【シナリオ】最弱の魔法少女が魔法を捨てて怪人化する話

最弱の魔法少女が魔法を捨てて怪人化する話
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@akuochiken

「ふふ、魔法みたいな曖昧な力に頼っていた私が馬鹿みたい。力さえあればこんなに簡単に目的が達成できるんだから。あはは! どう、私の身体は? あなた達みたいな貧弱な魔法少女の魔法なんて全く役に立たないわよ」と言いながら、魔法少女の一人の首根っこを掴んで壁へと押し付けて悦に浸る状況

2019-06-23 22:49:02
だいしゅきホールディングス(株)ウマ妄想事業部 @botch_tourer

魔法少女の中では力も弱く皆からの称賛を浴びることもなかったある魔法少女が怪しい女の手によって異形に作り替えられ、対峙する魔法少女たちの前で苦痛と快楽に喘ぎながらその肉体が急速に膨れ上がり異形へ変貌して魔法攻撃すら弾き飛ばす強靭な肉体を持った雄牛怪人化するだって!?

2019-06-23 22:59:20
@akuochiken

「は……あああ……っ!!!」 目の前の少女が悲鳴にも似た叫び声を上げる。 彼女はグループの中では最弱の魔法少女で、やはり足手まといになるからと、今日も悪の組織との戦いには参加せずに休んでいたはずだった。 それが、彼女たち魔法少女と戦っていた女幹部の手元に突如出現したのである。

2019-06-23 23:46:47
@akuochiken

「あっ……あっ……あがっ……がひゅ……」 尋常じゃない彼女の様子に、魔法少女たちが女幹部へと詰め寄る。 「いったいなにをしたの!?」 「何って、私は彼女の望みを叶えてあげているつもりよ。もっと力がほしい、みんなに負けない力がほしい、と、彼女の心の叫びが私には聞こえたから」

2019-06-23 23:50:59
@akuochiken

苦痛に顔を歪める少女から手を離し、少女は地面へと崩れ落ちる。 「貴様ぁ!」 魔法少女の1人が少女を助けようと女幹部に直接攻撃を加える。 「あら、この子の邪魔をするなら私も本気でこの子を守らないとね」 突如出現したバリアに彼女の攻撃は弾かれ、当たり一面に砂煙が舞う。

2019-06-23 23:53:16
@akuochiken

その砂煙が晴れたとき、女幹部の目の前には、先程崩れ落ちた少女が立っていた。 「あ、はぁあん……んあ……」 先程の苦痛に歪んだ表情ではなく、快楽に満ちた表情を浮かべ、嬌声を漏らした少女。 そしてすぐに彼女の身体の変貌が始まった。 勢いよく筋肉が膨張し、着ていた服を破り散らした両腕。

2019-06-23 23:56:17
@akuochiken

彼女の華奢な両脚も同様に瞬時にその体積を増し、それに連なる腹部も、胸部も、あらゆる部位がぐちゃりと鈍い音を立てながらその肉をどんどんと増やし、少女の全身は膨らんでいく。 ある程度の大きさとなった身体は今度はメリメリと音を立てて引き締まっていく。 恐ろしく強靭な肉体へと。

2019-06-24 23:06:32
@akuochiken

「ぶほっ! ぐぶぶぅ……」 もはや少女のものとは思えない人外の声が彼女の口から聞こえてくる。 いや、既に彼女の口を含め、到底“少女”と呼べない異形がそこに立っていた。 馬の脚を連想させる蹄の上に形成された極太の両脚。 割れた腹筋と、その筋力に似合うほど美しく丸みを帯びた豊満な両胸。

2019-06-24 23:14:08
@akuochiken

上半身から突き出し、ぶら下がる丸太のような豪腕。 元の少女の何倍もの背丈を持つ筋骨隆々とした全身を覆う体毛。 そして何より、その身体に収まっている頭部は雄牛のそれであり、頭部から天を貫く立派な角が生えていた。 「はぁ……ぶじゅる」 前面へ伸びる口端から涎を垂らしながら、唇を擦る動作。

2019-06-24 23:20:53
@akuochiken

その巨大な怪物は、異形の出で立ちでありながら、少女の面影を残していた。 その瞳は輝きに満ちた少女のものであったし、頭部から伸びる僅かに残された髪の毛や、人外の声に交じって時々その口から漏れ出してくる声は、その怪物が少女だったことを推測するのに十分だった。

2019-06-24 23:24:27
@akuochiken

それ故に、その姿を前にした魔法少女たちの絶望や想像に難くなかった。 「気分はどうかしら」 そんな魔法少女たちの姿を尻目に、怪物の後ろに立ってその変貌を眺めていた女幹部が静かに問い掛ける。 「さいっ……っこうよ、これ」 牛頭が歓喜に歪む。 「逃げるのよ! この状況は明らかにおかしい!」

2019-06-24 23:38:22
@akuochiken

魔法少女たちのリーダー格の少女が叫び、各々がその場から急速に離脱しようと加速し始めた。 「あら、この私があなた達を逃がすとでも?」 女幹部が両手をかざすと、彼女を中心とした球状に空間が切り取られるようにして、魔法少女たちを閉じ込める半球状のバリアが形成された。

