尾上先生の勉強風景 (21) ゴールドバーグ『家父長制の不可避性』

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尾上正人 @9w9w9w92

Goldberg, Steven. (1974) The Inevitability of Patriarchy: Why the Biological Difference between Men and Women Always Produces Male Domination, Includes Response to Critics and Other New Material, Morrow. かなり古い本だが副題のテーマは頗る現代的(こう言ってよければ進化心理学的)

2019-04-22 06:36:38
尾上正人 @9w9w9w92

父母への献辞がヘブライ語で読めん…(^ ^;)

2019-04-22 06:39:10
尾上正人 @9w9w9w92

著者の言う「不可避性(inevitability)」は日常的な意味であって、厳密に演繹的な意味ではないと。p.10.

2019-04-22 10:56:29
尾上正人 @9w9w9w92

「(個人的感情と、権威を持つ社会的価値によって知られる)男を『うまく避け(get around)』なければならないという女の感覚が…男の支配を特徴づけるものである」p.26.

2019-04-22 11:59:17
尾上正人 @9w9w9w92

「社会学者は、ほとんど全ての探求において、生物学的可能性の限界内に収まる社会的行動を取り扱い、ヒトの可能性の限界、あるいはそのような限界を設定する諸力を調べることを余儀なくされることはめったにない」p.29.

2019-04-22 12:21:38
尾上正人 @9w9w9w92

「もしここで提示する理論が正しいならば、それ自身を社会学的、文化人類学的あるいは経済学的レベルに限定するいかなる理論的分析も、我々がこれから議論する行動や制度の<因果関係(causation)>を説明しようと望むべくもないだろう」p.30.

2019-04-22 12:31:58
尾上正人 @9w9w9w92

「家父長制は、家族を超えるレベルの組織のみに言及する。つまり、家族や二者関係における権威は<男の支配>の語で叙述される。家父長制は普遍的である。…それらの[政治的・経済的・宗教的・社会的]領域における権威やリーダーシップを男と結びつけることができなかった社会は存在しない」pp.31-2.

2019-04-22 12:59:38
尾上正人 @9w9w9w92

「男の支配は、女の意志がいくぶん男の意志に従属し、二者および家族の関係における一般的権威が…究極的には男にあるという、男女双方の感情によって知られる<感覚>に言及する。…家父長制の場合と同様に、男の支配も普遍的である」p.33.

2019-04-22 16:25:27
尾上正人 @9w9w9w92

「家父長制も男の支配も、社会を超えた(suprasocial)要素の直接的結果であり、家父長制が男の支配の不可避性を表しているとか、[逆に]男の支配が家父長制の不可避性を表しているとか言う必要はないのである」p.38.

2019-04-23 11:31:31
尾上正人 @9w9w9w92

チャンブリ神話批判…「[マーガレット]ミード博士の性役割の可塑性に関する結論は、彼女の叙述した観察からは出てこない…チャンブリの男の子のイニシエーションは、男の子が生贄を殺し、トロフィーとして儀式の家に吊るすことから成っていた。これを『男の女性化』を示すものと見るのは難しい」43-4

2019-04-23 12:12:25
尾上正人 @9w9w9w92

「男たちが自分たちの[子どもが生まれる上での]生物学的重要性について知らないが、<しかし他の全ての社会と同じくらい家父長制的である>ような多くの社会を、民族誌学者は発見した。このことは、父性の知識が家父長制とは全く関係ないことを、疑いもなく示している」p.53.

2019-04-24 06:13:20
尾上正人 @9w9w9w92

「社会制度における性差のどんな生物学的説明にも疑問を呈するという(たいていは暗黙の)目的のために、かつては母権制(matriarchies, 家母長制)が存在したことをほのめかす多くの本の中で喧伝される『証拠』を与えるのが、これらの[古代ギリシア・ローマなどの]神話や伝説である」p.56.

2019-04-24 06:35:32
尾上正人 @9w9w9w92

母権制存在論者がよく持ち出すモーガンの平等主義的なイロコイ族の女たちは実際には、支配することを禁じられ、「下僕」と見なされていた。p.58.

