【シナリオ】羽根っ娘化パンデミック①

羽根っ娘化パンデミックの話
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深海さかな @dzurablk_kai

@akuochiken 犯されてのウイルス感染がいいです!!!

2019-04-21 20:53:11
@akuochiken

「羽根っ娘化現象……昨年の末くらいかしらね、世間を賑わした流行病。感染者は男女関係なく翼の生えた女性へと変化する。それだけならともかく、羽根っ娘化した人間は性欲が異常に増大し、同族を増やそうと、まだ羽根っ娘になっていない人間を襲い出す。だから人知れず隔離されていったと」

2019-04-21 21:01:15
@akuochiken

目の前の、タイトなスーツに身を包んだ物腰の柔らかい女性は、こちらへ淡々と説明を行った。 「ここ、どこか分かります? あなたが連れてこられたここは、そういった羽根っ娘化してしまった感染者が隔離され、元に戻すために日々、研究と治療が行われている研究所。あなたも感染の疑いがあるの」

2019-04-21 21:05:32
@akuochiken

彼女はこちらを誘うように黒手袋に包まれた右手を差し出す。 「さて、あなたはどちらかしら? 羽根っ娘へと変わっていく快楽に堕ちていくか、それとも人類を羽根っ娘化から救う希望の星になるのか」 何を言っているのか分からない、そもそもここは治療施設だから治ることが前提だろうと問うた。

2019-04-21 21:11:47
@akuochiken

「あら、確かにここは研究所であり治療施設だけど、あなたの目の前にいる人間があなたの味方とは限らないじゃない」 彼女掲げた右手を目の前で組み直し、軽く腕組みをして少し身体を向こう側に傾けた。 「私が羽根っ娘化を自由に操れる人間とすれば、どうする?」 彼女はニヤリと微笑む。

2019-04-21 21:17:07
@akuochiken

「私はね、この羽根っ娘化パンデミックと呼ばれる一連の事件の、一番最初に覚醒した羽根っ娘の一人なの。そして人類の中で、この羽根っ娘化を推進する使命を帯びている言ってみれば、あなたの、敵、よ。残念ながら」 彼女は左手を右腕に添えたまま、目の前に右腕を立てて右手を眼前に掲げた。

2019-04-21 21:30:16
@akuochiken

「記念に私の力を見せてあげようか? そこの彼女で、ね」 俺の傍らには、俺と一緒にここへと運び込まれた幼馴染みが横たわっていた。 彼女の病状の進行は深く、背中から鳥の翼を思わせるような突起が見えるほどであった。 「はい、お姉さま……」 眠っていたはずの彼女が呟き、ゆっくりと歩き出す。

2019-04-21 21:34:11
@akuochiken

目の前の女性へと向かって、脇目も振らずに歩み寄る彼女は、そのまま女性の手に引き寄せられて体勢を崩し、彼女に抱きかかえられる形となった。 「ふふっ、美しい顔ね。とても、とても綺麗な子」 虚ろな目をして女性を見つめている彼女の唇を、黒手袋をした右手の指先でそっと触れる。

2019-04-21 21:40:46
@akuochiken

次の瞬間、女性はその唇に自らの唇を重ね、激しい接吻を始めた。 その行為によって何かが覚醒したのか、虚ろだった目が見開いて、苦しそうな表情を浮かべる少女。 「さぁ、解放しなさい。あなたの本来の姿を」 唇を離した彼女は、少女をゆっくりと地面へと下ろし、優しく囁いた。

2019-04-21 21:48:15
@akuochiken

「あ……ああん……」 少女は快楽に身悶えるように嬌声を上げる。 それと同時に彼女の身体が一気に変化していく。 美しく白い翼を背中に携えた、羽根っ娘へと。 もはや彼女の着ている服は、彼女の身体を包み隠すという本来の用途を失い、勢いよく背中を突き破って広がるその翼の前に破け去った。

2019-04-22 23:01:08
@akuochiken

彼女の背中から翼が生えてきたことは誰の目にも明らかな“羽根っ娘化”の視覚的変化であったが、心なしか彼女の全身の肉付きが良くなったように感じられた。 未だ床へとうずくまっているためよく見えないが、僅かばかり体型が大きくなり、その胸も豊満なものへと変化しているように見えた。

2019-04-22 23:08:04
@akuochiken

「はぁ……はぁ……」 彼女の口元から吐息が漏れる。 肩で息をするように苦しそうな様子であったが、自らの身体を縛り付けている両腕の中で、変貌した肉体を入念に味わっているようにも見えた。 「立ちなさい」 女性が彼女へと語りかける。 その言葉に呼応するようにゆっくりと彼女が立ち上がる。

2019-04-23 23:26:24
@akuochiken

「はい、お姉さま」 先ほどと同じ言葉、だがその声には、先程の虚ろなものではなく、確固たる意志が介在していた。 こちらに背を向けた彼女の翼は、美しく白く、そして立ち上がる際の風に揺らされて光が波打っていた。 その白い翼は、奥に佇む女性の黒衣と対照的に映え、大変幻想的に見えた。

