クルセイド・ワラキア ＃７ 後編

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

レッドドラゴンの裏拳！「イヤーッ！」「グワーッ！」ショートフック！「イヤーッ！」「グワーッ！」再びの裏拳がサツバツナイトに命中し、彼は血を吐いた！「イヤーッ！」「グワーッ……！」サツバツナイトの視界が、揺らぐ！もはやこれまでか！？　22

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だが、サツバツナイトのニューロンは未だ曇ってはいなかった！（（（フジキド……）））サツバツナイトの脳裏に、ドラゴン・ユカノの言葉が蘇り、響く……！（（（フジキドよ……覚えておくのです……）））　23

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（（（ブラドニンジャ・クランのカラテ奥義は、心臓串刺しめいた貫通チョップ突き、即ちインペイラー・ツキです。かつて彼は、この技により無数のトルコ兵を殺して高々と掲げ、串刺し公として名を馳せました。強敵と相対したならば、彼は必ずやこの技をフィニッシュムーブに選ぶでしょう……！）））24

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「イイイヤアアアーーッ！」ブラドは上体を捻り、心臓貫通を狙った全力の手刀突きを繰り出す！だがサツバツナイトもまた、かッと目を見開いた！岡山県の険しい岩山の高みでユカノとともに行った対ブラドニンジャ・クラン用集中カラテトレーニングの体捌きがフジキドのニューロンに雷撃の如く蘇る！　25

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「イイイヤアアアアアーーッ！」サツバツナイトは再び、寸分の狂いも無いカラテブロック、即ちサツキを繰り出した！SWAAAASH！業物のブレーサーに覆われたサツバツナイトの左腕は、苛烈な火花とともにレッドドラゴンの手刀を、弾いた！　26

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「馬鹿な！」「インペイラー・ツキ、破れたり！イイイヤアアアーーーーッ！」サツバツナイトは意趣返しめいた心臓杭打ちチョップ突きを繰り出した！「グワーーーッ！？」深い！チョップ腕は鎧ごとブラドの体を貫く！「お…のれ……！」ブラドは目を剥き、吐血！並のニンジャならば明らかに致命傷！　27

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「GRRRRRR！」だがブラドは獣じみた唸り声を上げ、サツバツナイトの腕を掴んで、恐るべき膂力でそれを胸から引き抜くと、再び、至近距離の打ち合いに持ち込んでみせたのである！「余を侮るでないぞ！真のイクサはこれからだ、サツバツナイト＝サン……！イヤーッ！イヤーッ！イヤーッ！」　28

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「ヌウーッ……！」サツバツナイトは敵の連打を辛うじて捌きながら、唸った。今回は確かに致命打を浴びせたはず。だがブラドは既に胸の傷を塞いでしまった。ナラクの炎があれば、あのまま焼き払えたやもしれぬ……ではサツバツナイトたる彼は、果たしてこの夜の怪物を如何にして倒せばよいのか！？　29

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バッ！バッ！バッ！ゴジュッポ・ヒャッポ！両者は目にも留まらぬワンインチの攻防数十発！不可避のクライマックスが迫る！「「イヤーッ！」」両者は同時にヌンチャクを踏む足を離し、大技を繰り出し合う！大鎌めいた両者の蹴り足は、ともに三度、空を切る！ヌンチャクが互いの目の高さまで浮かぶ！　30

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両者は相手に渡してなるものかと、右腕を伸ばし、ヌンチャクを掴み取った！二人は柄の片方ずつを握り、引き寄せ合う！サツバツナイトとレッドドラゴンは、ブレーサーに覆われた互いの右前腕部をクロス状にぶつけ合わせる形となった！　31

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「「イヤーッ！」」ブレーサーの激突とともに両者は床を強く踏みしめ、そのカラテで、玉座の間の大気は波紋状に揺れた！凄まじいカラテ圧の突風によってツインテイルズたちはラグドールめいてごろごろと床を転がり、壁際に押し付けられた！　32

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「見事なワザマエだ、若きリアルニンジャよ……！その言葉に嘘偽りはないようだな……！」ブラド・ニンジャは左手の甲で己の口元の血を拭い、残酷に笑んだ。「貴様のカラテで口直しをするとしよう。モータル以下のニンジャもどきばかり相手にしていては、余のカラテが鈍るゆえ……！」　33

