タピ十夜
-
touzygs_bun
- 402
- 0
- 0
- 0

こんな夢を見た。 ミルクティーを持って枕元に座っていると、仰向きに寝たタピオカパールが、静かな声でもう煮られますと云う。タピオカパールは白い粒を枕にばら撒いて、輪郭の柔らかなキャッサバをその中に横たえている。
2019-06-24 23:21:48
@kifaru_GM 真白な頬の底に柔らかな弾力が程よく存在して、全体の色は仄かな乳白色だ。とうてい死にそうには見えない。
2019-06-25 14:46:33
@kifaru_GM @mutekichocoppe 死にますとも、と云いながら、キャッサバはぱっちりと飛び跳ねる。大きな潤うるおいのあるタピオカパールで、長いタピオに包まれた中は、ただ一面に真黒であった。その真黒なタピオの奥に、自分の姿が鮮あざやかに浮かんでいる。
2019-06-25 15:26:26
@rurishinodatabi @kifaru_GM 自分は透き徹るほど深く見えるこのタピの色沢(つや)を眺めて、これでも死ぬのかと思った。 それで、ねんごろに枕の傍へ口を付けて、死ぬんじゃなかろうね、大丈夫だろうね、とまた聞き返した。
2019-06-25 16:35:39
@mutekichocoppe @rurishinodatabi するとキャッサバは黒い眼を眠そうにみはったまま、やっぱり静かな声で、でも、死ぬんですもの、仕方がないわと云った。
2019-06-25 16:38:26
@kifaru_GM @rurishinodatabi じゃ、私の顔が見えるかいと一心に聞くと、見えるかいって、そら、そこに、写っているじゃありませんか、と、にこりと笑ってみせた。自分は黙って、顔を離した。タピ腕組をしながら、どうしても死ぬのかなと思った。
2019-06-25 16:45:02
@mutekichocoppe @kifaru_GM しばらくして、タピオがまたこう云った。 「死んだら、埋うめて下さい。大きなキャッサバで穴を掘って。そうして天から落ちて来るタピ星の破片かけを墓標はかじるしに置いて下さい。そうして墓の傍に待っていて下さい。また逢あいに来ますから」
2019-06-25 17:11:36
@rurishinodatabi @kifaru_GM 自分は、いつ逢いに来るかねと聞いた。 「日が出るでしょう。それから日が沈むでしょう。それからまた出るでしょう。ーー 赤い桜桃の日が東から西へ、東から西へと落ちていくうちに、ーー キャッサバ、待っていられますか」
2019-06-25 17:16:37
@mutekichocoppe @rurishinodatabi タピオは黙って首肯いた。キャッサバは静かな調子を一段張り上げて、「百年待っていて下さい」と思い切った声で云った。 「百年、私の墓の傍に坐って待っていて下さい。きっと逢いに来ますから」
2019-06-25 17:19:06
@kifaru_GM @rurishinodatabi タピオはただ待っていると答えた。すると黒い眸の中に鮮に見えた自分の姿が、モチっと崩れてきた。静かなインスタのTLが写るたくさんの写真や動画を乱したように、流れ出したとおもったら、キャッサバ子の眼がぱちりと閉じた。里芋のような皮から涙のような露が頬へ垂れた。 ーー もう死んでいた。
2019-06-25 20:51:37