2019-04-23 23:33:03
@akuochiken

女性へと倒れかかるように寄り添っている彼女と、それを右腕で優しく抱いている女性。 その右手は、彼女の滑らかな髪をすくように優しく撫で、そのまま翼を、羽根を愛おしく触れていく。 「私の見立ての通り、あなたはとても美しい羽根っ娘になれたわね」 「これもお姉さまの導きがあってこそ、です」

2019-04-23 23:42:07
@akuochiken

自らの顔を見上げて慕う彼女の顔を見て、優しい瞳で返す女性。 不意に、その顔がこちらへと向けられる。 「ほら、分かったでしょう? 私は羽根っ娘を、この羽根っ娘化という現象そのものを自由に操れる。それがあなたの大切な人であっても、たとえあなたがその傍にいても、ね?」

2019-04-23 23:55:00
@akuochiken

「あなたが置かれている状況はこう。まず、ここは人里離れた隔離施設。あなたの目の前にいるのは、羽根っ娘を自由に操れる親玉。もう想像できると思うけど、この扉を開けた先にはいっぱいいるのよ、あなた達と同じようにここに連れて来られた、羽根っ娘予備軍の子たちが」

2019-04-24 00:10:26
@akuochiken

自由にしている左手の、その人差し指を立てて言葉を続ける。 「……ひとつ、取引をしない? あなたの身体を貸してくれるだけでいい、私の研究のためにね」 自らが抱く少女の頭部を右手で更に引き寄せ、彼女の髪へと顔を埋めるようにして、流し目でこちらを眺めてきた。

2019-04-24 00:32:09
@akuochiken

「そうすればこの子も返してあげるし、あなたの、ここでの身の保証もしてあげる」 どうしてそれだけの能力を持っていながら、こんなまどろっこしいことをするのかと聞く。 「あはは、羽根っ娘といっても一枚岩じゃないの。私は私の好きなように人生を謳歌したいだけ。そうじゃない子もいるのよ、別に」

2019-04-24 00:35:45
@akuochiken

彼女は埋めていた顔を少し上げてこちらを見る。 彼女を上目に眺めている目の前の少女は依然として彼女の腕に抱かれ、また彼女を慕うように身体を寄せているが、一方でこちらを再び見つめている彼女の瞳は、先程の笑いとは裏腹に少し哀愁を帯びているようにも感じられた。

2019-04-28 00:01:15
@akuochiken

「私たち羽根っ娘の最終的な目的は、この世界を羽根っ娘で埋め尽くすこと。全ての人類を羽根っ娘にすること。その目的は私たちの間で変わらないけど、そこに辿り着く方法も、時間も、みんなバラバラ。だから私は人間社会に溶け込んで、ここの研究員になって、ずっとあなたのような人を待っていた」

2019-04-28 00:07:39
@akuochiken

「……もう一度聞くわ。あなたが私に協力してくれる限り、あなたの身は保証する。たとえこの先、なにが起こっても、ね。だから、私に協力してくれないかしら?」 こくり、と同意の頷きを行った。 この状況で他に選択肢はないのもあったが、彼女の言葉は信用できるような気がしたからだった。

2019-04-28 00:18:31
@akuochiken

「ありがとう。ふふ、あなたならそう言ってくれると思ったわ。そうなれば約束は守らないと」 彼女は自分を見つめている少女の目線を遮るように、彼女の顔に右手の手のひらを当て、そのままゆっくりと顔をなぞってまぶたを閉じさせた。 「おやすみなさい。また、近い内に会いましょう」

2019-04-28 00:23:25
@akuochiken

その声に呼応して少女の全身の力が抜け、眠り込むように再び彼女の腕の中へと倒れ込んだ。 それと同時に、彼女の背中の白い翼が、彼女の背中へとどんどんと収縮していき、背中に少しの突起はあるものの、元の少女の姿へと戻っていった。 眠っている彼女を、その重量が気にならないほど軽く抱き上げる。

2019-04-28 00:29:04
@akuochiken

「この子は約束通りあなたに返すわ。でも気をつけて。この子の中には、無意識だけど羽根っ娘の性質が混ざり込んでいる。羽根っ娘に覚醒しないことは私が保証するけど、同族化に対する衝動と、激しくなる性欲は、あなたが受け止めてあげるのよ」 彼女は少女を腕の中に抱えてこちらへと歩いてきた。

2019-04-28 00:33:26
@akuochiken

「あら、私がこの子を抱えられるほど力持ちだったことが驚き? 言ったでしょ、私も羽根っ娘なのよ。身体能力は並の人間より遙か上なの。羽根っ娘がそういうの、あなたも知っているでしょう?」 人を蔑むような物言いだったが、その声は優しく、その黒衣の出で立ちとは対照的であった。

2019-04-28 00:40:30