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都築和彦氏が語るけものフレンズ2論 #けものフレンズ2

意図的にメタファー、抽象・一般化を用いて作品内容について触れて(批判して)いる部分が多いので、未視聴の人にはわからないところもあるかもしれません
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都築和彦 @KazuhikoTsuduki

けものフレンズ♠️リスペクト 「ばっどえんど」 あるいは、とてつもなく、大きくて越えられない壁に隔たれし、ちほー。 pic.twitter.com/AvdfeaSIMh

2019-02-17 21:54:44
都築和彦 @KazuhikoTsuduki

今朝見たアニメで、 大きな壁に囲まれたお家に住んでる人が出てきて、ちょっと苦笑しました。 「隣人との関わりを拒絶する人」という、 意味付けを付与することになると思うんだけどな。 あらためて、外壁の崩れたオープンな図書館のデザインってすごいと思った。 深層心理に刺さるものがある。

2019-02-19 07:10:26
都築和彦 @KazuhikoTsuduki

主人公の前に謎の強キャラが現れたとき、 第三者から「あれは凶悪な敵だ」と説明されたら、 実は心の優しい味方だった、という展開になるものだけど、 敵認定した人は軽率な人物とみなされます。 また、本当にただの敵だった場合は、物語に深みが生まれません。

2019-02-19 09:00:38
都築和彦 @KazuhikoTsuduki

動物園で、迷子がお家に帰りたいと言ってるのをスタッフが見つけたら、 園内の地図を見せるとか、出口まで送るとか、親と連絡を取ろうとするとか、 なにか業務として仕事があると思うのですが、 ネコ2匹をあてがって放置は解せないわけです。

2019-02-19 10:40:16
都築和彦 @KazuhikoTsuduki

みんな自分が、かつてモンスターに襲われたという記憶を失って、 ゾンビのように日常生活をおくるまねごとをしてる世界。 ところどころ、何かが欠けてる無機質な演出が不安感を掻き立てる。 そんなアニメがあったら面白いかもしれない。

2019-02-19 11:11:46
都築和彦 @KazuhikoTsuduki

けものフレンズ「としょかん」 博士と助手は、ちょっと捻くれたキャラです。 でも、嫌味な感じはありません。 なぜかというと、「料理を作れば何の動物か教えてやるです」という条件を出した後は、 かばんが料理を作る行程を一切邪魔しないからですね。 主人公を困らせないことで好感度に繋がる。

2019-02-19 17:50:39
都築和彦 @KazuhikoTsuduki

博士と助手は、かばんの料理作りの邪魔はしませんでした。 ここで、雑な脚本だと、 「おまえに料理は無理だ」「どうせ失敗する」と、 頭ごなしにネガティブな台詞を書いてしまいがちです。 それは敵キャラの吐く台詞なので、 味方キャラに言わせないほうが良いでしょう。

2019-02-19 18:02:57
都築和彦 @KazuhikoTsuduki

主人公に課せられた試練が、 つらいものか、楽しいものかで、スト-リーの意味が変わります。 危険な場所へ行ってアイテム探しだと、 ハラハラドキドキと、緊張感が漂いますし、 料理作りのような基本的に楽しいものなら、明るい話しになります。 むやみな緊張感を出されると、あまり癒されません。

2019-02-19 18:38:29
都築和彦 @KazuhikoTsuduki

目の前の事件に対して、ボーっと見てるだけのキャラがいる。 そういう演出の場合、単に動揺して固まってるか、 キャラにとってその事件は、過去の体験や因縁を想起しつつも、 何もかも諦観して受け入れてるというような意味になる。 どちらの意味付けなのか、ミスリードの意味も含めて判別は難しい。

2019-02-19 20:32:44
都築和彦 @KazuhikoTsuduki

あるキャラが、ある出来事と遭遇したとしても、 脚本が適当に書かれてて、キャラが意味のあるリアクションをするように、 指示されてない場合もあります。 そうすると、コンテを切る人は、シーンの意味付けに困ってしまって、 キャラをボーっと立たせるだけにしてしまうかもしれません。

2019-02-19 20:37:07
都築和彦 @KazuhikoTsuduki

普通、監督が全てのシーンをチェックしているので、 この大事件のシーンで、このキャラは、どうしてボーっ見てるだけなんだろう? と、視聴者を困惑させるようなことはしないでしょう。 なんらかの意味のあるシーンとして、場面を設計してるはずなので。 はずなんですが。

2019-02-19 20:43:52
都築和彦 @KazuhikoTsuduki

大事件を目の前にしたキャラがいたとして、 それに対するドラマを作るのがめんどくさかったりすると、 何かを悟ったように、ボーっと見てるだけにして、 視聴者を信頼して行間を読んでもらう、という演出という名の誤魔化しをすることは、 あります。

2019-02-19 20:56:14
都築和彦 @KazuhikoTsuduki

キャラに対して、「あの行動が理解できない」という批判がされる場合は、 その行動の理由となった心境についての説明がされてないためです。 たとえば、祖父の形見の懐中時計を、他人にあげてしまうとか。 重要な場面で、心境の変化の説明を、 視聴者の想像に委ねるのはよろしくないでしょう。

