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都築和彦氏が語るけものフレンズ2論 #けものフレンズ2

意図的にメタファー、抽象・一般化を用いて作品内容について触れて(批判して)いる部分が多いので、未視聴の人にはわからないところもあるかもしれません
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都築和彦 @KazuhikoTsuduki

アイドルグループの面白いストーリーって、 方法はいろいろあると思いますが、「熱い話し」を描くとしたら、 「敏腕マネージャーのもとに集うグループが、心を一つにし、 自分の力を出し尽くして感動の舞台をやり遂げる。」という展開になると思います。 ケムリクサ8話の構造が、それに相当します。

2019-03-05 08:51:20
都築和彦 @KazuhikoTsuduki

番組最後に主人公がピンチになるなどして、次週はどうなるんだろう?と、 視聴者をやきもきさせる手法をクリフハンガーと呼びますが、 次週を期待させたあげく、何もストーリーが進展することなく、 茶番で終わる回が多いと飽きられてしまいます。 例えば、主人公が誘拐されたけど、人違いだった、等。

2019-03-05 12:14:53
都築和彦 @KazuhikoTsuduki

たとえば、会社のためにボロボロになるまで残業して働いて、 過労死しそうになりながらも、それでも忠誠心を見せる社員に対して、 涙を流して部下を労う上司Aと、 お礼も言わずに「帰宅しろ」と、つきはなす上司Bがいたとします。 Bの人間性に違和感を覚えるような人間でありたい。

2019-03-12 12:33:50
都築和彦 @KazuhikoTsuduki

けものフレンズ2について言えば、現状のイエイヌは悲劇です。 もし、最後にアルマーとセンちゃんが現れて、 イエイヌを気遣いつつ、家まで送ってあげたなら、 「主人を求めていたイエイヌに、友人が出来ました。」という美談に出来ます。 最終話までにそういう展開があればいいのですが。さて?

2019-03-12 15:28:13
都築和彦 @KazuhikoTsuduki

1と2を比較することで、創作の勉強になるというのは、 皮肉なものですが、その通りだと思います。 私も、1の良いところを2年間メモ書きしてますが、まだ書き終わることがありません。 なぜ1が面白いか、明確な回答が、なかなか言語化できない。 だから、「すごーい」なのでしょう。

2019-03-13 06:24:01
都築和彦 @KazuhikoTsuduki

イエイヌの回は、誘拐が茶番だったのでシリーズ物としてはダメダメですが、 単体で見れば、イエイヌが救われてないだけで、 そこを修正すれば良い話には、なります。 脚本はそのままで、コンテ、演出でフォローできる範囲とも言えます。 が、気遣いが出来ないと「これでいいか」となるのでしょう。

2019-03-13 06:39:49
都築和彦 @KazuhikoTsuduki

2期のスタッフが「これでいいか」と、流した部分が、実はとても重要なポイントで、 たつき監督は、そのポイントを丁寧に拾っていたと思われます。 が、脚本、コンテ、演出が分担されてると、ポイントの不備に気づき難い。 監督がきちんと目を光らせていれば回避できるのですが。

2019-03-13 06:49:04
都築和彦 @KazuhikoTsuduki

ボロボロのイエイヌの傍らで、キュルルとサーバルが談笑してる図、 あれを必要な場面として設計した監督のセンスは擁護することが出来ません。 「サーバル、すごくかっこよかったよ!」 「えっへん、もっとほめていいよ!」 リテイクする時間が無くても音をカットするだけでも多少マシになるのに。

2019-03-13 07:24:28
都築和彦 @KazuhikoTsuduki

キュルルについて言えば、ずっとワガママな自己中キャラとして描かれてますが、 これがラストに向かって、反省して、迷惑かけたフレンズに詫びて、 フレンズのために自己犠牲するような良い子に目覚める展開になったとしたら、 アニメ史に残る駄作になります。そこまで考えて無いでしょうが。

2019-03-13 08:10:42
都築和彦 @KazuhikoTsuduki

創作物のパターンには、「救いを与えるもの」と、「現実をつきつけるもの」があります。 基本的に前者が好まれるのですが、後者を好む人も一定数います。 作者に確固たる理念や哲学がある場合は、後者の作品は名作になります。 けもフレ2期は後者ですが、哲学や理念は1期のほうが大きいという現実。

2019-03-13 09:51:57
都築和彦 @KazuhikoTsuduki

晩年のピカソの絵を見て、 「せんぜんわからん」と言う人もいれば、 「現代の不安を象徴している」と評価する人もいるでしょう。 どちらの考えも、その人にとっては間違いではありません。 作品は、作家の手を離れたら、受け手の物になるのですから。 ましてや、コントロールは出来ません。

2019-03-14 20:44:49
都築和彦 @KazuhikoTsuduki

映画の「グラビティ」は、2001年宇宙の旅のオマージュだったり、 再解釈だったりする名作で、いろいろな観点で見ることができます。 自分のカラに閉じこもってる人が、前向きにチャレンジしていこうという話しでもあります。 「ともだち」の存在がそのキッカケになっています。

