【セオリー・オブ・レラティヴィティー・バイ・ニンジャ】(2019ニンジャスレイヤー222記念小説)

2019ニンジャスレイヤー222を記念して作られたファンジン小説です
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じょう @jou110

◆ニンジャの日特別プログラム!◆

2019-02-22 21:19:17
じょう @jou110

ニンジャスレイヤー・ファンジン企画

2019-02-22 21:20:32
じょう @jou110

【セオリー・オブ・レラティヴィティー・バイ・ニンジャ】

2019-02-22 21:21:38
じょう @jou110

アイキタ・コウはセンタ試験を控えるハイスクールスチューデントであり、全国模試における成績は全国三位の秀才である。当然彼はそこで満足するつもりはなく、一位の学力を得るため日々勉学に励んでいた。そんな彼が、全国模試一位と二位の連続死のニュースを知ったのは今朝の事であった。 1

2019-02-22 21:24:17
じょう @jou110

何故?コウは思考した。恐らくは殺人か。しかし、そのようなことは彼の使命、すなわちセンタ模試一位成績にはなんの関係もないのだ。一位二位の学生が死んだとて、それに油断しアグラを掻いてしまえば、彼の成績は急転直下するだろう。彼はそこで思考打ち切った。だが答えはその晩にわかった。 2

2019-02-22 21:32:23
じょう @jou110

「ドーモ……アルベルトです……」白髪を振り乱し、長い舌をだらりと垂らしながらアイサツした乱入者は、コウの警護を兼ねていた執事の生首を彼の目の前に投げた。「アイエエエ!ニンジャ!ニンジャナンデ!?」ニンジャだった、それも明らかに発狂したニンジャである。 3

2019-02-22 21:37:31
じょう @jou110

窓から吹き込んでくる01の風がアルベルトと名乗ったニンジャの髪をなびかせた。「お前にこれがわかるかぁ……」アルベルトの手にはくしゃくしゃになった紙が握られている。そこには恐怖を煽るような筆致で【E=mc²】と書かれている。「アイエエエ……わ、わかります」コウはそれを知っている。 4

2019-02-22 21:43:25
じょう @jou110

「そ、相対性理論です……」コウは勤勉であり、当然その有名な物理学の法則にも知識があった。彼は知る限りの知識を答える。アルベルトが何かを語ったわけではないが、おそらく誤答は死に繋がるだろう。「ひ、光より早く動くものはなく、重さはエネルギーなのです……」コウは簡潔に説明した。 5

2019-02-22 21:47:09
じょう @jou110

コウは恐怖しながら答えた。だがアルベルトは無言。「アイエエエ……正解ですか?」コウが沈黙に耐え兼ね口を開いたとき、アルベルトの目が大きく見開かれた。「ARRRRRG!やはりか!誰も理解しておらぬ!ワシの理論を!ワシの発見を!!」白髪を掻きむしり、涎をまき散らしながら彼は叫んだ。 6

2019-02-22 21:51:32
じょう @jou110

狂っている。この男はニンジャで、それも発狂マニアックなのだ。自らをアルベルト・アインシュタインその人と思い込んでいるのだ。「お前にも教えてやる!ワシの見つけた真実を!」そしてアルベルトがコウに向け手をのばす。彼の執事にしたように、奇妙なジツで彼の首をもぎ取ろうとしているのだ。 7

2019-02-22 21:56:15
じょう @jou110

コウは恐怖のあまり失禁した。なぜ自分がこのような目に?彼は政治家である父の基盤を継ぐため、死に物狂いで勉学に励んだ。教養を身に着け、ついには父の供として治安維持警察の長官や官房長官にまで目通りすることがかなった。順調であったのに。成績や家柄は自分の命を守らないのか? 8

2019-02-22 22:01:20
じょう @jou110

アルベルトの手に力が収束する。コウの脳裏にソーマト・リコールがよぎろうとしたその時である!吹き込む01の風がそれ以上の風速の色付きの風に散らされ霧散し、アルベルトの頭部目掛けて銀色の閃光が走る!アルベルトは瞬間的に危険を察知し顔を背ける。刺突剣の一撃は皮膚をかすめ血が流れる。 9

2019-02-22 22:09:12
じょう @jou110

乱入者は装飾的な刺突剣をくるくると回し構えなおすと、気取った仕草で肩の埃を払いアイサツする。「ドーモ、スワッシュバックラーです」突然の闖入者は諧謔的な笑みを浮かべアルベルトにアイサツを促した。アイサツをされれば、返さねばならぬ。狂気の中にあっても根付く礼儀への本能が動く。 10