2019-02-19 22:13:41
都築和彦 @KazuhikoTsuduki

映画のスタートレックや、スターウォーズで、 作品を象徴するモノを、新作映画で破壊してしまう傾向というものがありますが、 あればかりは、衝撃というより、辟易してしまいますね。 ちょっと意味がわかりません。 それで、新しい何かを生み出せたと勘違いしておられるのか。

2019-02-19 22:28:39
都築和彦 @KazuhikoTsuduki

作品の中で衝撃的な事件を起しても、 そこで伝えたい想いみたいなものが無いとか、 あっても伝わってこないとか、そういうのは技術的な問題なので、 シナリオ作りに熟達していけば解決できると思います。 ただ、滲み出る悪趣味というのは、感性の問題なので、 常に意識して制御しないといけません。

2019-02-20 17:56:28
都築和彦 @KazuhikoTsuduki

「イレイザーヘッド」「エレファントマン」を撮ったデヴィッド・リンチとか、 悪趣味な作家性全開な監督ですが、 「ストレイト・ストーリー」のようなハートウォーミングな映画も撮っています。 悪趣味な部分を完全に抑え込むでもなく、ほどよくちりばめて、 作品の味付けをしています。名監督です。

2019-02-20 18:19:59
都築和彦 @KazuhikoTsuduki

昨夜見たアニメで、 大きな壁が出てきたり、内側に入るために、 壁の仕掛けを操作して扉を開けたりしたのを見て、 ひとりでニヤニヤしてしまいました。 なんだろう、このシンクロニティ。

2019-02-21 20:19:38
都築和彦 @KazuhikoTsuduki

大きな壁というのは、やっぱり越えたいものの象徴なんだろうな。 問題は、その壁を越える方法。 私の動画では、壊れたボタンをパズルのように組み合わせて扉を開けた。 ケムリクサは、わかばが習得した技術で、扉を開けた。 けも2では、かばんを使ってあっさり扉を開けた。 なるほど。なるほど。

2019-02-21 20:49:32
都築和彦 @KazuhikoTsuduki

ヒトと動物を対等のフレンズとして世界観を作った1期。 その象徴が、かばん。 フレンズはヒトに管理されるものという設定に戻したのが2期。 管理者として、かばんを登場させた。 現状で、フレンズと対等であろうとするヒトが登場しないので、 動物園という理念への強い執着と危うさを感じる。

2019-02-24 08:51:59
都築和彦 @KazuhikoTsuduki

けものフレンズのテーマについて、あれこれ言われてるようですが、 アプリ版に登場した、「ケモノ大好きでヨダレを流すミライさん」こそ、 けものフレンズの原点でしょう。 アニメ1期でも、きちんと踏襲されてます。 2期で失われたものは、 「ケモノ大好きキャラの存在」だと思うわけです。

2019-02-24 11:10:10
都築和彦 @KazuhikoTsuduki

デヴィッド・リンチ監督の「ストレイト・ストーリー」は、 トラクターで旅をする老人の実話をもとにしたロードムービーです。 旅先で、さまざまな出会いをしながら、 遠く離れた兄の家に会いに行くお話。 映画公開時は何の前知識もなくて、 劇場前で初めて監督名を知って慌てて鑑賞したという。 pic.twitter.com/u0n946yYkD

2019-02-26 14:25:59
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都築和彦 @KazuhikoTsuduki

主人公は旅をする途中で、様々な出会いをします。 ヒッチハイクの娘と出会ったり、納屋で雨宿りをして親切にされたり、 トラクターが故障したときは、修理代をふっかけられたりとトラブルもありますが、 自分が親切にされた分、相手の心も癒すような交流をします。 喧嘩をするようなことはありません。

2019-02-26 16:18:19
都築和彦 @KazuhikoTsuduki

自分が何をしてもらえたら嬉しいかとか、 相手の悩みを聞いてあげたりとか、 特に大きな事件は起きませんが、 じんわりと観客の心を暖めるストーリーになっています。 逆に、何が人を不安にさせるかもよくわかってる監督なので、 穏やかな話しでも、緊張感も伝わってきます。前面にはでませんが。

2019-02-26 16:28:03
都築和彦 @KazuhikoTsuduki

それはともかく、 キュルルがチーターとプロングホーンの絵を描くのはいいのですが、 絵を渡す相手がロードランナーというのは? お礼も言わず、飛び去っていくロードランナーの心境を思うと、 アニメ史上屈指の救われない終わり方だと思います。 ネロに捨てられたパトラッシュのような。

2019-02-26 21:09:53
都築和彦 @KazuhikoTsuduki

登場キャラの置かれた状況や立場を、 脚本家が丁寧に拾い上げてフォローするようにしないと、 誰かがほったらかしにされてるように見えて、 いたたまれない思いを感じたりするのです。 つねひごろ、気配りができるかどうかということでしょうか。

2019-02-26 21:27:30