明治からくれなゐ

丸山さんのお話です 明治大正設定、人外設定あり
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よつげ @Eight_os

五百五拾 呆気に取られている私達。 「お別れってそういうこと…」と旦那様が呟く。 あ、旦那様も知らなかったんだ。 『ていうか、先の世界が見たい言うのが俺らの元々の未練やのに、成仏なんかするわけないやろ! 何年経っても生き残ったるわ!』 『もう死んでるやん!』 #エイトで妄想

2019-07-28 23:25:07
よつげ @Eight_os

五百五拾壱 お別れ、って言ったのに、何だか笑えてきて 一気に部屋中が柔らかい雰囲気になる。 『せやからな、終の別れとちゃうねん 俺らはずっと、おんなじ空の下におる』 『二人がまた危ない目にあったら、何時でも助けに行くでー』 『章ちゃんは危険察知するん得意やからな』 #エイトで妄想

2019-07-28 23:25:07
よつげ @Eight_os

五百五拾弐 『やから、あと、寂しなったらいつでも呼んでええ そん時はまた此処に来たるから』 うん うん… 寂しくないって言ったら嘘になるけど みんな、何処かでまた幸せに話してる。 其れだけでも、充分な気がした。 信じれば、いつかまた会える。 『…さて』 #エイトで妄想

2019-07-28 23:25:09
よつげ @Eight_os

五百五拾参 『そういうことやから、若…頼むわ』 「…うん」 旦那様は少し寂しそうな笑みを浮かべてから、真剣な表情になり そっと、ひとつずつ手を当てていった。 手が当てられた順に、火の玉がふっと湧いて出てくる。 壺からは紫の 笛からは赤の 簪からは黄色の 鈴からは青の #エイトで妄想

2019-07-28 23:25:10
よつげ @Eight_os

五百五拾四 色とりどりの火の玉が部屋に浮かんで 何度か部屋をぐるぐると回ったあと 勢いよく窓の外へ消えていった。 『またなー!』と言う安田さんの声が最後に聞こえた気がした。 …妖達が行ってしまって静かになった部屋。 何処か呆けた気分で窓の外を見つめていた。 #エイトで妄想

2019-07-28 23:25:11
よつげ @Eight_os

五百五拾五 体調は随分快復したものの 此れで良かったのかという疑問が頭を巡っている。 其れを打ち砕いたのは、やはり旦那様だった。 「腹減ったな」 え? 「久々にお前の飯が食いたい」 訳もわからず涙が出てきて 同時に、すっと腑に落ちた。 #エイトで妄想

2019-07-28 23:25:12
よつげ @Eight_os

五百五拾六 慣れ親しんだ場所だ。 寂しくなかったわけがない。 其れでも皆が此処を出る決断をしたのは 多分…私達のため。 思えばずっとみんな私達を心配して見守ってくれていた。 きっとこれからも。 …私達が、いつも通り、笑って毎日を送ることが きっと彼らへの花向けだ。 #エイトで妄想

2019-07-28 23:25:12
よつげ @Eight_os

五百五拾七 「…すぐ作ります 何がいいですか?」 「せやなぁ…」 其の時 ガラガラ 「丸ー!」 「丸山くーん!」 「あっ、横山さん達や、僕見てくる!」 「えっ、狡いです私も行きます!」 だから私達は こんな幸せな日々を 噛み締めて生きていけば良い。 #エイトで妄想 pic.twitter.com/sV4r2szAmA

2019-07-28 23:25:14
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よつげ @Eight_os

五百五拾八 其れから 「おかん、これなにぃ?」 「これはね、 私とお父様が、昔、沢山沢山お世話になった方のお話ですよ」 「ふーん…むつかしくてよめへん!よんで!」 「ふふ、はぁい」 旦那様が書いたあの話は、其れからもずっと語り継がれていきました。 #エイトで妄想

2019-07-28 23:25:16
よつげ @Eight_os

五百五拾九 「旦那様の書かれたお話、子ども達がとても喜んでます」 「そうか」 「せっかく書くのがお上手なんですから もっと色々書かれたらいいのに」 「あれは僕の話やなくてあいつらの話や それに、僕は物書きとちゃう」 「分かっております」 #エイトで妄想

2019-07-28 23:25:16
よつげ @Eight_os

五百六拾 そんな風に仰る旦那様が 実は其の頃、『私と旦那様の話』を書いていたこと そしてそれが私の家の書庫に代々残っていき ある日、一人の青年に見つけ出されることを 私は知る由もありません。 #エイトで妄想 pic.twitter.com/sxX9q5cMet

2019-07-28 23:25:19
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