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「ブラド・ニンジャ＝サン、これほどのジツとカラテがあれば、オヌシはこの国を雑作もなく支配できたであろう……！何故そこまでヌンチャクに固執し、己の力を誇示しようとする……！？」　34

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「決まっておろう！余の領域と民を守るためよ……！俗世を逃れて山野に隠れ、国を持つ気概などないドラゴン・ニンジャには、到底理解できぬであろうがな……！」　35

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やはりブラドのカラテは強大無比。このままでは圧し潰される。……だがこのカラテ均衡は、対等な立場でワラキアの王と対話を試みる最後のチャンスでもあった。故に、フジキドは賭けに出る。「成程、ケイトー・ニンジャは、如此オヌシを言いくるめたか」「何だと……？」ブラドは片眉を吊り上げた。　36

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「オヌシは謀られていたのだ、ブラド・ニンジャ＝サン。他ならぬケイトー・ニンジャにな。……それが、私とドラゴン・ニンジャが出した答えだ」「余を助けた戦友、ケイトー・ニンジャ＝サンの名誉までも貶めるとは……余を謀ろうとて、そうは行かぬぞ……！」　37

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ブラドは押し付けあう右腕にさらなるカラテを籠め、サツバツナイトを睨んだ。急激なカラテ圧上昇により、腕から肩、そして足先に向かって、サツバツナイトの全身に破裂的な衝撃波が走った。装束や皮膚が所々切り裂かれ、血飛沫が霧めいて吹き出す。だがそれでも、彼はブラドの目を見据え、続けた。　38

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「ケイトー・ニンジャは、オヌシとムカデ・ニンジャを率い、三神器を分け合うという算段でドラゴン・ドージョーを襲った。だが結局のところ、ケイトー・ニンジャだけは三神器を持ち去らなかった。……何故だ？あれほどの危険を冒したというのに、何故ケイトーは三神器を得られずとも満足した……？」39

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「ムウーッ……」ブラドはその気になれば、いつでもこの対話を打ち切り、サツバツナイトを叩き潰すことができたであろう。だが誉れ高き武人であるブラドは、自らのインペイラー・ツキを正面切ってのカラテで破って見せたサツバツナイトに対し、少なからぬ敬意を抱いてもいた。　40

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……そのような相手に対し、騙し討ちめいた攻撃を加え爆発四散させては、己のカラテが廃る。この男のカラテは本物だ。それを認めねばならぬ。さもなくば、己のカラテをも瀆すこととなる。だが、ケイトー・ニンジャに対しても少なからぬ恩義があるのだ。ブラドは如此、板挟みの状態にあったのである。41

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「……ブレーサーは遂に見つからなかったからだ！それに彼には、無私無欲の奥ゆかしさがある！　余やムカデ・ニンジャと違い、ケイトー・ニンジャ＝サンには支配する領域が無いがゆえ、三神器によって支配権を誇示する必要もなかったのであろう……！」　42

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「否！」国際探偵フジキド・ケンジの推理が光った。「奴は三神器でオヌシらの興味を引き、自らは別の目的を達するために、まんまと別のレリックを奪っていったのだ。……ヤマト・ニンジャ所用の品と伝わる、ボー・オブ・ザ・トラベラーをな！オヌシはそれを知らなかったであろう！」　43

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「おのれ……！それ以上の侮辱は許さぬぞ……！」ブラドが対話を止め、打ちかかろうとした、まさにその時。玉座の間に据え置かれたモニタ群が一斉に灯り、電算室からの緊急通信が届いた。画面には、傷だらけのハッカーが映し出されていた。『……城内のIRCネットワーク、復帰いたしました！……』　44

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『…プロイェスティが襲われております！通信妨害により救援要請が見逃されておりました！敵は暗黒メガコーポと教会の連合軍とみられます……！』ハッカーは一瞬そこで言い淀んだが、歯を食いしばり、涙を流しながら言った。『布告が機能しておりません！繰り返します！布告が機能しておりません！』45

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「バカな……！」その必死の訴えが、城主ブラド・ツェペシュの胸に突き刺さり、カラテが乱れた。これは無論、サツバツナイトの側にとっても予想外の事態であった。両者は己の右腕と、片方ずつ握り合った聖なるヌンチャクを通して、互いのカラテの乱れを感じ取っていたのだ。　46