痴漢に安全ピンと正当防衛

まとめました。
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古賀(笛育市) @kokogaga

”これに対して,軽微な侵害なら防衛行為を諦めて権利を放棄すべきであり,そうしなければ――過剰防衛による刑の減免の可能性はあるが――処罰するという見解を採るなら,”ritsumei.ac.jp/acd/cg/law/lex…

2019-05-25 08:42:50
古賀(笛育市) @kokogaga

”たとえば突き飛ばせば千尋の谷底に転落死する虞の高い吊り橋上で痴漢行為にあった女性は,――逃げられない場合でも――防衛行為を諦めて痴漢行為を甘受せよと,刑罰で命令することになろう。”ritsumei.ac.jp/acd/cg/law/lex…

2019-05-25 08:43:01
古賀(笛育市) @kokogaga

”ここで,正当防衛が「正対不正」の問題であることを忘れて利益衡量に逃げ込むことは,刑罰によって不正を助ける結果になるのである。”ritsumei.ac.jp/acd/cg/law/lex…

2019-05-25 08:43:08
よう @ragarut

裁判所職員総合研修所刑法総論講義案4訂版229項 “~正当防衛の場合は「正対不正」の関係にある関係上、必ずしも防衛行為が唯一の方法であることを要しない(補充性の原則は適用されない)し、また、厳格な法益の均衡も要求されない(法益権衡の原則は適用されない)” twitter.com/dokuninjin_blu…

2019-05-25 16:16:54
古賀(笛育市) @kokogaga

『イチケイのカラス』。3巻が正当防衛を扱っていたなと読み返してみたら、第22話で弁護人がちゃんと「「不正」な侵害を受けた時に逃げる義務はありません。自分の身を守るために反撃しても構わないのです」と説明しており、裁判員から「そうなんだ。知らなかった」という反応を引き出してた。

2019-05-26 09:57:43
古賀(笛育市) @kokogaga

時々見る痴漢に対する安全ピンを「自救行為だから認められない」と言っている人、その人が私的に正当防衛と自救行為の関係をどう考えているのかわかりにくいけれど、オーソドックスな刑法の本に書いてある定義からいけば、カテゴリー的には「自救行為」ではなく「正当防衛」なので普通に間違いです

2019-05-26 10:37:33
古賀(笛育市) @kokogaga

「正当防衛を認めるだけの侵害の急迫性・現在性は存在しないが、国家機関の救済を待っていては失われた法益(権利)の回復が困難になる場合に、侵害者に対し自ら実力により救済を図る行為を自救行為という(民事法では自力救済という語を用いる)」前田雅英『刑法総論講義』336頁

2019-05-26 10:37:37
古賀(笛育市) @kokogaga

「たとえば、盗品を犯人から奪い返す行為で、警察を呼んでいては逃げられてしまうような場合である。直接の条文上の根拠はないが、一般に35条の一部ないしは実質的違法性阻却事由として行為の正当化が認められている。」前田雅英『刑法総論講義』336頁

2019-05-26 10:37:39
古賀(笛育市) @kokogaga

「現代の法治国では、権利の救済は公権力によるのが原則で、自救行為は例外的にのみ許されるとされる。ただ、国家機関の救済には限界があり、最後には個人による権利の実現の道が残らざるを得ない。」前田雅英『刑法総論講義』336頁

2019-05-26 10:37:42
古賀(笛育市) @kokogaga

「防衛行為が唯一の方法であること(補充性)」が要求されるのは、緊急避難ですね。これは正当防衛が「正対不正」であるのに対し、緊急避難は無関係な第三者に危難を転嫁する「正対正」なので、求められる要件が厳しいためです。ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B7%8A…

2019-05-26 15:25:10
古賀(笛育市) @kokogaga

「同じ緊急行為である正当防衛との最大の違いは、急迫「不正」の侵害ではなく、現在の危難に対する行為である点である。正当防衛が「正」対「不正」であるのに対し、緊急避難は「正」対「正」であるとされるのは、このことを表現している。」前田雅英『刑法総論講義』398頁

