【シナリオ】羽根っ娘化パンデミック①

羽根っ娘化パンデミックの話
1
@akuochiken

「目が覚めたら、自分が一度羽根っ娘の姿に覚醒していることは忘れて、ここに運び込まれたときのままの記憶だから、きちんと世話してあげるのよ?」 彼女は少女を俺の傍らにあるベッドへと寝かせながらそう言った。 「それと、ここで見たこと、私の正体も含めて他言無用よ」

2019-04-28 00:45:48
@akuochiken

「あなたなら口を滑らすことはないと思うけど、もし私との約束を破ることがあったら、あなたも羽根っ娘に変えてしまうから、ね」 彼女はこちらにぐいっと顔を近づけた。 「いい? あなたと私のここでの関係は医師と患者。あなたは私を先生と呼んでくれれば、ここでの行動に困ることはないわ」

2019-04-28 00:51:05
@akuochiken

「それどころか、私に協力してくれる限りは、ここにあるものは好きに使っていい。この施設に入れられている子たちも、ね。あの子たちは全て潜在的に羽根っ娘になる子たち。いわば既に私の支配下にあって、自由にできるの。望むなら私を使ってくれてもいい。あなたになら私の真の姿を見せてもいいわ」

2019-04-28 02:51:24
@akuochiken

優しく、そして妖艶な笑みを浮かべる彼女の、こちらを見る瞳は、猛禽類のように鋭く光り始めていた。 「あと、あなたも羽根っ娘になりたくなったらいつでも言って。あなたなら、そこの彼女よりもっと美しい羽根っ娘になれる。ううん、私がこの世のどんな羽根っ娘よりも美しい存在に変えてみせるから」

2019-04-28 02:57:04
@akuochiken

なぜ俺にそこまで拘るのか、俺の身体を研究して何を成そうとしているのか、質問した。 「……この羽根っ娘化パンデミック、既にウィルスは全世界にばら撒かれている。それに屈するか、抗えるかは人間次第じゃない? もし私以外にこの現象を制御できる人間がいたら、人類は助かるんじゃないかしら」

2019-04-28 03:02:51
@akuochiken

分からない、と伝えた。 「あなたは分からなくていいわ。それを決めるのはあなたでも私でもない。でも、あなたはそこの彼女を助けたいと思ってるでしょう? それが答えの一端よ」 彼女は、静かな寝息を立てて眠っている少女の姿を穏やかな顔で一瞥し、ゆっくりと部屋の外へと歩いていった。

2019-04-28 03:13:43
@akuochiken

「彼女が目覚めたら、そうね、潜在的な羽根っ娘として色々溜まってると思うから、きちんと相手をしてあげなさい。それが終わったら私の部屋まで来なさい。この研究施設のこと、教えてあげるから」 部屋ってどこだよ、と聞いた。 「大丈夫大丈夫、“彼女なら”分かるから、彼女と一緒に来なさい」

2019-04-28 03:21:24
@akuochiken

こちらに背を向け、左肩越しに目線を投げ掛けて軽く左手を振って部屋から出てい行った彼女。 なんだよ、彼女なら分かるってエスパーかよ、と思っていたが、このときはまだ、彼女が羽根っ娘を支配下に置いているという意味も、彼女なら分かるという意味も取り違えていることに気づいていなかった……

2019-04-28 07:50:09