「英国人捕虜が見た大東亜戦争下の日本人」レビューログ

訳者に捕捉されたので関係ツイを補足
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アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M

クラーク青年、日本についてその田園風景の風光明媚さや、富士山の美しさに感激 し、あるいは古い日本建築と欧米風の近代建築が入り混じる都市の姿について興味津々に解説している。あと、付き添いの通訳が駅でアイスクリームを買ってくれた。 ・・・お前、本当に人生をエンジョイしてるな。

2019-03-31 16:38:15
アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M

悪名高い大森捕虜収容所に到着。今までと違いちゃんとした建築物である。 日本人が風呂好きなので、捕虜たちも必然的にちゃんとした風呂で入浴を愉しめる。広い風呂場は捕虜たちが行う演劇やブラスバンドの舞台としても活用されたらしい。日本兵もちょくちょく聞きに来る。

2019-03-31 16:42:01
アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M

仕事はきついが今までの収容所と違い役得も大きい。捕虜の仕事の多くは鉄道の荷物の仕分け・搬入であり、つまり「ちょろまかし」が容易なのだ。米・大豆・塩・佐藤・調味料・酒。その他色々なものを捕虜たちはちょろまかしていく。 もちろん、監督する日本人(民間業者)も気が付いているから(続く

2019-03-31 16:44:11
アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M

いかに上手くちょろまかすか、いかに見つけ出すかの勝負になる。 ばれてもビンタ食らって廊下に立たされるだけなので、捕虜たちもまるで懲りない。 クラーク青年曰く、捕虜と日本人班長たちの間である種のゲームみたいになっていたらしい。 お前ら、ドイツやソ連の収容所を見習・・・わなくていいか。

2019-03-31 16:46:25
アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M

なお、クラーク青年。塩鮭をちょろまかして意気揚々と引き上げたら、仲間から 「お前、服の裾から鮭の尻尾が飛び出ていたぞ」 と指摘される。 日本人班長達からも見逃してもらったらしい。クラーク青年もこれは恥ずかしかったとか。

2019-03-31 16:48:04
アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M

クラーク青年は1944年の春から初夏にかけて隅田川の操車場で働くが、ここはココナツやコーリャンをちょろまかし放題ですごく「おいしい」作業場だったらしい。 ガリガリに痩せた新入りの捕虜が、個々の作業に割り当てられるとあっという間に太ってしまったとか。当然。クラーク青年も太る。

2019-03-31 16:51:04
アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M

1944年といえば、そろそろ物資不足や疎開も始まろうかというころだが・・・ 日本軍やる気あるのか!?

2019-03-31 16:51:44
アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M

作業を監督する日本人の班長たちは親切な人もいれば嫌な奴も捕虜を殴るやつもいる。ただ、全般的には真面目だし捕虜に対しても悪意があったわけではないとクラーク青年は感じていたらしい。 作業はきついが、捕虜のちょろまかしを見て見ぬふりをする者もいたとか。

2019-03-31 16:55:59
アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M

「ジャップは、成人男子の人でが足らず、学生が警戒員の仕事をするようになってきた。年の頃は十四、五の、頬にまだ赤みの残る美少年たちだ。(原文ママ)」  そこ、わざわざ「美少年」を強調する意味はあったんですかね!?

2019-03-31 16:59:10
アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M

なお、学生たちは真面目で融通が利かないためちょろまかしを見逃してはくれないが、「クラークさん」と捕虜たちにも素直になついていたらしい。クラーク青年も彼らのことは好意的に書いている。 ・・・変な事していないよな?

2019-03-31 17:00:48
アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M

クラーク青年が「彼はいかなる時でも完璧な紳士だった」と絶賛するジェントル・ジミーこと村岸中尉や、捕虜の待遇改善に尽力し捕虜たちから尊敬と信頼を集めた「カノウさん」こと加納上等兵など、捕虜に慕われる日本人もいたし、逆に食事に赤痢患者の下痢便を仕込まれるぐらい嫌われた渡辺軍曹もいた。

2019-03-31 17:06:31
アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M

大森捕虜収容所には、次々と新しい捕虜が来るため、捕虜たちは戦局をかなり正確に知ることができた。彼らが長い捕虜生活を切り抜けられたのは、ノルマンディー上陸作戦やミッドウェー沖海戦などの情報を知りえ、「いずれ連合国が勝つ」という希望を持てたことも大きかったようだ。あとちょろまかし。

2019-03-31 17:09:26
アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M

捕虜たちは、廃材を組み合わせて電気調理器具を自作し、ちょろまかした食材でパンやスープやケーキやプティングを作っていた。あんまりにも皆がやるので、ブレーカー落ちる事態が頻発したため、捕虜同士で使用制限を決めていたほどだとか。 ・・・日本軍ちゃんと管理しろよ。

2019-03-31 17:12:13
アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M

なお、正規の食事だと米を炊いた際の「お焦げ」の部分が人気であり、調理場担当などが持ち帰りお茶の付け合わせにしていたとか。 中には、監視の兵隊を抱き込んで一緒にちょろまかした飯を食べていた捕虜たちもいる。 ・・・ほんと、捕虜を真面目に管理する気あるのか日本軍!?

