#お好み焼き屋浜風 彼女たちのひよ子戦争編【艦これSS】

紅吏珠名 @chrishna_c2

「時雨姉さん。もう涼風のことを許してあげて。私たちは同じ白露型の姉妹じゃないですか！」 そこで涼風の前に踊り出てきたのは、五月雨だった。 「そこをどくんだ五月雨。僕は涼風と話を」 「涼風にひどいことをするのなら、代わりに私をぶってください」 #お好み焼き屋浜風

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「五月雨。あたいの心を癒してくれるのは五月雨だけだよう」 「よしよし怖かったね。もう大丈夫だよ。お姉ちゃんが涼風のことをあたためてあげるから。いい子いい子」 #お好み焼き屋浜風

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「五月雨」 「はい」 とすっ。 「はうっ」 「首筋に斜め四十五度からの手刀を受けて気絶してしまったっぽい」 「こう見えても僕は、対人格闘術の訓練を欠かしたことはない。異議のある子は順番に前に出て。反論のある子はもういないね？　じゃあ涼風に対する尋問を続けるよ」 #お好み焼き屋浜風

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…………。 ……！　……！ 「涼風もホントに強情だね。いったい誰に似たんだろう。このまま行っても平行線のままだ。お腹もすいてきたことだし、少しインターバルを挟もうじゃないか」 「てやんでぇばかやろーちくしょーめ。まだ続けるつもりなのかい」 #お好み焼き屋浜風

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「涼風。我が国の三大ご当地ラーメンと言えば何だか知っているかい？」 「ええと……豚骨、しょうゆ、みそ？」 「だいたい合ってるね。正しくは、博多、喜多方、札幌ラーメンの三つのことを指す」 #お好み焼き屋浜風

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「博多ラーメンの発祥についてはいくつか説があってね。ひとつは1941年開業された屋台『三馬路』の清湯をインスパイアした『博多壮』『赤のれん』らの手によって誕生した説」 #お好み焼き屋浜風

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「またひとつは、1946年に『赤のれん』津田茂が中国で食したスープを日本で再現し、『博龍軒』山平進が、かんすいによる麺を打ち上げたことによる合作説」 #お好み焼き屋浜風

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「もうひとつが、以前も話した1937年開業の「南京千両」がスープを考案し、当時親交のあった店長が1947年開業した屋台『三九」が偶然の調理ミスによって白濁豚骨スープが誕生した説だ」 #お好み焼き屋浜風

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「喜多方ラーメンは1927年。『源来軒』の藩欽星が中華麺に近い支那そばを打ち、屋台を引いたことが原点だとされている。そこからノウハウを継承する人々が増え始め、食堂が『支那そば』をメニューに出すようになったことから、『〇〇食堂』の屋号をつける店舗が多いのも特徴だ」 #お好み焼き屋浜風

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「醤油味の透明な豚骨スープが基本形だけど、店舗によっては豚骨ベースと煮干しベースを別々にしこんでブレンドするところもある。ベースも塩味や味噌仕立てなど作り方も千差万別だ」 #お好み焼き屋浜風

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「観光PRの一環として発足された『蔵のまち喜多方 老麺会』も有名だね。喜多方ラーメンで観光巡りをするなら、老麺会から不定期に発行される『老麺会まっぷ』を手に入れることも有効な手段だと言える」 #お好み焼き屋浜風

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「札幌ラーメンと言えば味噌ラーメンが有名だけど、多くの札幌ラーメン屋では醤油・塩・味噌味を提供してて、特段味噌ラーメンだけを指しているわけではないんだ」 #お好み焼き屋浜風

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「大元の元祖は中華料理店『竹家食堂』が1922年に始めた肉絲麺（ロゥスーミェン）と言われている。そこから当時の中華料理屋やラーメン屋が独自にアイデアを巡らせてはインスパイアを繰り返し、いまの形に至っているというわけさ」 #お好み焼き屋浜風

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「ラーメンの器に『喜』の文字が2つ並んだ紋様があったりするだろう？　これは日本では双喜紋と呼ばれていて、大陸では結婚式などの時の飾りとして使われることがあるらしい」 #お好み焼き屋浜風

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「また器によっては迷路のようなマークが描かれていることもあるけど、こっちは雷紋といって、雷の電流が渦巻いている様子を表した紋様なんだ」 #お好み焼き屋浜風

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「時雨の姉貴が食べ物の話をしだしたぞ。春雨の姉貴はどこいった？　いまのうちに作戦会議をしたい」 「春雨姉さんったら四ヶ町商店街に買い出しに行っちゃったのかしら？」 「玉屋デパート屋上の遊具施設で、わーいわーいしてるってメールが着たっぽい」 「あンのロリピンク」 #お好み焼き屋浜風

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「……ぱぱぁ。山風、ラーメンじゃなくてカレー食べたい」 「ああ、日本で二番目に辛いあのカレー屋さんかい？」 「……甘口じゃないとやだよ？」 「わかった。じゃあ僕は海軍さんのビーフシチューをいただこうかな」 #お好み焼き屋浜風

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「……半分こづつしよ？」 「うん。いいよ」 「わーい。ぱぱとデートするの大好きぃ」 「山風は山風で、提督さんと一緒に商店街までカレーを食べに行ったっぽい」 「あンのファザコングリーン」 #お好み焼き屋浜風

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「……へぇ。あたい達がいつも食べてる料理ひとつひとつに、作った料理人の魂がこめられてるってわけだ」 「涼風は賢い子だなあ。ご褒美に僕の分のチャーシューをあげるね」 涼風の頭を優しく撫でて、天使のような笑顔で、時雨は言った。 #お好み焼き屋浜風

紅吏珠名 @chrishna_c2

「へへっ。時雨姉ってなんだかんだ言って優しいじゃないか」 「ふふ。涼風にも僕の本心をわかってもらえて嬉しいよ」 「あたい。時雨姉を誤解してた」 「さて……腹ごしらえも済んだことだし、尋問の続きと行こうか」 頭のスイッチを切り替え、天使のような笑顔で、時雨は言った。 #お好み焼き屋浜風

紅吏珠名 @chrishna_c2

「時雨姉。さっきはラーメンで意気投合したばかりじゃないか」 「それはそれ。これはこれ。ラーメンとひよ子は別腹だよ」 「謝るなら今のうちだよ涼風。世の中には形だけでも謝っておいた方が良いことだってあるんだ」 「ちくしょうめ。あたいは何も間違ったことはやってねェ！」 #お好み焼き屋浜風

紅吏珠名 @chrishna_c2

「時雨の姉貴。それくらいで勘弁してやってくれよ。涼風も悪気があってやったわけじゃないンだしさ」 「……悪気があったらそれこそ大問題だよ江風。仮にだよ。君が、永遠に決着のつかない宗教戦争である、き〇こたけ〇こ戦争。そのどちらかの派閥に属していたとする」 「……ああ」 #お好み焼き屋浜風

紅吏珠名 @chrishna_c2

「もし君の大切な姉が、妹が、その対立宗派に属していたとしたら、君はどうする？」 「……刺し違えてでも、撃沈させる」 「良い答えだ」 #お好み焼き屋浜風

紅吏珠名 @chrishna_c2

「ああ、江風。ああ、あぁああ……」 「海風。君はどうなんだい？」 「時雨姉さん。涼風もこうして反省していることですし、そろそろ許してあげてください」 「海風。仮の話だよ。君に想い人がいたとする」 #お好み焼き屋浜風