ユタちゃん情報

クレイマン氏によるユタ関連ツイートのまとめ、たまにフレウ(宝剣ツイートの漏れ有)。 2010年7月3日から2019年3月13日のものまで。
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クレイマン@一家 @clayman_nendo

ーーー数年前のある日、2人で不思議なものを見た。天使だった。教会のステンドグラスに描かれた天使そのものだった。 二人は驚いて、天使様は本当にいるんだ!と興奮しながら、その日は眠れなかった事を憶えている。 2人にしか見えない「それ」は、常に2人の近くを羽ばたいていた。いや、正確には……

2018-06-19 23:16:37
クレイマン@一家 @clayman_nendo

……冷たくなった妹を目の前に、変わらず佇む「それ」を睨みつける。 「……天使様じゃないのかよ」 それ、は何も答えない。 「お前……死神なのかよ……」 泣き腫れた黒目がちな瞳が、宙を浮かぶ「それ」を睨み続けた。 もう、「それ」が見えるのは彼のみである。

2018-06-19 23:19:37
クレイマン@一家 @clayman_nendo

妹が亡くなった次の日、簡素な葬儀を済ませてユタは孤児院を出た。「それ」もずっとついてくる。 妹が少ないお小遣いでプレゼントしてくれたバンダナを巻いて。 「連れて行くからな、ずっと」 少年は自分達だけがなぜこんな目に遭うのかを知りたかった。

2018-06-19 23:22:59
クレイマン@一家 @clayman_nendo

さらに数年が経ち、ユタは事の全容をなんとなく理解した。なんとなく、というのは、証拠になりそうなものが全て処分されていたからだ。 国は世界を滅ぼせるぐらい強力な兵器の実験をしていた。自分達の生まれた、あの村の「風上」で。そしてある日、その兵器の実験が失敗して”何か“が風に乗って来た

2018-06-19 23:26:58
クレイマン@一家 @clayman_nendo

「風」にのってやってきたそれは、ゆっくりと、そして確実に村に何かを蓄積していった。国はそれに気付いた時、外に知られてはマズいと考えた。 だから、村を消した。勘づいた大人達と共に。 子供達は……「経過観察」されていた。あの孤児院で。「貴重なサンプル」として。

2018-06-19 23:32:44
クレイマン@一家 @clayman_nendo

全てはユタの知り得た情報をまとめた推測にすぎなかった。 恐らくは、真実はすでにこの世に存在しない。 だが、もし推測が正しいのなら……あの日「貴重なサンプル」を見逃してくれた院長は、罪を悔やんでせめてもの償いをして許されたかったのかもしれない。 「…そうか…」 ユタはそれを見上げた。

2018-06-19 23:36:45
クレイマン@一家 @clayman_nendo

「それ」は相変わらず、彼の周囲を羽ばたいている。 死の天使なのか、それとも本当の天使なのか……その正体を知るのはもうちょっと後の事になる。 「……知りたいな」 彼は漠然と思った。彼にとって、それが根源的な欲求なのかもしれない。知りたい。生い立ちも、こいつの事も。

2018-06-19 23:40:02
クレイマン@一家 @clayman_nendo

ーーーそうして彼は世界中を旅するようになる。謎を探求し、真相に迫る為に。真実を知る為に。 スタンドというのか。こいつは。 名前がないと混同するな…… そうだな…… なら、今日からお前は「セインツ」だ ずっと一緒だからな …… 裏の社会はこうなってるのか 需要と供給だな……

2018-06-19 23:43:41
クレイマン@一家 @clayman_nendo

世の中変な連中ばっかりだな まあ悪いやつばかりでもない 弱いか不器用なんだな 依存心も強い それは俺も同じか おいおい、大丈夫か? なに?困ってる? ……仕方ないな、貸しにしとくぞ 明日の飯代のな

2018-06-19 23:46:00
クレイマン@一家 @clayman_nendo

ーーー198X年、シンガポール ユタは旅先で出会った奇妙なスタンド使いの後を追ってここに来ていた。 今、ここには「スタンドを使うヤバい連中」の中でも「相当危険な奴」がいるはずだ。彼の情報網はそこまで辿り着いていた。 「……ったく……自分で言うのも何だが、余計な性分だぜ」

2018-06-19 23:50:07
クレイマン@一家 @clayman_nendo

「きったねー!」 「臭い!ばっちい奴!」 路地の方からそんな声が聞こえた。 覗き込んでみると、路地裏の暗がりの中に一人座り込んでしくしく泣く少女と、その子に石をぶつけている子供達の姿があった。 「早くシンガポールから出てけ!」 それを見て、ユタはヤレヤレと腰をあげる。

2018-06-19 23:53:35
クレイマン@一家 @clayman_nendo

「おい、ガキども。なーにやってんだ?」 「わ!」 「なんだこいつ!」 突然覗き込んできたユタにいじめっ子達が驚く。 「女の子1人に寄って集って石ぶつけてんのか、男らしいこって」 意地悪に皮肉っぽく言ってみせる。それを聞いてバツが悪そうな顔をする少年達。 しかし1人が食ってかかった。

