2019年3月20日

戦車小話~東側戦車ガンランチャーとロケット戦車

西側戦車ではイマイチうまくいかなかった砲発射ミサイルが東側ではうまくいったように見えるのはどうして? という疑問からその根っ子をほじくり返してみる
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えすだぶ @FHSWman

最近のなんかはよくわからんですが初めのうちの話だと、ソ連のガンランチャーが成功して西側が失敗したんじゃなくて、実はソ連は最初のトライではなかったという事が肝なんじゃないかと思うのです #マシュマロを投げ合おう marshmallow-qa.com/messages/5f834…

2019-03-18 22:48:36
えすだぶ @FHSWman

ソ連のガンランチャー用ミサイルってえと125mm砲用に1976年に採用された9K112(AT-8)が最初っぽいかもですが、実はそうでもありません。その前に屍を積んでるのです pic.twitter.com/tGP1zCoXMn

2019-03-18 22:55:03
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えすだぶ @FHSWman

事の発端は1957年の「新戦車、自走砲-駆逐戦車、対戦車手段およびそれらの為の誘導ロケット兵器の開発について」というソ連邦閣僚会議決定。実はこの時代の戦車は、傾斜装甲が極まりに極まってるけどAPFSDSはまだ無いという頃で、矛盾のシーソーが盾側に偏ってました。それを覆す手段を作れという指示

2019-03-18 23:04:46
えすだぶ @FHSWman

そうして軽戦車から重戦車まで、国内のあらゆる設計局が誘導弾を主武装とした戦車を開発することになります。そうして生まれたのがこいつら。実はT-62や64をベースに発展型として生まれたんじゃなくて、滑腔砲戦車とは並列したもう一つの可能性だったのです pic.twitter.com/LnpcArFVcJ

2019-03-18 23:11:57
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えすだぶ @FHSWman

しかしこの手のロケット戦車でミサイルしか武装を持たないと、戦車以外を相手にするときにたいへん不経済です(戦車の仕事の半分は戦車殺し以外なのです)。そういう事は当然予想されていて、ロケット戦車にも補助武装を持たせることは考えられてました。むしろミサイルしかないIT-1が例外的

2019-03-18 23:18:14
えすだぶ @FHSWman

しかしロケット戦車の補助武装には何が良いか? という疑問がありました。重くて嵩張る大砲を一緒に積む事はできない。そこで例えば、先の写真のObject287では73mmリボルバー式自動装填低圧滑腔砲を連装で積みました。BMP-1のやつの豪華版、というよりむしろこっちが先 pic.twitter.com/Je3JTZmiRo

2019-03-18 23:25:16
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えすだぶ @FHSWman

別の方向性として重ロケット戦車のObject282Tで選ばれたのが、車体に引き込んで装填し頭を出して発射する隠顕式無誘導ロケット砲。実はこいつ写真で車体上に見えてるのはソレで、誘導弾は開発が遅れて試作車に間に合わなかったのです。後の282Kではこんな風に車体後部に誘導弾を装備する予定だった pic.twitter.com/jX3JpTmgNz

2019-03-18 23:40:39
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えすだぶ @FHSWman

しかししかし。ロケット戦車に主武装として対戦車ミサイル、補助武装としてロケット弾を持たせて、しかも両方にそれぞれ発射機を用意するのは無駄かも知れません。発射機自体はどっちもロケット弾なので兼用してしまえる筈。ただし両方のサイズを合わせる必要はあるけれど

2019-03-18 23:48:24
えすだぶ @FHSWman

そうして生まれたのがObject757や775の125mm D-126。これは無誘導ロケット弾と対戦車ミサイル両方を発射できる発射機で、見た目は大砲のようだけど後座はしない、でもロケットの安定のために施条は彫ってあるという変わったやつ。ガンランチャーというよりランチャー・ランチャーというか(謎) pic.twitter.com/3uwlGK0xYi

2019-03-18 23:53:53
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えすだぶ @FHSWman

Object775は試験してみると、砲戦車より軽くて高機動だし姿勢も低くて被弾もしづらそうだということで利点が認められた反面、油気圧式の可変懸架装置とか砲塔内操縦席とか冒険し過ぎた関係で信頼性が低くて採用には至りませんでした pic.twitter.com/5yrB97XfgR

2019-03-19 00:06:12
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えすだぶ @FHSWman

はてガンランチャーに油気圧式可変懸架装置、砲塔内操縦席を備えた冒険的な新戦車で、その機構が災いし完成に至らなかったやつ……どっかで聞き覚えありません? そう。実はソ連のロケット戦車計画が爆発してたのは、丁度MBT-70が炎上してた時期でもあるのです。西も東も考える事は皆同じなんですね pic.twitter.com/J7GZjUKc9X

2019-03-19 00:10:41
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えすだぶ @FHSWman

西側の話はさておいて。結局ソ連のロケット戦車連中は冒険的すぎて完成に至らず、唯一IT-1だけが一応採用されて少数が短期間運用されたに留まります。こいつはイロモノ扱いされめすが、他にも十指に余るくらい計画されててこれが一番マシなやつなんです pic.twitter.com/4Cq9XttVIt

2019-03-19 00:14:22
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えすだぶ @FHSWman

結局主役を勝ち取ったのはT-62, 64のような滑腔砲戦車でしたが、ロケット戦車計画が完全に無駄だったかというとそうでもなく。今度は125mm D-126用の砲発射ミサイルをベースに、主砲より長射程な対戦車装備として使えないかという話が持ち上がります。主従が逆転したのですね

2019-03-19 00:16:58
えすだぶ @FHSWman

しかしD-126用のミサイルはロケット戦車搭載前提で開発された物なので、長すぎて砲戦車には収まりません。弾だけでなく誘導装置も置き場がない。なのでそのまま流用は出来なかったの。でもそこから発展して砲戦車の補助武装としての砲発射ミサイルが改めて作られ、それが今に至るのです

2019-03-19 00:19:39
えすだぶ @FHSWman

私も実際よく分かっておらんので大分ふんわりしてお話ですが、ソ連の戦車砲発射ミサイルのルーツはそんな風に遡れそうです。西側と同時期に同じような事を考えて、それを遥かに手広くやり、そして失敗作の山を積み上げてもやめなかったので最終的に完成した……という単純だけど大変なおはなしです

2019-03-19 00:23:47
えすだぶ @FHSWman

『ロケット戦車』だけで十分本一冊書けるような気がするものの、しかし私にゃ肝心の誘導弾がよくわからんので難しい

2019-03-19 00:43:44

コメント

ウォルフガング・ゴッテンベルク【残余二万文字】 @C11katao 2019年3月20日
なるほどそういう前史があったわけですね。 もし西側が同様に研究を継続していたら砲発射ミソを投げるエイブライムスが見られたかも…?
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アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M 2019年3月20日
西側に比べて順調に見えた東側の砲発射ミサイルも、紆余曲折があったんだな。
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orangepekoe @orangepekoe0710 2019年3月20日
C11katao イスラエルはこの手のやつあるから出来なくはないかと
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gx9900 @GX9900GUMDAMX 2019年3月21日
そもそも東側がガンランチャー実用化してるのを知らんかった。
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