2019-04-24 06:42:49
尾上正人 @9w9w9w92

母系制は、エンゲルスの社会進化理論に載っかるものではなく、私有財産が重んじられる階層化された社会、政治的に統合された封建的土地所有の社会にも見られる。p.59.

2019-04-24 06:49:11
尾上正人 @9w9w9w92

「私は、ある制度が普遍的であるから<必然的に>不可避である、と言っているのではないことをはっきりさせたい…おそらく普遍性の最も明らかな理由は…技術的無知か経済的稀少性だ…不可避性は、社会の性質一般か…あるいはまさにヒトの生物学の性質から来ている」p.62.

2019-04-24 12:12:52
尾上正人 @9w9w9w92

「あらゆる社会において最も地位の高い女はその高い地位を、夫(あるいはケースは少ないが息子)から引き出している」p.72. アキノやヒラリーには当てはまるだろうが、メルケルやメイはもう違うよな

2019-04-24 17:01:28
尾上正人 @9w9w9w92

「本書は本質的に、なぜこれら3つの制度[家父長制、男の支配、家族を超えた役割・位置での男の高い地位の獲得]が普遍的であるのかを発見し、これらが不可避的である可能性を予測しようとする試みである」p.73.

2019-04-24 17:10:06
尾上正人 @9w9w9w92

「『攻撃性』へのより大きな能力(あるいは、その放出へのより低い閾値)を男たちに与えるホルモン要因が存在する。これは、『攻撃性』が成功を導くであろうどんな領域でも発動され得る点で、優位性となる。これが、『生物学的』と言うことで意味することの全てである」p.75. それだけかよ(笑)

2019-04-24 18:59:42
尾上正人 @9w9w9w92

「もしも環境的要素が単にホルモン要素が設定する制限に順応するだけであるなら、ホルモン要素が決定する性的方向性は不可逆的であり、これらの方向性に順応する制度は、もしもこの理論が正しいなら、不可避的である」p.75. まどろっこしい文章(^ ^;)

2019-04-24 19:04:48
尾上正人 @9w9w9w92

後に「ブレンダと呼ばれた少年」で悪名高くなる(当時すでに「ブレンダ」は育てられていた)ジョン・マネーの説を引きながら、自らのホルモン重視の立場を強調しているが、マネーの引用文そのものはバランスの取れた見方に思える。pp.78-84.

2019-04-25 06:16:01
尾上正人 @9w9w9w92

「男のホルモン・システムが[女]より大きな男の『攻撃性』を生み出し、それが与えられた役割やポジションを獲得する際の男の優位性に帰結し…それでリーダーシップや地位のポジションや役割を男が獲得し、それに従って小さな子どもたちが社会化されることが不可避となる」p.92. 単純すぎやせんか?

2019-04-25 13:39:03
尾上正人 @9w9w9w92

「ホルモン的なものが社会的なものを不可避にする」p.93. ホルモン帝国主義(笑)

2019-04-25 13:47:28
尾上正人 @9w9w9w92

「攻撃性は、直接的な…生物学的証拠によって説明できる唯一の性差である。…男をより攻撃的にするホルモン・システムを除いて、男と女の間には性差が存在しないと我々は想定している」p.104. これも逆に超おかしいだろう

2019-04-26 06:22:21
尾上正人 @9w9w9w92

「男の役割に高い地位が与えられるのは主として、男がそれらの役割に就く<から>ではない。男がそれらの役割に就くのは、彼らの生物学的攻撃性の『優位性』が、<あらゆる社会において高い地位で報いられるあらゆる子供に関係しない領域において>明示され得るからである」p.105.

2019-04-26 06:32:25
尾上正人 @9w9w9w92

「[フェミニストが主張するように]女はそのように[高い地位に就かないようにと]社会化されている、しかし我々は再度、それはなぜなのかと問わねばならない」p.106. これは正しい…「なぜ」の問いを途中でやめてしまうのが社会構築主義

2019-04-26 06:45:37