伊藤和子弁護士の無罪判決記事:なぜ監護者性交罪を紹介しないのか

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弁護士 吉峯耕平 @kyoshimine

また、そして大事なことは、18歳未満であればこの事案は処罰できたことを説明しています。それが直近の刑法改正で追加された監護者性交罪です。 伊藤弁護士は、本文の叙述から監護者性交罪を隠蔽します。 これは、18歳未満の近親姦被害者が救済を求める意思を奪ってしまうことにならないでしょうか。

2019-04-27 23:47:19
弁護士 吉峯耕平 @kyoshimine

さらに伊藤弁護士は、こういうことを書きます。 「日本の性交同意年齢は13歳とされ、14歳以上で繰り返し性交されていたとしても、「抗拒不能」「暴行脅迫」が証拠により立証されなければ、罪に問えなかったものと考えられます。」 18歳未満の近親姦事案は、既に処罰対象になっているのにです。

2019-04-27 23:51:28
弁護士 吉峯耕平 @kyoshimine

これは、処罰範囲の狭さを強調して、読者の怒りを引き出し、現行法の不当性を訴えようとしているのです。 煽動としてはいいでしょうが、犠牲になるのは実際の近親姦被害者です。15歳や16歳の被害者が、必死の思いで女性人権の擁護者の書いた記事を読み、処罰は無理だと勘違いさせられるのです。

2019-04-27 23:57:56
弁護士 吉峯耕平 @kyoshimine

こう批判すると、伊藤弁護士は言うでしょう。「それは誤読だ。記事には、ちゃんと『罪に問えなかったものと考えられます。』と過去形で書いてある。今は監護者性交罪があることは分かっている。」と。 誤解させるような書き方をして、ちゃんと逃げ道は用意してあるのです。

2019-04-28 00:00:06
弁護士 吉峯耕平 @kyoshimine

弁護士の文書作成技術は、悪用すればこういうことができるのです。監護者性交罪に触れなかったことも、嘘を書いているわけではないという言い訳が用意されています。 このようなやり口は、フェアと言えるでしょうか。

2019-04-28 00:02:49
弁護士 吉峯耕平 @kyoshimine

「暴行脅迫要件の撤廃」という政治目標のためのムーブメントを盛り上げるためには、実際の被害者の犠牲を厭わない、そんな姿勢が透けて見えます。 他にも、訴因変更の記載が落ちていたり、公訴事実の前にあった暴行行為の時期を「直前」とぼかして書いたり(追記で修正)、非常に問題のある要約です。

2019-04-28 00:09:36
弁護士 吉峯耕平 @kyoshimine

後日判決が公開された場合(残念ながら公開されない可能性もあります。)、伊藤弁護士の要約が妥当だったかどうかについては、さらに明確になると思います。

2019-04-28 00:11:29
弁護士 吉峯耕平 @kyoshimine

伊藤弁護士の姿勢が「被害者に寄り添った」もので、デモに反発した弁護士は被害者の硬化を招いただけだとのコメントをいただきました。 この指摘は重要なものですが、このような紹介で感情を煽るやり口がこの記事はデモの1日前に発表されました)、適切とは思えないのです。 twitter.com/nyahiz/status/…

2019-04-28 00:18:50
は、た、こ @nyahiz

@kyoshimine @Tuba56 ただ、苛烈な批判を浴びせた弁護士の言葉は批判者の態度を硬化させただけで、伊藤さんや神原さんなど、被害者に寄り添った弁護士の言葉こそが理解を得られたということは注目すべきです。 方法論においても、司法の独立を理解してもらう上で、どちらが正しかったのかは明白でした。

2019-04-27 00:06:26
弁護士 吉峯耕平 @kyoshimine

なお、可能性としては、伊藤弁護士が監護者性交罪に触れなかったのは、単に本件で監護者性交罪を論じる必要性を認識できなかったということも、考えられます。しかしさすがに、そんなことはないでしょう。 つまり伊藤弁護士は、あえて意図的に、監護者性交罪を記述から落としたのだと推測されます。

