人生が何一つうまくいかないので、お城みたいなラブホで美人の義母と義妹と妻と幼馴染に囲まれエロエロ過ごしたい

城ラブホほんと減ったな…減った。 関連まとめ https://togetter.com/li/1358645
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帽子男 @alkali_acid

何回も引き返そうかと思った。不吉な兆しがあった。 まずレンタカー会社に寄ろうとした道で黒猫が前を横切った。 次に途中のサービスエリアで休憩していると、ゴルフバッグを担いだ怪しげな日焼けした太っちょがおずおずと話しかけてきた。 「ブヒ…あの…えっと…」

2019-02-24 16:29:00
帽子男 @alkali_acid

バッグが動いていきなり側頭部に命中し、太っちょはうめいたあと早口で言ったのだ。 「ドゥフ…すいませんけど、何かおかしなものに追われて…ドゥフ」 またバッグが側頭部に当たる。 「言い方…言い方な…ええと、ストーカーに狙われていませんか」

2019-02-24 16:30:49
帽子男 @alkali_acid

咲耶は凍り付いた。元からおかしな男を寄せ付けやすい性質だが、まさか明らかにストーカーっぽそうな男からそんな風に聞かれるとは。 「あの…分かりません。すいません…もう行かないと」 「あ…ちょっ…」 ゴルフバッグが激しく太っちょの頭をどつき続けるのをしりめに、早足で逃げる。

2019-02-24 16:33:00
帽子男 @alkali_acid

確かに尾けられているような印象はあった。あの肥満した男性がそうだったのだろうか。ただ高速道路を降りると空気が変わって、何となく独りになれた感じがある。今度は逆に誰もいないのが不安になったが。 とにかくアクセルを踏んで目的地へ急ぐ。

2019-02-24 16:35:08
帽子男 @alkali_acid

やっとついたカサ・ブランカの駐車場は城の裏門を模しているようだが、咲耶には大きくあぎとを開いた怪獣のようにも思えた。 「はー…やだ…」 携帯を確認する。ちゃんと電波はある。いざとなれば警察や救急を呼ぼう。 メッセンジャーにある部屋番号を確認する。最上階。七〇〇号室。

2019-02-24 16:38:12
帽子男 @alkali_acid

「政則君なんでこんな…」 例の異常者に追われて逃げ回っていたのだろうか。 仁々木政則(ににぎまさのり)。やめていなければ史学の博士課程。 家庭教師。別れた咲耶の夫。 籍を入れたあと、二人が暮らすはずだった郊外のマンションという負の遺産を残したまま、四股が発覚して離婚。

2019-02-24 16:43:58
帽子男 @alkali_acid

マンションは咲耶の名義で買い、ローンも咲耶の名義で組んだ。 民泊を検討したが、自治体の規制が厳しく無理だった。 仕方なく長距離通勤に甘んじている。ちょっとした出会いのおかげで苦にならなくなったが、いずれにせよ恨んであまりあるべき相手だ。 なのに。 「何できちゃったのかな」

2019-02-24 16:45:13
帽子男 @alkali_acid

子犬のように助けを求める元夫の声が脳裏に蘇る。 狂言で死ぬと騒いでいるのとは違う、懸命に助けを求める響きがあった。 「…ようすがおかしかったら救急…ためらわず救急」 つぶやいてから車を降りる。ふと肩に金木犀の花びらがついているのに気づき、払おうとして考え直し、そっと外す。

2019-02-24 16:47:49
帽子男 @alkali_acid

ダッシュボードに花びらを置いて、ちょっと口元をほころばせてからまた気を引き締めて、ハイヒールをこつこつと鳴らして歩いていく。

2019-02-24 16:50:34
帽子男 @alkali_acid

受付は無人だった。 タッチパネルが置いてあって、部屋番号を指定すると、自動音声で予約番号を入力するよう案内がある。メッセンジャーに届いたものを打ち込むと認証。 奥のエレベーターを使うとすぐだった。 咲耶が歩くところだけ人感センサーで明かりがともってゆく。 「なんだろ」

2019-02-24 16:53:05
帽子男 @alkali_acid

営業しているのかしていないのか不明だ。 人気は感じられないし、ちょっと埃っぽいが、しかし機械の類はどれもきちんと動いている。 「政則君…ちゃんと説明して欲しい…」 そう考えつつ函(はこ)へ乗り込むと、窓から外の雪景色を望みつつ七階へ。くねる雪道を大型車が走ってくるのが見下ろせる。

2019-02-24 16:55:15
帽子男 @alkali_acid

ほかに客がいない訳ではないようだとほっとする。 七〇〇号室へ。ラブホテルというよりはリゾートホテルのような豪華さだ。 内装もちゃちくない。重厚な木製のドアについた金属のノッカーを叩く。 「仁々木さん。木花です」 呼びかける。

