尾上先生の勉強風景 (21) ゴールドバーグ『家父長制の不可避性』

フォー
0
尾上正人 @9w9w9w92

「男の支配は、攻撃性に関わる生物学的要因における男と女の違いの(男と女の双方が感じる)感情的解決である」p.114.

2019-04-27 08:39:33
尾上正人 @9w9w9w92

「本書は、女の行動を説明するふりをするのではなく、ただ単に、もし女が攻撃性の低い男以上の何ものでもないならばそうするように、女は行動せざるをえないだろうということを示そうとするだけである」p.114. 要するに女の行動は分析しないってことよな…それじゃあかんと思うが

2019-04-27 08:44:07
尾上正人 @9w9w9w92

「社会の性差のある制度や性差のある社会化の目的は、男と女の性質を作り出すことではない。生理学だけが、そうするに十分であろう。社会は、生理学的な区別によって設定される性的な方向性に、その制度と社会化を順応させているのだ」p.118. 言わんとすることは正しいが、「目的」と言ってはあかんね

2019-04-27 11:33:42
尾上正人 @9w9w9w92

「産業社会はこの攻撃性を<誇張>する。そのような社会の経済的・社会的現実の性質からして、この生物学的要因の最小限の可能な効果ですらも、性役割の分化の度合を決定する上で非常に大きなものとなろう」p.121.

2019-04-27 14:06:42
尾上正人 @9w9w9w92

人種間の生物学的違いが政治権力獲得の差を説明できないのに対して、生物学的性差は権力獲得の差を説明できると。pp.127-8.

2019-04-27 14:36:01
尾上正人 @9w9w9w92

「(男にあって)高い地位の獲得と身体的強さとの間には何の相関もないようだが、そのような[高い地位の]獲得と『攻撃性』の間には相関が容易に観察できる」p.139.

2019-04-28 04:28:40
尾上正人 @9w9w9w92

「もし実験的な社会に、胎児期の男性化が妨げられた遺伝的な男の子と、子宮内で偶然に男性化された遺伝的な女の子を住まわせたら、遺伝的な女が支配し、権威は彼女らに結びつき、彼女らは高い地位のポジションを得て、二者関係で支配的で、社会化はこの全てに順応するようになるだろう」140 ブレンダ

2019-04-28 04:40:11
尾上正人 @9w9w9w92

「生物学的な性質と近代社会の間の衝突は非常に大きい…種の繁殖がもはや、あらゆる場合において純粋な喜びとは見られない言い表しがたい状況」pp.142-3.

2019-04-28 09:01:39
尾上正人 @9w9w9w92

「生物学は決して、差別の言い訳として用いられるべきではない。…生物学は決して、いかなる女にいかなる選択肢を拒絶することも正当化できないが、しかし、文化的・環境的な説明にはできない行動・制度の普遍的な性差を説明するのである」p.146.

2019-04-28 09:14:22
尾上正人 @9w9w9w92

「近年の大卒者の職業的願望ではなく、生存が、進化の命法なのだ。もし子どもを産むのに必要な能力・傾向・行動が女にビルドインされていなかったら、もし女を守るのに必要な攻撃性と身体的性質が男にビルドインされていなかったら、我々は生存できなかっただろう」146-7 ここは進化(心理学)的立場

2019-04-28 09:22:11
尾上正人 @9w9w9w92

「遺伝ー環境の相互作用の不定形な複雑さは、この相互作用の生物学的構成素によって可能性に課せられる制限の決定論的性質に影響しない。育ち(nurture)は、生まれ(nature)が設定する限界に順応しなければならない。我々を導く生物学的諸力は方向づけるが、水路づけない。それは社会の仕事だ」p.147

2019-04-28 09:47:20
尾上正人 @9w9w9w92

「生物学は、それが完全に軽んじられた時にのみ<要求する>。大部分の時には、それは説得する」pp.147-8.

2019-04-28 09:51:46
尾上正人 @9w9w9w92

「攻撃性は不可避だが、戦争におけるその制度化は不可避ではないかもしれない。…子殺しを不可避にしている生物学的要因などない。…子殺しや(おそらく)戦争とは違って、家父長制・男の支配・男の[地位]獲得は、それらを生み出している生理学的要因から切り離すことができない」p.151.

