【書き起こし】特集「?なぜ人と人は支え合うのか?『こんな夜更けにバナナかよ』の映画化でも話題のノンフィクションライター渡辺一史さんと障害と福祉の観点から考える」2018年12月6日(木)放送分 TBSラジオ 荻上チキ・Session-22 #ss954

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橋本 至 @kid75

【音声配信】特集「?なぜ人と人は支え合うのか?『こんな夜更けにバナナかよ』の映画化でも話題のノンフィクションライター渡辺一史さんと障害と福祉の観点から考える」2018年12月6日(木)放送分 TBSラジオ 荻上チキ・Session-22 #ss954 ※整文・ケバ取り少々あり これより連投。

2019-01-25 20:24:25
橋本 至 @kid75

南部広美さん:「なぜ人と人は支え合うのか 『こんな夜更けにバナナかよ』の映画化でも話題のノンフィクションライター・渡辺一史さんと生涯と複視の観点から考える」。大泉洋さん主演の映画『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』が今月28日から全国公開されます。

2019-01-25 20:24:25
橋本 至 @kid75

この映画の原作となったのが、今夜のゲスト・渡辺一史さんが2003年に出版したノンフィクション『こんな夜更けにバナナかよ』(shopping.hokkaido-np.co.jp/book/products/…)です。『こんな夜更けにバナナかよ』は、札幌市内で在宅自立生活を送る筋ジストロフィー患者・鹿野靖明さんと、

2019-01-25 20:24:25
橋本 至 @kid75

24時間体制で支える介助ボランティアとの交流や葛藤を描いた作品で、渡辺さん自身もボランティアの一員となり、鹿野さんとその下に通う主婦や学生ボランティアたちの日常を丹念に描き、高い評価を受けました。

2019-01-25 20:24:26
橋本 至 @kid75

そんな渡辺さんが、今月あらためて障害や福祉の意味を問い直し、人と社会・人と人のあり方を根底から見つめ直す新刊『なぜ人と人は支え合うのか』を出版しました。そこで今夜は渡辺一史さんをスタジオにお迎えし、なぜ人と人は支え合うのか、障害や福祉の意味についてじっくり考えたいと思います。

2019-01-25 20:24:26
橋本 至 @kid75

では今夜のゲスト、ご紹介いたします。ノンフィクションライターの渡辺一史さんです。よろしくお願いいたします。 渡辺一史さん:よろしくお願いします。こんばんは。ご無沙汰しております。 荻上チキさん:よろしくお願いします。

2019-01-25 20:24:26
橋本 至 @kid75

南:では渡辺さんのプロフィールをご紹介いたします。渡辺一史さんは1968年、名古屋市生まれ。1987年、北海道大学入学と同時に札幌市に移り住み、大学中退後、北海道を拠点に活動するフリーのライターとなります。

2019-01-25 20:24:27
橋本 至 @kid75

重度障害者とボランティアの交流を描いた『こんな夜更けにバナナかよ』で大宅壮一ノンフィクション賞と講談社ノンフィクション賞をダブル受賞。その後、北海道の無人駅を切り口に地方が抱える問題に肉薄したルポルタージュ『北の無人駅から』(shopping.hokkaido-np.co.jp/book/products/…)でサントリー学芸賞などを

2019-01-25 20:24:27
橋本 至 @kid75

受賞。最新刊に『なぜ人と人は支え合うのか 「障害」から考える』(chikumashobo.co.jp/product/978448…)をちくまプリマー新書から出版された他に、『こんな夜更けにバナナかよ』が映画化。12月28日金曜日の公開を控え、話題となっています。

2019-01-25 20:24:27
橋本 至 @kid75

荻:自分が書いたルポルタージュが映画になるというのは、どういったお気持ちですか? 渡:このバナナの本を書いたのが2003年で、今から15年前なので、15年経って大々的に素晴らしい出演者の皆さんの下で映画化されるというのは私自身もびっくりで、はい。

2019-01-25 20:27:19
橋本 至 @kid75

荻:それと同時に書いていた、人としての姿、生きるとは何かということを問うこと、そうしたものは映像作品に主題として盛り込まれていたと思いますけれども、この間障害を巡っていろいろな議論が前進した面もあれば、いろいろな事件で問いかけてくるということも大きく続きました。

