尾上先生の勉強風景 (13) ヴァンデンバーグ『エスニック現象』

ダーウィンのフォースが尾上先生とともにありますように
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尾上正人 @9w9w9w92

遺伝的でなく文化的な「エスニック・マーカー」のうち、服装・髪型・タトゥーなどの「エスニック・ユニフォーム」はエスニックな仲間とそれ以外を区別される「バッジ」として機能するが、真似や騙しに弱い。これに対して行動(言語を含む)のエスニック・マーカーは習得が難しく真似されにくい。p.33.

2019-01-31 15:46:50
尾上正人 @9w9w9w92

「言語はエスニシティと密接にリンクしている。エスニーは、少なくとも部分的には、発話共同体として定義されることが多い。…言語はエスニシティの究極のテストである。…母国語は親族の言語である」pp.34-5.

2019-01-31 16:00:09
尾上正人 @9w9w9w92

「エスニシティの存在理由…エスニックな(また人種的な)感情がしばしば不合理に思えるのは、底流にそれ自身の駆動力を持っているからであり、それは究極的には繁殖成功する遺伝子の無遠慮で無目的な自然淘汰である。身内びいきの行動を選好する遺伝子には、淘汰上の優位性がある」p.35 進化心理学的

2019-01-31 16:13:00
尾上正人 @9w9w9w92

「エスニックな(また人種的な)関係は、結局のところは、稀少な資源をめぐる競争からなる。…適応度ゲームで争う男たちの究極の稀少資源は、もちろん繁殖力ある女だ。…多くの種のオスはメスをめぐり個人的に競争するが…ヒトのオスは、互いの女たちを捕らえ惹きつけるべく集団として組織化する」38-9

2019-02-01 04:47:07
尾上正人 @9w9w9w92

エスニックな関係の4段階…「自給自足」の例としてヤノマミとマオリ、「貿易」の例としてバンブチとバントゥー、「共生」の例としてフラニ。p.41. pic.twitter.com/38C8cjt70A

2019-02-01 09:33:23
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尾上正人 @9w9w9w92

鉄斧の導入でジャングルを切り拓いて農地化、食料資源には困らなくなったのに、女児殺しや一夫多妻のせいで女が「最も稀少な資源」となり、それを求めて多村への襲撃や戦争を繰り返すヤノマミ。p.43.

2019-02-01 10:48:15
尾上正人 @9w9w9w92

マオリでは「ヨーロッパ人の征服までに奴隷はおそらく全人口の10%未満だった。大部分の戦争捕虜は殺され、捕らわれてすぐに食べられたからである」p.45.

2019-02-01 11:11:27
尾上正人 @9w9w9w92

マオリの食人(集団外食人 excannibalism)は、動物性タンパク源が極端に少なかったニュージーランドで、戦時の兵站問題の便利な解決策だったとみられる。p.46.

2019-02-01 11:42:03
尾上正人 @9w9w9w92

中央アジアの狩猟採集民バンブチ(いわゆる「ピグミー」)の女は、有力農耕民バントゥーに嫁ぐことはあったが、その従属的な関係から逆の婚姻の流れはなかったので、バンブチの男たちの適応度は下がった。p.52.

2019-02-01 13:16:43
尾上正人 @9w9w9w92

「バントゥーとバンブチの関係は、古典的な植民地の関係のおどけた再現のように思われる。バンブチが[バントゥーの]被征服民になることから救われているのは、彼らがこれまでどうにか大部分は経済的に自給自足して、森に住む習慣が逃げ場を与えてくれていることによる」p.53.

2019-02-01 13:49:32
尾上正人 @9w9w9w92

「全世界は今や、[エスニックな関係の]第4の段階[寄生 parasitism]にある」p.58.

2019-02-01 14:17:49
尾上正人 @9w9w9w92

「集団階層はヒトの進化において比較的最近の現象で…いわゆる新石器革命を伴った。…集団階層は国家と共進化した。…労働とその生産物のコントロールを通じて被搾取階級に寄生することによって、寄生階級のメンバーは組織化された暴力を、被搾取者を犠牲にした自身のより高い適応度に転化させた」p.60

2019-02-02 03:00:51
尾上正人 @9w9w9w92

「国民国家は、血縁淘汰ーー動物の社会性の最も根本的な基礎ーーによって正当化される。逆に、この正当性の基礎は多国民国家(multinational state)には利用できない」p.62.