2019-03-15 06:00:50
都築和彦 @KazuhikoTsuduki

「自分は、今のままでいい」「どうしたらいいかわからない」と、 なかば諦めてる人に、グイグイと入ってきて、 新しい指針を与えてくれる、それが「ともだち」の存在です。

2019-03-15 06:05:12
都築和彦 @KazuhikoTsuduki

私がツィートで紹介してるアニメ、 「エウレカセブン」「宇宙よりも遠い場所」「マイマイ新子」などは、 友達と出会って、人が変わっていく話しです。 人としてのドラマの基本とも言える構造で、 誰かと出会っても、自分も他人も何も変わらないようでは、それはドラマではありません。

2019-03-15 06:13:18
都築和彦 @KazuhikoTsuduki

「けものフレンズ」は、ドラマの基本がしっかりしています。 自分のことがわからないかばんちゃんは、サーバルとの出会いで、 自分をもっと知りたくなり旅に出ます。 サーバルは、かばんちゃんをもっと知りたいと、他のちほーまでついて行きます。 相手の存在が自分の中で大きくなったからです。

2019-03-15 06:19:15
都築和彦 @KazuhikoTsuduki

旅で出会ったフレンズに、何かをしてもらったり、何かをしてあげたりして、 新しい何かをみつけていく、それは「たのしー」話しだと思います。

2019-03-15 06:23:47
都築和彦 @KazuhikoTsuduki

けものフレンズ2で、 イエイヌは、キュルル、サーバル、カラカルと出会って、何を心に残したのか? キュルル、サーバル、カラカルは、イエイヌと出会って、何を心に残したのか? それは「たのしー」ものだったのでしょうか? いえ、作品性によっては、必ずしも「たのしー」である必要はありませんが。

2019-03-15 06:33:22
都築和彦 @KazuhikoTsuduki

私としては、新しい「けものフレンズ2」で、 スタッフが、どんな「たのしー」話を見せてくれるのか、楽しみにしていたのですが、 ここまで作品性が異なってるとは思いもしなかったので驚きました。 そういう作品だと思えば、楽しく見れますよ。

2019-03-15 06:45:39
都築和彦 @KazuhikoTsuduki

今日は、「シニカル」の意味について調べてみました。 「無知の知」を唱えたソクラテスの弟子の、 アンティステネスを祖とするキュニコス派が語源ということです。 社会を見下し、嘲笑する考えで、何か良いことをしても裏があると考えたり、 良くない結果につながるのではと疑ったりする皮肉です。

2019-03-19 07:18:19
都築和彦 @KazuhikoTsuduki

いろいろな用語で、用例を考えてみました。 「イデア」(紙飛行機) 「ユーモア」(すっごーい) 「アイロニカル」(きっと良い動物に違いないであります) 「シニカル」(ぼくは、けものじゃないよ) 「ニヒル」(やれやれ) キャラの性格の描き分け等の参考になるかも知れません。

2019-03-19 07:48:11
都築和彦 @KazuhikoTsuduki

映画の続篇などで、前作で結ばれた男女が、 2作目で破局してたりというケースがあります。 俳優の出演に関する大人の事情などもあるのでしょう。 どちらかといえば、観客のほうも、ハッピーなままの世界をあまり信じられないためか、 シニカルな展開にリアリティを感じて惹かれる部分もあります。

2019-03-19 08:48:57
都築和彦 @KazuhikoTsuduki

映画「スターウォーズep8」では、シニカルな展開によって、 かつて英雄だったルークが、自分の過ちによって世捨て人になってしまってます。 製作側では、皮肉な結末を面白いと思う、ということがあります。 が、それによって、過去作の英雄ルークのイメージが損なわれたと感じる観客もいます。

2019-03-19 09:21:11
都築和彦 @KazuhikoTsuduki

「本当は怖いグリム童話」などでわかるように、昔の童話、伝承、伝説、神話は、 シニカルで怖いものが多かったものです。 長い時を経て、怖い実母が、継母になったりと、 物語のシニカルさがそぎ落とされ、 子供がたのしめる「童話」と呼ばれる読み物になりました。

2019-03-19 09:28:07
都築和彦 @KazuhikoTsuduki

スターウォーズはすでに神話となっていました。 その英雄であるルークが後日、過ちを犯したという話は、神話には不要なものです。 物語としてどのように機能したかと考えてみても、 新シリーズの新キャラ、カイロ・レンを生み出したという役割しかありませんでした。 今のところは、ただの踏み台です。

2019-03-19 09:40:26
都築和彦 @KazuhikoTsuduki

ルークは、ライトセーバーを使い、帝国の支配から民衆を解放しました。 伝説のジェダイが復活したと、あの世界では賞賛を浴びていたでしょう。 そのままジェダイとしての役割を務め続けていたなら、理想的な神話になりました。 が、過ちを犯してしまったというのでは、人々は忘れ去るでしょう。

2019-03-19 09:55:56