同業者なんてほとんどいない、という状況が生まれると、かなり交渉は改善されると思います。RT @mktfry: 「横の連帯」の話はとても勉強になりました。
2010-04-07 09:27:13こうした横の情報交換や、いくつもの代替案の引き出しを持つことは無論大切だが、やはり一番大事なのは個々の交渉者の意思と粘りか。契約交渉にはありとあらゆる駆け引き、嘘、恫喝、幻想、打算が入り込む。王道はない。
2010-04-07 09:35:03頑張ってください!RT @hatako_biscuit: 交渉は不慣れで難儀なことだけれども、このお言葉は今のわたしにとって必要で、心に喝の入る言葉だった。頑張ります。RT @fukuikensaku:やはり一番大事なのは個々の交渉者の意思と粘りか。
2010-04-07 10:33:12最近の流行りは裁判を起こされる側の管轄国に裁判籍を設定するタイプではないですか?私のところに回ってくる渉外案件を見ていると@fukuikensaku ただし、とりあえず相手国で突然裁判を起こされる!というリスクは減るので、@lichfieldgarden /via
2010-04-07 09:58:58私が言いたかったのはこの論旨です。代理店契約のケースでRT @Hideo_Ogura: 最近の流行りは裁判を起こされる側の管轄国に裁判籍を設定するタイプ@fukuikensaku ただし、とりあえず相手国で突然裁判を起こされる!というリスクは減るので、
2010-04-07 10:20:23はい。それだとこちらが契約を履行済みで相手がまだの場合には、必ずしも有利に働かない、ただし改善策ではある、と書きました。RT @lichfieldgarden: 私が言いたかったのはこの論旨です。RT @Hideo_Ogura: 裁判を起こされる側の管轄国に裁判籍を設定するタイプ
2010-04-07 10:24:34例えば、こちらがライセンスをする場合ですと、相手の未払や利用条件違反が主な危惧で、こうした契約ではほぼ「海外に出向いて裁判をする条項」として機能する訳です。まあ、この提案自体、相手はしばしば抵抗するのですが。 @lichfieldgarden: @Hideo_Ogura
2010-04-07 10:32:25いいえ、こちらこそ。RT @lichfieldgarden: 確かに相手方によってはリスクがある事よく分かりました。ご教示有難うございました。
2010-04-07 12:23:35相手方の主たる財産が相手国にある場合、相手国に裁判管轄を置いた方がよいときがありますね。執行と保全の関係で。@fukuikensaku 例えば、こちらがライセンスをする場合ですと、相手の未払や利用条件違反が主な危惧で、@lichfieldgarden:
2010-04-07 11:22:49主たる書証がどちらの言語で作成されるのか、相手国の裁判制度(弁護士の腕や価格を含む。)はどうか、日本との国際司法共助はどうなっているのかも考慮要素ですね。@fukuikensaku @lichfieldgarden
2010-04-07 11:31:55