2019-03-31 17:14:37
アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M

大森捕虜収容所側も捕虜の待遇をよくしてやりたいと考えていたらしく、なんとか牛肉や豚肉が手に入らないかと奔走していたなんて話もある。 なお、物不足なうえ「捕虜なんぞに喰わせられるか!」と仕入れ拒否されるので、仕方なく車の塗装を消して収容所の車だとばれないようにしていたとか。世知辛い

2019-03-31 17:17:57
アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M

1944年のクリスマスには、捕虜たちも最高の演劇をやろうと何か月も前からリハーサルを重ね、「シンデレラ」やパントマイムなどいくつものショーを気合を入れて演じた。 普段は捕虜にきつく当たる日本兵等も、映画会社から衣装を借りてきたりと協力してくれたらしい。クラーク曰く人生最高のショー

2019-03-31 17:21:53
アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M

同時期からB-29による空襲が本格化しだす。捕虜たちも当然「いいぞ!やれ!やっちまえ!!」と空襲を見てはしゃいでいたが、作業のために移動中に焼け野原となった東京や虚ろな目でふらつく人々を見て流石に気の毒に思ったらしい。 なお、石を投げられる思っていたら、誰もそんなことしなかったとか。

2019-03-31 17:24:33
アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M

撃墜されたB-29のパイロットもちょくちょく新入りにとして捕虜収容所に入ってくる。 彼らの多くは不時着時に住民にリンチされたり、捕虜収容所よりはるかに過酷と言われる一般刑務所に入れられていたため、精神に重大なダメージを受けていた。 カノウさんが捕虜たちの間を駆けまわって(続く

2019-03-31 17:26:48
アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M

B-29搭乗員たちのために日用品やタバコを分けてやってくれと頼みこむ。日本の物資不足も深刻化し、捕虜たちもにもいきわたらなくなっていたが、クラーク青年たちは快く応じた。 このカノウさんは隔離されていたB-29搭乗員のとこまで捕虜の従軍神父を連れて行ったりと、本当に面倒見の良い人である。

2019-03-31 17:29:08
アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M

新入りの一人から、日本に新型爆弾が投下され都市が二つ消滅したと聞かされる。 さすがにホラだろうと思っていたクラーク青年だが、日本人たちのビビりようから、どうも本当だったらしいと気が付いたころに終戦

2019-03-31 17:30:51
アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M

大森捕虜収容所を管理する日本人たちは、自棄になって酒盛りをしたり、刀を振りかざして同僚に制止されたりする者もいたが、おおむね混乱は無く捕虜たちも作業が無くなったまま静かに待機する。クラーク青年も、戦争が終わったという実感が持てずに困惑中

2019-03-31 17:32:43
アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M

やがて、捕虜収容所に連合国からの「爆撃」が始まる。 空母から発信した艦載機が、支援物資を連日投下するのだが、パラシュートが開かないことが多く時速数百kmで投下される支援物資が屋根を突き破り建物を破壊するのだ。 クラーク青年も危うく死にかける。というか、死人が出てないのが奇跡である。

2019-03-31 17:35:10
アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M

そうこうしているうちに沖合に現れた艦隊から上陸船が乗り付け、捕虜たちを収容開始。米兵が最初で英兵が最後だったのでクラーク青年たちは思う存分施設を破壊し、日本兵たちからブーツや軍刀をふんだくり、意気揚々と引き上げて彼らの戦争・捕虜生活は終わった。

2019-03-31 17:38:23
アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M

なお、「カノウさん」こと通訳の加納上等兵も捕虜の米兵にブーツや階級章をふんだくられたが、激怒した米軍士官マーチンデール少尉が彼に返させている。 日ごろの行いや人徳と言うのは大切である。

2019-03-31 17:43:08
アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M

まあ、とにかく「捕虜」の視点で見た戦時下の日本の姿を、多少の偏見を挟みつつも赤裸々に綴った手記であり、巻末には翻訳者による非常に詳細な解説・注釈もついているため読んでいてとても面白い本であった。 クラーク青年が自分が見聞きした者をイラストに起こしているため、読んでいて飽きない。

2019-03-31 17:45:49