2019-02-22 22:16:13
じょう @jou110

「……ドーモ、スワッシュバックラー=サン。アルベルトです。お前にこれがわかるかぁ……」アルベルトは先ほどと同じようにスワッシュバックラーに向け血濡れたメモを見せつける。スワッシュバックラーは剣先でメモをなぞるように空中に文字を書く仕草をすると、おどけて肩をすくめた。 11

2019-02-22 22:19:11
じょう @jou110

「ふむ、残念ながらあまり知性的な意味が読み取れんね。君もそんな無駄な思索を巡らせるのは止めにしたまえよ」「ARRRG!」アルベルトは長い舌を威嚇するようにスワッシュバックラーに向けると、猛獣めいて彼に突進した!スワッシュバックラーはひらりと身をかわし、刺突剣を突き立てる。 12

2019-02-22 22:24:16
じょう @jou110

「優雅さに欠けるね、学者を気取るなら知性的な行いをしたまえ」SLASH!刺突剣の一撃がアルベルトの肩を貫く!「グワーッ!」痛みに悶えるアルベルトだが、スワッシュバックラーの表情は一撃を与えたにも関わらず怪訝なものだった。「ふむ、頭を貫くはずが……以外に素早いか?」 13

2019-02-22 22:28:21
じょう @jou110

スワッシュバックラーは飄々と言葉を紡ぎながらも油断なくイアイドーを構えなおす。アルベルトの持つ「何か」が彼の剣の冴えを奪ったのだ。「ARRRG!」アルベルトが血走った眼を怒りに燃やしながら振り返ると、彼の両手には紫色に明滅する怪球が握られていた。 14

2019-02-22 22:32:06
じょう @jou110

「ふむ、何かねそれは。是非学術的な説明が欲しいところだね、君にその程度の知性があるならば、の話だが」「イヤーッ!」アルベルトが怪球を投擲!スワッシュバックラーは軌道を予測!二つの怪球は見当違いの方向へ飛んでいく。だが! 15

2019-02-22 22:37:28
じょう @jou110

「むっこれは……!」スワッシュバックラーの目が驚きに見開かれる。アルベルトの怪球は彼の左右タタミ2枚分の位置にピタリと制止したのだ!「イヤーッ!」アルベルトが襲い来る。スワッシュバックラーは刺突剣を構え迎撃しようとするが……「剣が……重い!」彼の剣が、わずかに重いのだ! 16

2019-02-22 22:41:27
じょう @jou110

スワッシュバックラーは違和感にイアイドーの型を修正、カウンター狙いから防御へ切り替えた。アルベルトのチョップが彼の肩を撃つ!剣が狙い通りに動かない!「グワーッ!」スワッシュバックラーがたたらを踏むと、彼を取り囲む怪球も併せて動く。明らかにジツの悪影響だ! 17

2019-02-22 22:44:39
じょう @jou110

「おまえにわかるかぁ……これがカラテ相対性理論だぁ……」アルベルトはだらりと舌を垂らし笑う。ナムアミダブツ!カラテ相対性理論とは何なのであろうか!?アインシュタインの発見の裏には、ニンジャの影があったというのだろうか!?賢明な読者諸君は、これ以上歴史の闇に触れてはいけない! 18

2019-02-22 22:47:40
じょう @jou110

「ふむ、強い重力を持つ物体の前では、時間は遅く流れる……だが美しいキョートの景観にならともかく、こんな気味の悪い球っころに時間間隔を乱されてはたまらないね」スワッシュバックラーは改めて剣を構え、アルベルトを挑発した。「ARRRG!おまえの敗北は証明済みなのだーッ!」 19

2019-02-22 22:52:41
じょう @jou110

アルベルトの再びの襲撃!だがスワッシュバックラーの刺突剣は正確に彼の眉間を貫いた!「アバーッ!」「君のジツは実際恐ろしさを覚えたさ。だが悲しいかな物理法則故、遅れる時間感覚は常に一定だ。つまり予測可能」スワッシュバックラーは剣を素早く引き抜くと、左右のカラテ怪球が消滅した。 20

2019-02-22 22:58:40
じょう @jou110

「ア、アバッ」「頭でっかちな学者殿は、今度は机上のみではなく実地で理論を実証することを勧めるよ。最も、その機会は二度となさそうだがね」「サヨナラ!」アルベルトは爆発四散し、スワッシュバックラーは鼻から上を覆う仮面メンポを直し剣を収めた。 21

2019-02-22 23:01:26
じょう @jou110

「ア、アイエエエ……」その光景をただ見ているしかなかったコウは、今や血と涙と失禁でぐちゃぐちゃであった。スワッシュバックラーは彼に見向きもせず音声IRCによる報告を行った。「要人警護任務は終了。これより帰投します……ほう、追加任務。場所は」続けて三度遠雷が響く。 22

2019-02-22 23:05:31