2019-02-24 16:57:36
帽子男 @alkali_acid

返事がない。鍵が空いているのに気づく。 「入りますよ。いいですか?」 しばらく待つ。 「じゃあ入ります」 ドアを開けて中へ。かすかにアロマの甘い匂いがする。

2019-02-24 16:58:36
帽子男 @alkali_acid

海外の歴史ドラマの悪趣味な真似という風情のインテリア。どれもお金はかかっているよう。咲耶はハイヒールでは歩きにくいふかふかした絨毯を苦労して進み、キングサイズのベッドへ。 端にナイトガウンの青年が座ってうなだれている。

2019-02-24 16:59:57
帽子男 @alkali_acid

「仁々木さん」 「咲耶ちゃん…来てくれないと思ってた」 ぽつりと元夫が呟き、涙に濡れた双眸を上げる。 ぞくりとするような整った造作。後ずさりたいのをこらえて告げる。 「何があったんですか。もしかして…す、ストーカーの」 「やり直したいんだ…咲耶ちゃんと」 「は?」

2019-02-24 17:02:43
帽子男 @alkali_acid

「俺には咲耶ちゃんしかいない…やっとわかったんだ」 「そんな話?!」 女は頬をひきつらせる。 男はしかしすがりついてきた。 「…反省してる…でももうほかの皆とは縁を切る…だから」 「やめて下さい」 「俺は…咲耶ちゃんがいないとだめだ…だめなんだ」 「やめて下さい。警察を」

2019-02-24 17:04:45
帽子男 @alkali_acid

びりっと首筋に衝撃が走る。 咲耶は膝から崩れ落ちるのを、政則が意外に強い力で支える。 「なんで…義母さん…咲耶ちゃんにはひどいことしないって」 「そうね。でもあなたのやり方、見ていられないんだもの」 いつの間にか第三の人物が部屋にいた。

2019-02-24 17:06:29
帽子男 @alkali_acid

「ほら政則ちゃん。女の子の蕩かせ方は知っているでしょう?前は…咲耶さんも可愛く鳴かせていたじゃない」 「やめてくれよ…」 「大丈夫。私はやきもちなんか焼いてないから。咲耶さんみたいないい子ならあなたと何をしても気にならない。ね、今度はもっと色々教えてあげなさいな」

2019-02-24 17:08:46
帽子男 @alkali_acid

「こういうのは咲耶ちゃんには逆効果だよ…」 「やってごらんなさいな…それとも、その女も始末しなくちゃいけないの?ほかの候補はもっと扱いづらいのに」 息子は義母と元妻を見比べ、肩を落とし、弱々しい笑みを浮かべた。 「分かったよ…義母さん」

2019-02-24 17:10:15
帽子男 @alkali_acid

◆◆◆◆ 大型車はチェーンを巻いたタイヤをきしませて、車高ぎりぎりの駐車場入り口をくぐった。 急ブレーキをかけて止まると、後部の荷台からわらわらと男達が降りてくる。それぞれ防寒具とボディカメラ、ホッケーマスクを身に着け、得物も携えている。

2019-02-24 17:12:10
帽子男 @alkali_acid

続いて助手席から、小さな影が降り立った。ボディカメラの男達が一斉にそちらを向く。 「はーい!!ネットの向こうの皆さんこんにちわー!今日も元気なメグちゃんですよー!!」 ホッケーマスクにゴシックロリータファッションの少女が作り声であいさつする。

2019-02-24 17:13:48
帽子男 @alkali_acid

「ディープウェブのアンダーグラウンドに燦然と輝くCTuberアイドル!メグメグ・メグリン!やっていき!です!」 男達が雄叫びを発しながら胸を叩いて囃(はや)す。 「録画でごめんなさあい。今日は緊急予告の通り、メグの大切なお義兄様を悪い魔女から救出する超危険ミッション!」

2019-02-24 17:15:44
帽子男 @alkali_acid

「あのばばあ!お義兄様につきまとってるストーカー女どもまで集めたみたいなんで!全員ぶっ殺!の前にぎったぎたにメグメグ騎士団の皆が犯しまくっちゃいます!あ、殺してから犯す方がいいかな?安心して!両方やるね!」

2019-02-24 17:17:36
帽子男 @alkali_acid

騎士団のひとりが渡した釘バットを構えて、体重の乗ったいいスイングを決めてから、ホッケーマスクのCTuberは可愛いポーズを決める。 なおCTuberはCrime Tuberの略。犯罪動画を投稿、拡散しファンを集める人気ジャンルだ。殺人、強姦、放火、虐待何でもござれ。メグメグ・メグリンは全部やる。

2019-02-24 17:19:53
帽子男 @alkali_acid

「お義兄様を無事救い出せたら…ふふ…メグから騎士団の皆にもボーナス。弾んじゃうぞ♪」 全世界に視聴者がおり、かなりの稼ぎになる。 男達はまたも胸を叩きながらおらんだ。 もちろん金のためばかりではない、敬愛するアイドル(偶像)に生贄の血を捧げられるのが嬉しくてたまらないのだ。

2019-02-24 17:21:57
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