[BCJ3月定期]鈴木雅明氏の解説まとめ

2019/3/2(日)演奏会@オペラシティ
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Masaaki Suzuki @MSuzukiBCJ

BCJ3月定期《祈りのカンタータ》のプログラムは、第150番に始まり12番と21番。3つとも瞑想的なアダージョのシンフォニアで始まる。12番《泣き、嘆き、悩み、怯え》では、深い憂いを帯びたオーボエソロが、昇っては落ち、落ちては昇る。苦しみの地上から喜びの天国への道行き。#BCJカンタータ pic.twitter.com/eztWETSq2T

2019-02-06 14:49:55
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Masaaki Suzuki @MSuzukiBCJ

[BCJ3月定期]カンタータ12番第2曲《泣き、嘆き、憂い、怯え》はロ短調ミサ曲クレド『十字架につけられ』に転用されたことで有名。低音は、F-E-E♭-D-D♭-cの半音階下降きっちり12回繰り返し、その上にいとも不可思議な和音で泣きながら「涙の糧」を歌う。一度聞いたら忘れられない曲。#BCJカンタータ pic.twitter.com/7rKqTxnnme

2019-02-10 04:34:28
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[BCJ3月定期]カンタータ12番《泣き、嘆き・》3曲「我らは多くの苦難を経て神の国に入らねばならぬ」歌は神の国を目指して上へ昇ろうとするが「苦難」という言葉を発する度に減5度落ちてしまう。曲は暗いハ短調なのに、ふと気がつくとVn1だけがハ長調音階で、ひとり神の国に達している!#BCJカンタータ pic.twitter.com/5Ow5NkwCMt

2019-02-10 14:39:25
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[BCJ3月定期]カンタータ12番《泣き、嘆き》第4から6曲まで3つ立て続けにアリア。初期の作品にはほとんどレシタティーボはない。いずれも上行と下降旋律を繰り返してあたかも神様との交流を示唆するよう。図版は第6曲オーボエアリア「十字架と冠は一体なり」 urx3.nu/Qhyl #BCJカンタータ pic.twitter.com/DzL0TexX8A

2019-02-12 23:02:15
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[BCJ3月定期]カンタータ21番《私は心に多くの苦難があった》。またもやオーボエ大活躍のシンフォニアでスタート。バッハは若い時ほど、メランコリックでロマンティック。やや冷静な低音の歩みに乗って、ヴァイオリンと共に切々と魂の苦しみを訴える。嗚呼。u0u1.net/1WxD #BCJカンタータ pic.twitter.com/6ln8TYBuuf

2019-02-21 08:09:09
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続く第2曲冒頭では、合唱がいきなり、"Ich, ich, ich"と三度も「私」を連呼。このカンタータは、苦しみから天国の喜びへと変化するが、同時に「私」に捕らわれた魂の開放の物語、と言えるかもしれない。u0u1.net/1WxD #BCJカンタータ pic.twitter.com/sAGKlcvFy8

2019-02-21 08:19:18
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第3曲は、世にも美しいソプラノアリア「ため息、涙、憂い、苦しみ」こうした名詞の羅列は、ワイマールの詩人S.フランクの特徴。死の恐怖に苛まれる魂が、モルトアダージョでオーボエと共に嗚咽する。憂いが深いほど、音楽は悲しいほどに美しい。 u0u1.net/1WxD #BCJカンタータ pic.twitter.com/GCDF8Ph0MK

2019-02-21 20:41:41
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「神様、どうして助けてくれないんですか!!」という叫びのレシタティーヴォ(第4曲)を経て、壮絶な第5曲テノールのアリアへ。弦楽器の塊が、塩辛い涙の激流となって私を水底にまで呑み込み、もはや陰府の深淵が見えている!u0u1.net/1WxD #BCJカンタータ pic.twitter.com/anJ3nsM7zk

2019-02-21 23:20:28
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すると、第6曲の4重唱が詩編42編の引用「なぜうなだれるのだ、わが魂!」と問い「神を待ち望め!」と合唱が。「神こそ私の顔の助け」と歌って前半を終わる。「顔」とは自分の全存在全人格を代表する表現。テンポが次々と変わる初期のバッハ特有の合唱形式。u0u1.net/1WxD #BCJカンタータ pic.twitter.com/kFpWsNAV3G

2019-02-21 23:35:05
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牧師の説教を挟んで回り舞台のように雰囲気が転換。信仰告白の調♭3つの変ホ長調でイエスキリストが登場。悲しみの魂はついに救い主に出会う(第7,8曲)通奏低音のみのぐっと親密な伴奏。イエスの声(VoxChristi)は必ずバスなので、ハナと加耒君の愛の2重唱。u0u1.net/1WxD #BCJカンタータ pic.twitter.com/mMAvRxiSAU

2019-02-22 13:28:57
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千変万化のカンタータ21番。愛の2重唱が終わるとSAB独唱者が「今再び安らえ我が魂」と滑らかな下降旋律を歌い始める。と、そこにテノール全員が「ただ愛する神に委ねる者は」と有名な賛美歌を重ねて行く。まるで荘重なオルガン曲。後半賛美歌はソプラノへ。u0u1.net/1WxD #BCJカンタータ pic.twitter.com/rR9rOaPatd

