黒田俊太郎『「鏡」としての透谷』読書メモ集

黒田俊太郎『「鏡」としての透谷――表象の体系/浪漫的思考の系譜』(翰林書房、2018)の読書メモをまとめました。
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荒木優太 @arishima_takeo

黒田俊太郎が最初の『逍遥全集』に手紙や日記といったプライベートな文書が所収されたことの画期を強調しているが、日本の個人全集においてこれが初めての書簡入り全集だったんだろうか。

2019-01-29 10:39:12
荒木優太 @arishima_takeo

島村抱月の純然客観の描写論には、先行して手紙文学への関心があった。メモ。

2019-01-29 10:45:17
荒木優太 @arishima_takeo

個人全集に手紙や日記が入るようになったインパクトは、現代だとTwitterやFacebookでの投稿を所収した全集の登場に相当するだろうな。果たしてその時代まで「全集」という制度がもつかどうかは疑問だが。

2019-01-29 10:50:26
荒木優太 @arishima_takeo

黒田本。円本企画が持ち上がったさい、透谷は売れないので一葉とセットで一巻にしようとしたら、寒川鼠骨が激怒して透谷要らんだろと激怒したそうだ(でも結局はセット案が通る)。透谷、哀しいやつ。

2019-01-31 12:39:19
荒木優太 @arishima_takeo

「プロレタリア文学は一見、透谷ー樗牛に連なる〈社会的自我〉の系譜に位置するようでいて、実は、透谷ー自然主義に連なる〈個人的自我〉の系譜に位置する心境小説の亜種に他ならないというのだ」(黒田俊太郎『「鏡」としての透谷』)。伊藤整を先取した佐藤春夫のプロ文批判要約。ウム。

2019-01-31 12:43:42
荒木優太 @arishima_takeo

黒田俊太郎『「鏡」としての透谷』読了。面白かったけど、三木清論がやや浮いている気がする。いかにも左っぽい三木のヒューマニズム論が〈日本的なもの〉を準備したのでは、ということで中河与一や保田与重郎とつながっていることは分かるのだが。

2019-01-31 12:48:20
荒木優太 @arishima_takeo

黒田本の白眉は、佐藤春夫と蔵原惟人という相性悪そうな二人が、同時代、ともに〈透谷〉に、功利主義や資本主義への抵抗を仮託し、近代からの脱出路を求めていく、というもの。すごい。

2019-01-31 12:54:59
荒木優太 @arishima_takeo

あと、中河与一の民族主義とマッチポンプな透谷会設立の詳細なレポートも重宝する。論文のときよりもパワーアップしている。

2019-01-31 12:58:28
荒木優太 @arishima_takeo

他方、飛躍の理論化は行動主義が喧伝していたベルクソンに由来しているのでは、とか、偶然論は大正期の小説において既にモチーフ化されている、とか、中河に関して私は黒田本とはやや異なる解釈をもっている。

2019-01-31 13:01:26