まるで著者の隣に立って出来事を眺めているかのようなレビュー『英国人捕虜が見た大東亜戦争下の日本人』

yukiusagiさんから『英国人捕虜が見た大東亜戦争下の日本人』の感想をDMで送っていただきましたが、この方の視点が独特で、本の中の世界に入り込んで、著者の横に立ってそこで起きる出来事を一緒に眺め、そこにいる人々の表情の変化まで見えているような内容だったので、ぜひ多くの方に読んでもらいたいと思い、オープンで分割ツィートしていただきました。
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yukiusagi @n_lapan

「英国人捕虜が見た大東亜戦争下の日本人 -知られざる日本軍捕虜収容所の真実」を読んで

2019-04-26 15:18:25
yukiusagi @n_lapan

普段、戦争物は好んで読まないのですが、著者が好きだったという「少年キム」を私も好きだったこと、捕虜として日本で過ごした著者のエピソードが、他にはない英国人的なユーモアに富んだ冒険物語として描かれていると紹介されていたので読んでみることにしました。

2019-04-26 15:19:11
yukiusagi @n_lapan

前半は敵性国家である日本に対する著者や仲間たちの言葉にいちいち不快感を覚えたり、「チビ」「出っ歯」「つり目」といったよくある日本人の描写に少しがっかりすることも多かったです。

2019-04-26 15:19:38
yukiusagi @n_lapan

そして、捕虜になる前の激しい戦闘の場面辺りから、辛くて読み進めるのが段々嫌になり始めたので、なんとか読破するために途中からは訳注もチェックせずに流し読みで進めました。

2019-04-26 15:21:01
yukiusagi @n_lapan

すると、気づいたのです。この本全体に漂う空気感が、今まで読んだ戦争本とは全く違うことに。 さらさらと読もうと思えばどんどん進めます。というのが、著者があまりにも事実を淡々と粛々と描いているからでした。

2019-04-26 15:22:27
yukiusagi @n_lapan

同僚の死に際しても、自分が殺した日本軍に対しても、その事実のみがさらりと軽い調子で書かれているので、まるで食事をしたら歯磨きをするように、ごくありふれた日常の出来事として読み流してしまいます。 これは、こちらの感情が置いてきぼりにされるような、何とも言えない感覚でした。

2019-04-26 15:23:02
yukiusagi @n_lapan

でも、それに慣れていくと、著者が感情を必要以上に書いていないゆえに、より明確に浮かび上がってくる現実感は、それが日常生活である世界に突然送り込まれた人間が、精一杯自分を守る術だったのかもしれないと思うようになったのです。

2019-04-26 15:23:21
yukiusagi @n_lapan

いちいち一喜一憂していては自分の体も精神も正常に保つことができない、毎日毎時間、生と死の交錯する世界に投げ出されたとき、人はこのようになるのかもしれません。

2019-04-26 15:23:49
yukiusagi @n_lapan

そして、思いがけないことに、この本では著者が捕虜となってからがより明るくユーモラスな展開になっていきます。特に、日本の大森捕虜収容所に送られた後、彼らが生き生きする様が見て取れます。

2019-04-26 15:24:21
yukiusagi @n_lapan

この本を読むまでに私が描いていた外国人捕虜とは、映画「戦場のメリークリスマス」で観たような過酷で悲惨な姿でした。

2019-04-26 15:24:55
yukiusagi @n_lapan

しかし、著者たちは違いました。そこに描かれていたのは、前向きで機知に富み、日本人の支配を越えて生き延びようとするしたたかでどん欲なエネルギーに溢れた逞しい捕虜たちの姿でした。

2019-04-26 15:25:44
yukiusagi @n_lapan

特に、監督官の目を盗んで食料を盗み食べまくった結果、体重が44kgから人生最高の70kgまでに増えた-というエピソードは笑えました。一般の日本国民の食糧事情が厳しい折、捕虜という立場でそこまで食べられたことに驚くばかりです。

2019-04-26 15:26:02
yukiusagi @n_lapan

さらに、クリスマスのシンデレラの上演は愉快だったし、さらに終戦後、味方からかなり乱暴に届けられた空からの物資投下が、まるで爆弾のようだった場面も笑えました。

2019-04-26 15:26:39
yukiusagi @n_lapan

残酷さや悲惨さ、絶望しかない戦争という時代の中にあって、自分の希望も将来も犠牲にし、国家のために命を懸けて戦った人々、そして、そんな状況で敵味方として出会った男たちの、過酷な中にも時に人情の触れ合いも垣間見える複雑に絡み合ったリアルな世界を知ることができました。

2019-04-26 15:27:00
yukiusagi @n_lapan

著者の驚くべき記憶力、描写力によってつづられたこの本は、現代人にとって素晴らしい歴史的資料になるでしょう。 しかし、私のような戦争に無知な人間は、1回読んでも豊富な情報を消化することができませんでした。

2019-04-26 15:27:22
yukiusagi @n_lapan

2回目、3回目と読めば読むほど、著者が生きた時代感、価値観、人々の生活が徐々に理解でき、その中で著者を始めとした外国軍人や日本軍人、そして彼らを泣く泣く送り出さざるを得なかった家族や母国民たちの、逃げ場のない苦しみや悲しみ、苦難に寄り添うことができるのではないでしょうか。

2019-04-26 15:27:39
yukiusagi @n_lapan

また、この本の著者は、敵であり支配者である日本軍人に対しても、必要以上の憎悪や恨みにとらわれることなく、とても客観的にユーモラスに描いている点が他の戦争本とは全く違います。

2019-04-26 15:27:54
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コメント

文里 @wenly_m 2019年4月27日
これは本を読みたくなる感想文。
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田中一郎 @eggmanpat 2019年4月28日
逆のケースだが、会田雄次が書いたノンフィクション、「アーロン収容所」は衝撃的。日本軍の捕虜たちから見えるところで英軍の女性兵士は平気で全裸になり着替えをする。別に日本人捕虜の慰安のためにストリップショーをやってくれてるわけじゃない。その理由を知ったとき会田雄次は白人の本質を悟ったという。
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