2018-06-19 23:57:02
クレイマン@一家 @clayman_nendo

「シンガポールは厳しい法律があるんだ!あいつはいっつも鼻たれてヨダレだらけ!おじさん知らないんだろ、この国では唾を吐いただけでも重罪なんだぞ!」 「そうだそうだ!エイセーを害する行為は犯罪だ!」 まわりの少年達も一斉に声を上げる。 その時、突風が吹いて少年達の鼻をくすぐる

2018-06-20 00:03:29
クレイマン@一家 @clayman_nendo

「ぶえっくしゅん!」 「ぐし……あ……」 みんな鼻を垂らす。 「……ほう、で、何が重罪なんだっけ?」 ニヤリと少年達を見下ろす。もちろん、セインツの仕業である。 いよいよもって立場が悪くなった少年達は、一目散に逃げ出した。 「……ったく、クソガキどもが」 ため息混じりに見送る。

2018-06-20 00:06:37
クレイマン@一家 @clayman_nendo

しくしく…… 少女の泣く声が聞こえてくる。 「おーい、大丈夫か?いじめっ子どもは追い払ったから、もう心配ないぞ」 ユタが声をかけるが、少女は一向に出てこようとしない。 「……おい、本当に大丈夫か?ケガしたのかい?」 路地裏の奥へと歩いて近づく。

2018-06-20 00:09:43
クレイマン@一家 @clayman_nendo

ユタはハッと血痕に気がついた。 「この血は!……あのガキどもめ!加減も知らないのか!」 急いで少女へと駆け寄るユタ。 「どこだ?どこをケガし……」 そこで言葉を切った……いや言葉に詰まった。 目の前にいる少女が、犬を貪り食っている。いや、血を吸っている。 「キシャアアアァアアァッ!」

2018-06-20 00:14:24
クレイマン@一家 @clayman_nendo

少女がユタに飛びかかった。 ユタは身を翻し、少女を路地の表へ、陽のあたる場所へ蹴り飛ばす。少女が奇声をあげながら溶けていく。 「あれは!やはりゾンビ!」 一瞬のことだった。ユタの意識が少女に向かい、ゾンビである事を目の当たりにし、一瞬それが何を意味するか考える瞬間。 腹を何かが貫く

2018-06-20 00:18:15
クレイマン@一家 @clayman_nendo

「が……?」 ユタの背後にいつの間にか、女が一人。その腕はユタの屈強な肉体を、まるでわたあめか何かのように容易く貫いていた。 「掛かったわね」 女が愉悦に微笑みながら、その腕から管のようなものを生やし、ユタの身体に繋いでゆく。 もがき苦しむユタだが、女の細腕はまるで鉄のようだった。

2018-06-20 00:22:04
クレイマン@一家 @clayman_nendo

「厄介な事を嗅ぎ回る……知ろうとする……そして伝えようとする」 女が管から何かを注入しているのを、ユタは感じていた。肉体が変質していく。 「これ以上、“引っ掻き回される”と困るのよね」 ユタはセインツを呼び出し、謎の女を狙う。しかし女はユタを軽々持ち上げ、遮蔽物代わりにした。

2018-06-20 00:26:20
クレイマン@一家 @clayman_nendo

「させはしない……お前にはメッセンジャーになってもらう。我が下僕として、運命に逆らう事が何を意味するかを伝える”実例“として」 暗く微笑む邪悪な笑み。 しかしユタは笑っていた。 「ぐぶ……くくく……」 女が不審に見上げる。 「何がおかしいの?」

2018-06-20 00:30:38
クレイマン@一家 @clayman_nendo

「…なんも…分かってないな……」 「? なに?」 「…何を…知ってるか……知らないが……」 セインツが大きく羽ばたく。 「!……無駄な足掻きはよしなさい」 ユタを盾にして女が怒鳴る。 「……だから……なんも……わかってねえ…… ……『それ』……は……俺の命令なんて聞いてねえ……!」

2018-06-20 00:35:12
クレイマン@一家 @clayman_nendo

その刹那、爆発的な真空の渦がユタと女を丸ごと吹き飛ばす。 ユタの抵抗にも微動だにしなかった女も、その勢いで壁に叩きつけられ瓦礫に埋もれ、相当なダメージを負っているようだった。 ユタは……笑っていた。 「死神か……天使か……知れなかったが……こいつは……俺の命令で動いてない……」

2018-06-20 00:40:00
クレイマン@一家 @clayman_nendo

ユタの死にかけの体にゾンビのエキスが回っていく。 女はひどいダメージを受けた事に必死で、すでにゾンビと化すユタの話を悠長に聞いてられるかと、あっという間にその場を逃れた。 「……」 知った情報を繰り返す。あの女に関わりそうな事。大事なフレーズ。 「運命の……奴隷……なるな……」

2018-06-20 00:43:57
クレイマン@一家 @clayman_nendo

……そしてユタは、死んだ肉体を「メッセンジャー」にして闇の路地を歩いていく。 知り得た事を伝える為に。ただ、それだけの為に。 ユタがゾンビになった後、セインツは消え去った。ヴァニラ・アイスがスタンドを失わなかったように、ゾンビ化してもスタンドは残るはずだが……知り得ない謎が残る

2018-06-20 00:48:30
クレイマン@一家 @clayman_nendo

はい!以上!めっちゃ長い!マンガに描いたら何ページこれ!?きつい!終わり!

2018-06-20 00:49:23
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