2019-04-28 00:23:06
弁護士 吉峯耕平 @kyoshimine

もう一つ、岡崎支部判決を紹介した記事を引用します。 huffingtonpost.jp/entry/doui-sai… 寺町東子先生がコメントしてます。先生は、近時の一連の無罪判決に対し、強い批判を述べてきた方です。 監護者性交罪を紹介し、その適用範囲に入らない18歳・19歳の被害者にとって苛酷だとしています。まっとうですね。

2019-04-28 14:07:56
リンク ハフポスト 娘と性交した父親に無罪判決 「同意ないだけでは罪にならない」法の問題点も 2017年、愛知県で実の娘と性交したとして、準強制性交の罪に問われた男性に「無罪」という判決が名古屋地裁で言い渡された 7 users 3220
弁護士 吉峯耕平 @kyoshimine

こうなるのが当たり前なのです。ただ、そこからは「暴行脅迫要件の撤廃」というスローガンには繋がらないので、それは都合が悪いということなのでしょう。

2019-04-28 14:08:47

4.一読者との対話

は、た、こ @nyahiz

@kyoshimine 私も正解はわかりません。現実は混沌としています。しかし、丁寧にご対応いただきまして、ありがとうございました。

2019-04-28 00:22:26
弁護士 吉峯耕平 @kyoshimine

@nyahiz どうもありがとうございます。念のため、はたこさんを批判するつもりは全くありません。伊藤弁護士が、表面上は被害者に寄り添っているように見えるのは事実です。

2019-04-28 00:25:03
は、た、こ @nyahiz

@kyoshimine そして、伊藤弁護士の論説の立てかたも一度疑ってみます。彼女の活動には敬意を表していますが。とにかく、ご丁寧な対応、ありがとうございました。

2019-04-28 00:29:29
弁護士 吉峯耕平 @kyoshimine

@nyahiz 被害者の現状を改善するのは、雑な判決批判から「暴行脅迫要件の撤廃」につなげるような扇情的な議論ではなく、もっと地道な活動です。刑事手続の原則と被害者支援を両立させる途があるはずです。 被害者支援に熱心に取り組む弁護士も、無罪判決批判に対し警鐘を鳴らしていました。

2019-04-28 00:34:31
は、た、こ @nyahiz

性暴力について否定的な人々が、分断されていることに、哀しくてしかたがありません。 手を取り合える日が来ることを待ち望みます。

2019-04-28 00:37:58
は、た、こ @nyahiz

@kyoshimine 本当に両立できることを望んでいます。その道があることを望んでいます。 無実の人が守られ、かつ性暴力を受ける人が極力少なくなる、法制度や社会設計ができるよう、市民の立場でも考え、声をあげていきたいと思います。

2019-04-28 00:43:30
弁護士 吉峯耕平 @kyoshimine

@nyahiz ありがとうございます。そのためには、伊藤弁護士のような煽動家が運動を引っ張る現状を改めなければいけません。伊藤弁護士が考えを改めてくれればよいのですが……。 このまま雑に突っ走ると、それは法改正実現の可能性を下げることにもなるだろうと予想しています。

2019-04-28 00:47:35
弁護士 吉峯耕平 @kyoshimine

@nyahiz 「無実の人が守られ、かつ性暴力を受ける人が極力少なくなる、法制度や社会設計ができるよう」 この言葉、大変心強く思います。この言葉に同意できない弁護士はいないはずです。

2019-04-28 00:48:34

5.不誠実な対応は被害者のプライバシーへの攻撃

時系列的には、ちょっと遡ります。

弁護士 吉峯耕平 @kyoshimine

今回の問題で、法律家が考えなければいけない重要なポイントが、判決の公開のあり方。これは、公益とプライバシーが対立する難しい問題。 公開はできないけれど、適切な要約を提供して議論を進めるというのは、一つあり得る方向。でも、それは要約提供者が信頼できることが不可欠の前提となる。

2019-04-27 09:28:46
弁護士 吉峯耕平 @kyoshimine

伊藤弁護士のやったことは、 ・一見して分かる重要情報の洩れがある ・判決書を独占していることを論的に対するマウンティングに利用 ・専門家の問い合わせには多忙を理由に回答せず、粘着扱い ・挙句、要約に重要な情報が抜けていたことを後出し 「信頼できる要約提供者」と真逆なことをやっている。

2019-04-27 09:33:20