2019-04-28 10:57:57
尾上正人 @9w9w9w92

「攻撃性がリーダーシップや地位の獲得、そして二者関係での支配にとって決定的なのは、攻撃性に積極的な社会的価値が置かれているからではなく、攻撃性が獲得と支配のための前提条件となる性質だからである」p.152. 男の支配を専ら攻撃性に帰着させるのは正しくないが、後半で言ってることは合ってる

2019-04-28 11:14:40
尾上正人 @9w9w9w92

「たとえある社会の価値システムが攻撃性をその全ての形において軽蔑していたとしても、男の攻撃性が獲得と支配に決定的であろうことは不可避である」p.152. これ「性淘汰」で説明すべきことなんだが、残念ながら1970年代の著者にはその概念がない(ダーウィン性淘汰説はまだ100年の眠りの中にいた)

2019-04-28 11:20:32
尾上正人 @9w9w9w92

「ある集団が攻撃能力において他の集団に明白な生物学的優位性を持つのは、ただ男女の間の『競争』においてのみである。その他の全ての集団間の競争においては、いかなる集団も他に対して生物学的優位性を持たず、それゆえに、望ましいポジションの獲得と常に相関する変数は性をおいて存在しない」p153

2019-04-28 11:38:32
尾上正人 @9w9w9w92

「フェミニズムは、生理学とその不可避的な社会的現れを否定した最初の世界観ではない。19世紀には、生得的なセクシュアリティを否定し、セクシュアリティの現れが繁殖機能だけに限定される社会を夢見た何千もの原理主義者たちがいた」p.155.

2019-04-28 11:43:09
尾上正人 @9w9w9w92

「原因と機能の混同…性分化が求める経済的機能は、分化の原因ではない。男の攻撃性の生物学的要素は、あらゆる経済システムで現れる。…男の支配は政治経済システムの性質のためだと結論し、政治経済システムの可能な多様性が男の性質により制限され、それに順応しなければならないことを無視」167-8

2019-04-28 15:06:46
尾上正人 @9w9w9w92

知性面での女性上昇婚(男性下降婚)は、男が女を見下していたいからではなく、選ぶ側の女が自分より知性の劣る男を好まないからだという指摘、フェミニスト自身の証言。pp.181-2.

2019-04-28 15:48:41
尾上正人 @9w9w9w92

うぎゃっ、本が古すぎて、読んでるうちに遂に上下巻に分かれてしまった! どちらかと言えば下巻の方が面白い(笑) pic.twitter.com/z5cFqgA1lD

2019-04-28 18:04:55
拡大
尾上正人 @9w9w9w92

高いハードカバーをわざわざ買う意味ってのを、こういう時には痛感するなあ(泣笑)

2019-04-28 18:07:02
尾上正人 @9w9w9w92

「女の発達は、たとえそれが生命そのものを創造し維持するように向かう傾向のある生物学的要素に導かれていなかったとしても、内に向かうべき攻撃性が少ないという点で、より『健康的』である。かくして女の生物学は、攻撃的な男の生物学とほぼ同じほどには家族・社会の環境の現実と衝突しない」217→

2019-04-28 21:56:53
尾上正人 @9w9w9w92

(承前)「それで、[女にあっては男よりも]創造的エネルギーに水路づけられるべき、挫折感のある攻撃性が少ないのである」p.217. フロイトの昇華説あたりを引きずってそうな…

2019-04-28 22:00:05
尾上正人 @9w9w9w92

「偽りの生物学的法則を強制する試みにおいて犯されたあらゆる不正にもかかわらず、ジェンダーに結びついた役割は主要には、性差の原因というよりむしろ結果であった。性は、個人的アイデンティティの最も明白な決定因である」p.229.

2019-04-28 22:45:02
尾上正人 @9w9w9w92

読了。極めて先駆的ではあるのだが、「生物学」を標榜しつつ進化にも遺伝にも言及しないホルモン一辺倒の説明が残念。「少年ブレンダ」の悲劇を生み出したジョン・マネー(本書で多数引用され当時の権威だったのがわかる)の立場も、環境決定論というよりホルモン決定論では? twitter.com/9w9w9w92/statu…

2019-04-28 23:09:37
尾上正人 @9w9w9w92

読了(と言っていいものやら…ちんぷんかんぷんなとこも多かったorz)。性差の遺伝的決定と環境決定の二項対立の間に、(遺伝子からも環境からもある程度は独立な)ホルモンによる決定という、広大な領域が広がっていることを垣間見させてくれる本ではあった

2018-12-29 08:38:38