え?っと驚くタイの食品成分表の話

タイはすごく医療が進んでいる国なんですが、臨床栄養や公衆栄養についてはものすごく遅れています。最先端の知識は知っているのに、自分の国に食品成分表があるのを知らない人がほとんどってどういうこと?
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くぼのりこ @nori_kubo

この前から何を忙しがっていたのかというと、タイの栄養教育とか公衆栄養の現状についてレポートを書いていたからなのですが、タイの栄養学というのは、日本とは根本的に違っていて、メディカルツアーをやっている国がこんなもんなのか?とびっくりするような状態なのです。

2011-05-17 20:37:42
くぼのりこ @nori_kubo

私が知っているのは3年前からだから、激動の栄養学をなんとか追いかけているものの多少変化してる可能性も。ただ、プーケット内務省の医師とか周りの栄養関係者から情報は聞いているから大きく外れていることはないと思います。以前少しツイートしたこともありますから読んだことがある方あるかも。

2011-05-17 20:41:32
くぼのりこ @nori_kubo

3年前に来て驚いたことは、日本で「タイには食品成分表がある」とは聞いていたものの、全然見つからなかったこと。看護師に聞いても、医師に聞いても、誰も知らなかった。栄養士がいる場所もよくわかっていなくて、保健センターの人が知り合いの栄養士に尋ねてくれたんだけど、それでもわからなかった

2011-05-17 20:43:40
くぼのりこ @nori_kubo

本屋さんに行っても売ってないし、プーケットだから田舎だししょうがないのか?と思ってたけど、バンコクに行って探してみても売っていなかった。やっと存在を知っている人に出会ったのは、4ヵ月後。マヒドン大学での「タイの保健衛生について」という短期セミナーに出席したとき。

2011-05-17 20:46:18
くぼのりこ @nori_kubo

マヒドン大学の教授が、「WEBサイトにアップしてあるはずよ」と探してくれた。保健省のサイトを見ると一覧表が載っていることが判明。しかし書籍ではなかった。書籍を見つけたのはそれから2か月後。キリンビバレッジのタイ本社で。さすが日本企業はすごい。タイ人使って探しまくったそうだ。

2011-05-17 20:49:22
くぼのりこ @nori_kubo

政府関連の出版社から出版しているので、保健センター所長を通じて購入してもらった。あれから3年。さすがに栄養関連のことをやっている人は見たことはあるようになったらしい。でもタイの東大と言われる大学の4年生。今年成分表を使うので、まだ見たことないんです・・と言っていた。ほぼ使わない。

2011-05-17 20:51:48
くぼのりこ @nori_kubo

この成分表については、40年ほど前にUNICEFとWHOの調査が入ったときに作られて、それ以降、多少は改定しているらしいが、料理名が書いてあるのにカロリーゼロだったり、未分析がいっぱいあったり、イマイチ。そして、一番問題なのは調査されていない成分が多いこと。

2011-05-17 20:54:54
くぼのりこ @nori_kubo

もともと栄養欠乏から始まった調査であり、それ以降も欠乏症を前提とした考え方が払拭できないので、分析項目もその流れに沿っている。カロリー、水分、たんぱく質、脂質、糖質、ファイバー、灰分。タイは、アメリカ流が大好きなんだけど、ジュールは出てませんね。笑

2011-05-17 21:00:42
くぼのりこ @nori_kubo

その先がミネラルになるのですが、ここではカルシウム、リン、鉄。欠乏症が基本なので、カルシウムとリンは調べてます。あと、WHOとUNICEFの調査のときに、南部には鉄欠乏症貧血が多いという結果が出てるので、鉄分についてはちゃんと調べてますね。

2011-05-17 21:03:45
くぼのりこ @nori_kubo

ビタミンについては、それなりに項目は用意してあります。レチノール、βカロテン、ビタミンA、ビタミンE、チアミン、リボフラビン、ナイアシン、ビタミンC。十分とはいえないけど、これくらいあれば、それなりに判定できるようになっている。

2011-05-17 21:08:14
くぼのりこ @nori_kubo

この他、ヨウ素欠乏症が北部と東北部で見られたという報告が、これもWHOとUNICEFの調査結果で出ているので、これについても別表で出てます。あと、コレステロール。ただし、この2項目については全食品ではない。