2019-02-23 15:52:02
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激しい上昇気流のカンタータ21番。終曲で突然トランペットとティンパニが加わって勝利の小羊を賛美(頌栄と呼ぶ)。犠牲の小羊は十字架上で死に、復活して勝利の小羊となった。だから神戸松蔭のステンドグラスでは、その両者が向かい合っている。u0u1.net/1WxD #BCJカンタータ pic.twitter.com/5R8SB7s5Bz

2019-02-23 16:32:44
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BCJ3月定期で演奏するワイマール時代のカンタータ(12、21)はいずれも「天を目指す」上昇指向の強い曲。これはワイマール城礼拝堂の構造とも関係したはず。祭壇の上には天使が昇り、オルガンは天井開口部の上にあった。音楽はすべて天上から降って来る。 u0u1.net/1WxD #BCJカンタータ pic.twitter.com/9UpVdFq17j

2019-02-23 19:28:47
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[BCJ3月定期] カンタータ150番《主よ、汝を待ち望まん》現存する最初期のものと言われてきたがその根拠は薄弱だった。ところが2010年シュルツェ大先生が劇的な発見をされた。今まで誰も気がつかなかった歌詞に秘密があったのだ。(続) bachcollegiumjapan.org #BCJカンタータ pic.twitter.com/Gtw0SCSMyS

2019-02-16 23:02:56
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Masaaki Suzuki @MSuzukiBCJ

[BCJ3月定期] カンタータ150番《主よ、汝を待ち望まん》ブラームスが好んで交響曲第4番のヒントを得たという第7曲シャコンヌの歌詞を見ると、最後の4行の頭文字がBACHとなっているではないか。ん?これはバッハ家に関係ある曲なのか。しかしどこにもBACHの主題はないぞ。bachcollegiumjapan.org (続 pic.twitter.com/N55hVdrQqO

2019-02-16 23:23:49
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[BCJ3月定期]カンタータ150番《主よ、汝を待ち望まん》 そこでシュルツェ先生はふと第3曲に目を移す。歌詞の頭文字はDOKTOR。ふむドクター・・バッハ??もっと他の言葉が隠されてるんじゃないか。偶数楽章は聖書の言葉のままなので、奇数楽章を見てみよう。bit.ly/2DJwUPd #BCJカンタータ 続 pic.twitter.com/Vd87FEE2sZ

2019-02-17 00:04:03
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[BCJ3月定期]カンタータ150番《主よ、汝を待ち望まん》 ここからがシュルツェ先生の面目躍如。第5曲歌詞頭文字は不可解なZOORAD。だがZedern(糸杉)は昔はCedernと綴られていたはず。3,4行にOft,Oftmals(両方とも「しばしば」)と続くのも、何だか変。 bit.ly/2DJwUPd #BCJカンタータ 続 pic.twitter.com/BXR8WmTnTZ

2019-02-17 00:52:29
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Masaaki Suzuki @MSuzukiBCJ

[BCJ3月定期]カンタータ150番《主よ、汝を待ち望まん》 これは書き間違いでは?と資料を見ると、この曲はバッハの自筆資料は何もなく彼の死の直前トマス学校に入ってきたペンツェルの筆写があるのみ。ああ、若き彼は歌詞の秘密に気がつかなかったのだ! bit.ly/2DJwUPd  #BCJカンタータ 続

2019-02-17 01:11:34
Masaaki Suzuki @MSuzukiBCJ

[BCJ3月定期]シュルツェ推論に従ってBWV150第5曲冒頭文字、第1行Z⇒C、第3行O⇒Nと訂正。思えば「神の深慮あれば糸杉もこの世の苦難の嵐に倒されない」はず。Oftmalsしばしば倒される、ではなくNiemals決して倒されないのだ。だから冒頭文字はOではなくN bit.ly/2DJwUPd  #BCJカンタータ 続

2019-02-17 01:37:56
Masaaki Suzuki @MSuzukiBCJ

[BCJ3月定期]カンタータ150番《主よ、汝を待ち望まん》 結局奇数曲の歌詞冒頭文字を繋げるとDOKTOR CONRAD MECKBACHとなり、これはバッハ在任中のミュールハウゼン市長の名。歌詞から想像するに市長に苦難がありそれを慰めるために書かれたに違いない。 bit.ly/2DJwUPd  #BCJカンタータ

2019-02-17 02:06:28
Masaaki Suzuki @MSuzukiBCJ

[BCJ3月定期] 帰国してみると家人が、カンタータ150番の連ツイは全く意味不明で理解できない、と宣うので言い訳。あれは3月定期本番の日にプログラムを見て頂くとすべてがわかります。史上初めて、恐らくバッハが意図した通りの歌詞と対訳を印刷しました。#BCJカンタータ ur0.link/yvIL

2019-02-20 07:44:51