『さらざんまい』7話予告考察 ~黒幕説の追加検討、「対象a」という視点で、「ひぐらし」など他作品との比較~

2019年4月から放送開始したテレビアニメ『さらざんまい』。今回、7話予告の考察をします。今回は、前回した黒幕説の追加/検討と、「対象a」という軸で「ひぐらし」など他作品との比較考察をしていきます。なお、ネタバレの配慮はしていないので、アニメ本編を視聴前提のまとめです。
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しろうと @sirouto

普通の百合アニメと「ユリ熊」がぜんぜん違うように、普通のBLアニメと「さら」はぜんぜん違う。まあ、百合やBL以前に、「アニメの常識はイクニの非常識」で、普通のアニメとは、そもそも作りが全然違うんだけど。

2019-05-20 21:29:32
しろうと @sirouto

じゃあどこが違うのかというと、「共感できない」所が出発点なのが非常識。ただ、それは今の「アニメの非常識」であって、現実では共感できない人と仕事をしたり生活したりするのはごく普通のことだ。

2019-05-20 21:34:23
しろうと @sirouto

「けもフレ」や「ゆるキャン」や共感型の作品がヒットして流行したから、それが普通に思えてしまうから、「アニメの常識はイクニの非常識」となるが、アニメの文脈を忘れたら、現実でもそんなもんでしょ?

2019-05-20 21:35:40
しろうと @sirouto

6話も全体としては良い話だったが、ケッピが尻子玉移植を持ちかける辺りも、共感できない、というか非情でクールなので、「さら」後半は重いドラマが待ってそう。今までのイクニアニメもそうだったし。

2019-05-20 21:37:42
しろうと @sirouto

なぜ、こんなことを言うかといえば、「共感を捨てていいなら、面白い話は描ける」のは、コロンブスの卵に思えるからだ。視聴者に余裕がなくなって、ストレスに耐えられないから、今は少ないんだろうけど。

2019-05-20 21:40:18
しろうと @sirouto

もちろん、「さら」の登場人物に共感できないという訳ではなく、むしろ普通のアニメより深い共感がある。今のアニメが好む「浅く広い共感」を捨てて、「狭く深い共感」を取る道。昔のセカイ系がそうだったけど。

2019-05-20 21:42:23
しろうと @sirouto

「共感」ということと関係あるので、最後に以前した「対象a」の話の続きを少ししたい。「対象a」という概念を、なぜ導入するのか? 共感のメカニズムが分かりやすくなるからだ。

2019-05-20 21:48:07
しろうと @sirouto

「対象a」みたいに抽象化・代数化すると、ある作品単体だけではなくて、複数作品に共通する構造が理解できるようになる。具体的にはどういうことか?

2019-05-20 21:50:07
しろうと @sirouto

「対象a」が分かりやすいアニメの代表格が『ひぐらしのなく頃に』だ。なんと、エンディングテーマにそのまま「対象a」という曲がある。

2019-05-20 21:51:35
しろうと @sirouto

「ひぐらし」の世界において、とくに「鬼隠し編」では、「オヤシロさま」が「対象a」である。圭一にとってもそうだし、レナにとってもそうだろう。

2019-05-20 21:54:07
しろうと @sirouto

恐怖の原因であるオヤシロが「欲望の対象」なのは、どういうことか? 簡単に言うと、「対象a」の一般的な例が「お金」だが、お金が欲しいからこそ、借金が怖いようなものだ。

2019-05-20 21:56:50
しろうと @sirouto

圭一の周囲に事件が起こる。自分も被害者になるのでは、と疑心暗鬼に陥る。そんな状況を整合的に理解できるようになる、つまり他者を表現したものが、対象aで、その対象が本当に実在するかどうかは関係ない。

2019-05-20 21:58:54
しろうと @sirouto

原作「ひぐらし」を終盤まで読んでいくと、オヤシロは当初の圭一やレナが想定していた存在でないことが分かる。が、映画のシナリオでいう「マクガフィン」と同じで、当初の想定通りである必要はない。

2019-05-20 22:01:21
しろうと @sirouto

対象aが実在しないと効力を発揮しないのなら、なぜ、宗教がかくも世界中で勢力を維持しているのかが、まったく分からなくなってしまう。対象aは自然にあるものではなく、人間側の必要性によって要請される。

2019-05-20 22:03:14
しろうと @sirouto

もちろん、対象aは実在していても構わない。ただし、実在物とイコールではなく、対象aはポジション。人物自体が対象aというより、その人物のポジションこそが対象a。「ポジショントーク」のポジション。

2019-05-20 22:06:32
しろうと @sirouto

圭一がオヤシロ、対象aを認識する過程で、いくつかポイントがある。たとえば、レナの「嘘だ!」という有名な豹変と、そのヒステリー的なショック。

2019-05-20 22:10:44
しろうと @sirouto

レナの「嘘だ」に比べるとはるかに地味だが、悟史の存在も重要だと私は考えている。圭一が金属バットが悟史のものと知ると、悟史に同一化し、オヤシロの被害者(候補)として、アイデンティティを再構築する。

2019-05-20 22:13:02
しろうと @sirouto

途中から「ひぐらし」の話になったが、「さら」の話に戻ろう。「さらざんまい」の世界での対象aは、「吾妻サラ」がそのポジションを占めている。少なくとも、序盤のカズキとハルカにとってはそう。

2019-05-20 22:15:19
しろうと @sirouto

ハルカの過去の事故に対して自責の念を持つカズキは、サラの女装をして成りすますことで、対象aのポジションを占めるサラに同一化する。

2019-05-20 22:19:18
しろうと @sirouto

ただし、ひぐらしの圭一(やレナ)がオヤシロを本気で信じているのに対して、カズキは自分がサラではないと分かっていてサラを演じている。ヒステリー的か倒錯的かという、対象aに対するスタンスの違いはある。

2019-05-20 22:26:33
しろうと @sirouto

2作品だけ取り上げると恣意的だと思われるかもしれないから、他作品も挙げれば、「エヴァンゲリオン」の世界では、エヴァ(や使徒)が対象aだし、「涼宮ハルヒ」の世界では、ハルヒ(や巨人)が対象aだ。

2019-05-20 22:29:21
しろうと @sirouto

ところで、セカイ系(の要素がある)作品では、対象aが明確に示される傾向があるけれど、きらら系など日常系の世界では不明確になる。対象aは欲望の対象なので、欲望が薄い作品では対象aの存在感も薄れる。

2019-05-20 22:31:45
しろうと @sirouto

これは偶然そうなっているのではない。セカイ系が構造上、主人公が直接に世界と向き合おうとする。が、直接世界を認識するのは困難なので、媒介が必要であり、対象aが出現するという構図になる。

2019-05-20 22:34:32
しろうと @sirouto

欠如した主体が対象aに向き合うと、他者、他者と自己を合わせて世界全体を認識できる、というのは幻想だが、強固な幻想である。なぜなら、それが間主観性となって共同体を形成するからだ。

2019-05-20 22:37:23
しろうと @sirouto

抽象的なので具体的にいうと、お金の実体は紙切れでしかない(ATMの残高は電気信号で紙すら不要だ)が、それを使う人間が信用している限り、幻想であっても共同幻想なので、共同体(円なら日本)を形成している。

2019-05-20 22:39:45