2011-05-17 21:10:33
くぼのりこ @nori_kubo

もう1つ面白いのは、この食品成分表には料理も出ていること。同じ料理名でも南部、北部と書かれていたりしているものもあって、各地の料理が出てくる。料理そのものを直接分析したということで、数値が正確か?といえば疑問も残るところ。でもこれを利用している人も多いし、政府公認だからね。

2011-05-17 21:13:16
くぼのりこ @nori_kubo

なぜ料理を直接分析したのか?これはタイの医学書を読んでわかった。食事調査について、医学部で教科書らしき本を購入して判明。これ、UNICEFとWHOの調査のときにやった方法だった。食材を計量することが難しく、外食も多いので、料理をピックアップしてきて分析するという方法を取ったのだ。

2011-05-17 21:17:05
くぼのりこ @nori_kubo

恐らくこのときに採取した料理がそのまま分析表に掲載されたんだと思う。当時の様子が書かれているのを読むと、全国規模であったこと、ピックアップしたことが出てくる。また、現在の食事調査の方法としても、この方法が推奨されていた。食材を計量することは難しいと。この本出版は2年前で昨年購入。

2011-05-17 21:21:05
くぼのりこ @nori_kubo

しかし、まだまだこの食品成分表には大問題が。今まで書いた中で抜けているものがあったんだけど、わかっただろうか?なんと、電解質について分析されておらんのです。ナトリウム、カリウム。ありません。腎不全になったらどうしろって言うんだろう。食事のコントロールができないわけです。

2011-05-17 21:24:37
くぼのりこ @nori_kubo

心臓疾患や、高血圧なども食事でコントロールしようとしてもどうしようもない。塩分取らないようにとか、カリウム多く取るようにという話は知ってるけど、どの食品にどのくらい入っているのか不明。そこで政府と国立医大で1番のマヒドン大学は考えた。

2011-05-17 21:27:05
くぼのりこ @nori_kubo

アメリカの栄養計算ソフトを利用しちゃえと。だから、マヒドン大卒の管理栄養士は知ってましたよ、このシステム。ただし英語で、食材は全てアメリカでのもの。私に紹介してくれたので、タイの食品出てないよねと言ったら、すぐに引っ込めたけど・・・。たぶん使えないんだと思う。

2011-05-17 21:29:15
くぼのりこ @nori_kubo

食品成分表に関してだけでも、こんな状態なのですが、情報だけはとにかく最先端です。だから、ω-3系とかω-6系とかそんなのもちゃんと知ってるし、トランス脂肪酸ダメとか、いっぱい最先端知ってます。でも実際食品を組み合わせた食事には反映されてないんですよね。成分表使ってないんだもん。

2011-05-17 21:37:26
くぼのりこ @nori_kubo

実は最近タイ人の中にも食品成分表で計算する人が出てきた。そういう人はすごくマニアックな人という位置づけになっていて、主にブログなので自分の食事の計算なんかを書いている。もちろん目的はダイエットなことが多い。

2011-05-17 23:26:58
くぼのりこ @nori_kubo

でもって、そういう人はどうやって成分表を手に入れてるかというと、もちろんタイの成分表を持っている人もいる。あとは韓国旅行で買ってきたとか、中には日本のを使ってる人もいるらしくて、ブラックコーヒーのカロリーは36カロリーよね、とか知っている若い子も出てきた。

2011-05-17 23:28:45
くぼのりこ @nori_kubo

後は料理の本なんかでも最近やっとカロリーを表示する本が出てきた。私が来た3年前には、ダイエットの本でさえもカロリー表示が出ていなくて、どうしてこれがダイエット本?というものばかりだった。やっと計算した本が出てきたけど、正しいかどうかは不明。

2011-05-17 23:30:58
くぼのりこ @nori_kubo

ということで、タイで食品成分表が活用され始めたのはすごくいいことなんだけど、まだまだ利用方法は普及してないし、これからなんだと思われます~。というより、食品成分表がきちんと整備されることのほうが優先順位高いと思うんだけどね。これはもう少し先かもしれない。政府がやる気にならないと。

2011-05-17 23:34:29