2019-05-26 15:25:18
古賀(笛育市) @kokogaga

「さらに、正当防衛と異なり、「他に方法がない」という補充性が必要で、実際に正当化されることは、ほとんどない」前田雅英『刑法総論講義』398頁

2019-05-26 15:25:24
古賀(笛育市) @kokogaga

「なんら不正の侵害を行っていない者に向けられた重大な法益侵害行為を正当化するには、「当該避難行為をする以外には他に方法がなく、かかる行為に出たことが条理上肯定しうる場合でなければならない(補充性)」前田雅英『刑法総論講義』403頁

2019-05-26 15:25:28
古賀(笛育市) @kokogaga

正当防衛行為に補充性(防衛行為が唯一の方法であること)が必要と解釈している(としか思えない)人がもしいるとしたら、当人の主観的な倫理解釈はさておいて、オーソドックスな刑法学の理解としては間違い。

2019-05-26 15:26:27

裁判例

スドー🍞 @stdaux

電羊法律事務所 平野敬(第二東京弁護士会)/インターネッツとかシステム開発とか

elsh.jp

スドー🍞 @stdaux

西船橋駅事件(千葉地判昭和62年9月17日,駅ホームで酔った男性に絡まれた女性が男性を突き飛ばし,転落した男性が死亡。正当防衛の成立が認められ無罪判決)の判決文を改めて読み直してる

2019-05-27 14:49:42
スドー🍞 @stdaux

“…自制心を欠いたかの如き酒酔いの者にいわれもなくふらふらと近寄られ、更には手をかけられたときに生じる気味の悪さ、嫌らしさ、どのようなことをされるかも知れないという不安ないしは恐怖にも通じる気持が日常生活上において経験し理解され得るところであることをもあわせ考えると…

2019-05-27 14:52:03
スドー🍞 @stdaux

差し迫つた危害に対するやむを得ない行為であつたといわなければならず、またその態様も…つかんでいる相手方を離すという所為としてみるとき、女性にとつて相応の形態で、かつ通常とられる手立てとして首肯し得る態様のもの…”

2019-05-27 14:53:22
スドー🍞 @stdaux

”この場合、被告人として他にどのようなとり得る方法があつたかを問うとき、そのような酔余の者に絡まれたからには、かかわり合いにならないようにホームの別の場所に逃げればよかつたではないかとか、駅員に通報して保護を求めるなどの方法があつたのではないかとかのたぐいのことを…

2019-05-27 14:55:57
スドー🍞 @stdaux

はた目には言うことができるとしても、電車に乗ろうとして階段からホームに下りて来た被告人が、思いもかけず公衆の面前で酔余の甲野に絡まれたうえ、侮辱的言辞まで受け、剰え周囲の者に助けを求めても、笑うなどするのみで誰一人としてこれに応じてくれず…

2019-05-27 14:56:31
スドー🍞 @stdaux

そのような被告人に対して…その場から立ち去る動きに出て然るべきであつたかのようにいうのは…事を荒立てずに済ませるような処置をとるのがよかつたのではないかという、いわば、ただただ被告人に対してのみ然るべき対処を余儀なくさせるという片面的観点からの論であるといわざるを得ず…

2019-05-27 14:57:33
スドー🍞 @stdaux

公共の場でそのような状態に追い込んで来た相手方の行動に関しての視点を欠く嫌いのあるものであつて、右の如き論は被告人に対し一方的にそのような屈辱を甘受せよと無理強いし、また嫌がらせを受けながらもその場から逃げ去るくやしさ、みじめさを耐え忍べよというに等しく…

2019-05-27 14:58:06
スドー🍞 @stdaux

他方、駅のホームという公共の場にそぐわない行動をとる酔余者に対しては、その行動を放任する結果になることから…結局において電車に乗ろうとして駅ホームでその来るのを待つていた被告人の、一市民としての立場をないがしろにするものであつて、到底与することができない。”

2019-05-27 14:58:31