2019-02-02 03:19:23
尾上正人 @9w9w9w92

「最初の国家が作られる方法は基本的に2つある。すなわち、外的には征服を通じて、内的には集権化を通じて。つまり、あるエスニーはその近隣を征服し、彼らに対して支配階級となり、かくして多国民国家を作る。またはエスニー内部で、個人ないし集団が次第に残りのエスニーに対して権威を確立する」63

2019-02-02 03:26:40
尾上正人 @9w9w9w92

(承前)「この2つの過程は別々のものであるが、しばしば相互補完的である。…実践的には国家は通常、外的征服と内的集権化の二重過程から現れると見なされる」p.63.

2019-02-02 03:29:05
尾上正人 @9w9w9w92

古くから既にあった国家が分裂・融合したり、国民が複数の国家に分かれたりしているヨーロッパの歴史よりも、現代のアフリカの方が、国民国家形成のプロセスを見る上では良いサンプル。p.64. マンサー・オルソンが中国軍閥を国家形成のモデルと見た(「移動強盗」から「定住強盗」へ)のに似ている

2019-02-02 03:43:36
尾上正人 @9w9w9w92

国家の萌芽となる村の首長権(chieftaincy)の基礎は、①宗教的カリスマ、②年功序列(seniority)、③一夫多妻。pp.64-5.

2019-02-02 04:01:41
尾上正人 @9w9w9w92

「政治権力から得られる最も初期の特権・恩恵の1つは、繁殖力のある女へのアクセスである。これは、支配者と被支配者の間で生活様式・食事・服装・消費・住まいその他のはっきりした違いが発達するよりずっと前に起きる。…要するに権力は、直接的に適応度、すなわち繁殖成功に転化される」p.65.

2019-02-02 04:06:10
尾上正人 @9w9w9w92

「なぜ複婚が<男>に特異な権力の報酬であるのかには、単純な生物学的理由がある。男は複数の妻を持つことで適応度を大きく増やすことができるが、女は一妻多夫であることから同等の優位性を引き出し得ないのである」p.65. これがいわゆるダブスタの基盤であり、また社会生物学的分析の真骨頂よな

2019-02-02 04:13:39
尾上正人 @9w9w9w92

一夫多妻は権力の報酬であるのみならず、権力基盤を強化・永続化する手段でもある…①親族集団の規模を大きくすることによって、②政略結婚(娘の交換)による他集団との同盟によって 「繁殖力はしばしば王位と結びついている。…年老いた王殺しは多くの君主制の共通の特徴である(フレイザー)」p.65.

2019-02-02 04:49:32
尾上正人 @9w9w9w92

超一夫多妻の王が諸部族と血縁で結びつき融和的なスワジランドと、搾取・対立を内部に孕んだルワンダ(支配者貴族ツチvs農民フツvsアウトカスト・ツワ)の例。pp.67-75.

2019-02-02 11:39:19
尾上正人 @9w9w9w92

「征服と支配はまず第一に、適応度の喪失を意味する。…数世代のうちに、この喪失は、エスニック集団比における深刻な人口学的変化に反映され得る。…しかし上昇婚戦略を選んだ女<個人>は、その子どもが支配集団に同化して上流集団の特権(一夫多妻を含む)にアクセスを得れば、適応度を得られる」75-6

2019-02-02 11:46:22
尾上正人 @9w9w9w92

(承前)「エスニックに階層化された集団における適応戦略のこの性的な非対称性はしばしば、従属集団<内>に性<間>の緊張を生み出す。女の、上昇婚を通じて適応度を最大化する選択肢は、従属集団の男たちからひどく恨まれる」p.75.

2019-02-02 11:49:49
尾上正人 @9w9w9w92

マルチエスニック国家の3タイプ。p.79. 「リベラル民主制[C]とは異なり、連合民主制(consociational democracy)[D]は、国家の政治的・法的構造におけるエスニシティを<制度化>する。公式にエスニーを認知するのである」p.82. pic.twitter.com/MkPSF3xy6t

2019-02-02 14:32:40
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尾上正人 @9w9w9w92

「コロニアリズムは、大規模になった帝国主義である。…コロニアリズムは、エスニック関係の厳格でカースト的なシステムの中に凝固された帝国主義である」p.85.

2019-02-02 14:40:53
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