2019-01-25 20:27:19
橋本 至 @kid75

きょうは渡辺さんといろいろな観点から語り合っていきたいと思うのですけれども、まず今夜は渡辺さんがノンフィクションライターとしてどういった意識の下で取材をされているのか、最新刊『なぜ人と人は支え合うのか』の南部さんの朗読をお聞きいただきたいと思います。

2019-01-25 20:27:19
橋本 至 @kid75

南:『驚くほど忘れっぽい私たち。人は誰しも年を取ります。そして、いつかは必ず病気を患って医者にかかったり、あるいは他人のお世話になって生きていかなくてはならない時期がやってきます。しかし、こんな自明に思えることを、若い時や元気な時はついうっかり忘れてしまいます。

2019-01-25 20:31:37
橋本 至 @kid75

それは驚くべき忘れっぽさというしかありません。例えば、私は現在50代という年齢ですが、自分がまさか50代になるなんて、10代や20代のころには考えてもみなかったように思います。いやもちろん、頭ではしっかりと分かっていたのですが、まだずっと先のことなのだしと思って、

2019-01-25 20:31:37
橋本 至 @kid75

ほとんど真面目には考えようともしませんでした。さらにいうと、若さというのはときに傲慢で自己中心的なものですから、つい年長者に対して自分の若さを鼻にかけたような態度を取って辟易させるといった経験も、振り返ると山のようにあります。

2019-01-25 20:31:37
橋本 至 @kid75

年を取るのは年を取った人が悪いのだ、とうっかり口に出さないまでも、そんなことを上から目線で思っているところさえありました。今これを読んでいる若い人たちの中にも、恐らく私と似たところがある人はいるのではないでしょうか。

2019-01-25 20:31:37
橋本 至 @kid75

私はノンフィクションライターという仕事柄、取材で10代や20代の若い人たちにインタビューをすることがありますが、彼や彼女らの言葉の端々から「この人は、自分のことを永遠に若いと思っているのではなかろうか」と感じて、クラクラめまいを覚えるようなことがたまにあります。

2019-01-25 20:31:38
橋本 至 @kid75

しかしよくしたもので。想像よりずっと速いスピードで30代はやって来ますし、40代はさらにあっけなく来ます。そして、まさかこの私が40代どころか50代になろうとは、もう笑うしかありません。いまだにちょっと信じがたい気がするのですが、

2019-01-25 20:31:38
橋本 至 @kid75

結局のところ人間の想像力なんてその程度のものなのかもしれない、と我が身に照らしてそう考えたりもします。

2019-01-25 20:31:38
橋本 至 @kid75

さて、障害や病気というのも恐らくそうしたもので、元気なうちは「まさか、この私が」と思っているところがありますが、考えるまでもなく誰しも大病を患う可能性がありますし、突然の事故で思いがけない障害を負ったり、

2019-01-25 20:35:08
橋本 至 @kid75

結婚・出産で生まれてきた子どもに障害があったりということもないわけではないでしょう。また、40代から50代になると、親の介護問題というのも出てきます。親の介護問題は、切実に私の生活に影響を及ぼすことを考えると、それもまた私自身の問題です。とりわけ昨今では晩婚化や出産年齢の高齢化、

2019-01-25 20:35:08
橋本 至 @kid75

いわゆる晩産化に伴い、子どもが30代になるころには、親は既に60代から70代というケースが増えていることから、親の高齢化や介護問題を人ごととは言っていられなくなる時期はどんどん早まっています。要するに、若かったり元気なうちは、そうしたことに深く思いが至らないというだけで、

2019-01-25 20:35:09
橋本 至 @kid75

全ては自業自得。いざというときに慌てるのは、自分が用心しなかったことの報いであるともいえます。では、自業自得とか自己責任などと言って済ませてしまえばいいのかというと、そうではないはずです。私たちの社会は、個人や家族だけでは解決できない問題を社会全体で考え、

2019-01-25 20:35:09
橋本 至 @kid75

それらを社会的に解決し支え合うための制度を、長い年月をかけて築き上げてきました。その根本が、福祉とか社会保障制度と呼ばれるものです。日本では、福祉というとつい障害者や高齢者、あるいは生活困窮者といった特別な人たちのためだけのものと考えがちですが、

2019-01-25 20:35:09
橋本 至 @kid75

本来福祉や社会保障というのは、誰にとってもやがて来るその日のための大切な備えであり、心構えであるはずです。また将来の自分自身や、家族のための大切な保険であり、不安の少ない安定した社会をつくっていくための、有益な社会投資であるともいえます。

2019-01-25 20:35:09
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