2019-06-24 23:40:54
@akuochiken

「せっかくこの子が、あなた達に自分の力を見せたいって望んでいるのだから、ちょっとくらい付き合ってあげなさいよ。もっとも、私が手助けする必要もなかったようだけど?」 女幹部が目線を向けた先には、ありえない角度に全身が折れ曲がって地面へと埋め込まれた、魔法少女だったものの残骸。

2019-06-25 00:00:13
@akuochiken

そもそも彼女に、魔法少女たちを逃がすという思考すらなかった。 彼女の身体が怪物としての完成を見たとき、彼女の心を支配していたのは、自らの力を誇示したいという純粋な欲望。 それが右の拳となって最も近くにいた魔法少女へと放たれただけだった。 逃げ遅れたその魔法少女は防御魔法を展開する。

2019-06-25 00:04:28
@akuochiken

だがその魔法は、その怪物を前にしてあまりにも無力だった。 怪物の拳は、展開された防御魔法をガラスを砕くようにいとも簡単に破壊し、魔法少女をあらゆる厄災から守る魔法少女服をも貫通して生身の少女の身体を、その一撃の下に葬り去っていたのだった。 「はは! この力、なんて気持ちいいの!」

2019-06-25 00:18:39
@akuochiken

魔法少女の残骸を前に、怪物が吠える。 「はっ……なんだよこれ……何が起こって……」 女幹部の妨害によって逃げ切れないことを理解した魔法少女の1人が、眼前で繰り広げられた、常軌を逸した殺戮の光景を見て言葉を失い、立ち尽くす。 だが次の瞬間、彼女の身体はビルの壁へと叩きつけられていた。

2019-06-25 00:25:43
@akuochiken

「がっ……はっ……」 怪物の左手に掴まれた彼女の首は、彼女の身体ごと凄まじい速度で飛来していったのだった。 「どう? この力、この姿、素晴らしいでしょう? 私はずっと憧れていた。あなた達に、あなた達魔法少女としての姿に! 私は魔法少女でありながら、何もかもあなた達に劣っていた」

2019-06-25 00:32:49
@akuochiken

ギリリ、と左手に力が入る。 「分かる? 魔法少女でありながら、あなた達に劣っていたせいで何一つ褒められもしなかった私の惨めな想いが!? でもそれもこれで終わり。魔法なんていう儚いものなんて捨てて、純粋な力で支配する。そのために私は生まれ変わったのだから」

2019-06-25 00:40:35
@akuochiken

怪物の顔が、眼前の魔法少女を蔑むように再び歓喜に歪む。 あなたの魔法なんて私の力の前に無力なのよ、そういうことを彼女に伝えているようにも見えた。 だが、怪物の左手の中の魔法少女は壮絶な握力により既に絶命しており、それをつまらないといったふうに、ぽいっと魔法少女の身体を投げ捨てる。

2019-06-25 00:48:05
@akuochiken

「この化け物が!」 甲高い叫びと共に、リーダー格の魔法少女の杖から極太のビーム状の攻撃魔法が怪物に向かって放たれる。 現実とは思えない光景を前に、彼女だけはまだ怪物に抗う勇気と気力を持っていた。 だから怪物の動きが止まった瞬間に、自分の持てる力を全てぶつけて殲滅する。

2019-06-25 00:51:25
@akuochiken

どこにも逃げられない状況だからこそ、言葉の通じる可能性のある女幹部よりも、話し合いの余地のない怪物を先に仕留める。 それが自分たちの仲間であった少女であるとしても、魔法少女のリーダーとしての矜持が、彼女に無慈悲な選択を取らせた。 「はぁ……はぁ……」 魔力の全てを注ぎ込んだ一撃。

2019-06-25 01:00:03
@akuochiken

肩で大きく息をしながら、空中で静止していた彼女は、疲れ果てたように徐々に地上へと下がっていき、地面へと膝をつく。 「あはっ、あははは!」 攻撃魔法の衝撃で土煙を上げている前方から、怪物となった少女の笑い声が聞こえる。 「これで分かったかしら? 魔法なんて、純粋な力の前に無力だって」

2019-06-25 01:04:55
@akuochiken

土煙の中から、魔法少女の目の前に、ゆっくりとその巨大な怪物の姿が現れる。 「言ったでしょう? 私はあなた達魔法少女を超越した存在になったと。私の前では魔法なんて無力だし、いくらあなたが魔力を注ぎ込んで攻撃したとしても、あなたの魔法なんて私に効かないのよ、これで分かったでしょう?」

2019-06-25 01:13:06
@akuochiken

地面へとへたり込んでいる魔法少女の目の前に、全身の筋肉を膨らませ、真っ赤に硬直させた巨大な怪物がその姿を見せる。 全身に込められた力が、脚の、腕の、腹の、背中の、そしてその巨大な胸でさえもビキビキと筋肉を怒らせて、小刻みに脈動していた。 「くっ、くそっ!」 彼女は咄嗟に杖を構える。

2019-06-26 00:06:02
@akuochiken

いくつかの魔力の塊が、球体となって眼前の怪物を襲う。 これまで彼女が戦って来た低級な魔物であれば弾け飛ぶような一撃。 だが、その攻撃は全て、まるで生卵をぶつけられたように、ベチャリと怪物の体表で破裂し、霧散してしまった。 「うそ……」 全くの無傷。

2019-06-26 00:10:46