茂木健一郎さんの連続ツイート 「ドイツにて」

脳科学者・茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの5月19日の連続ツイート。 ドイツのベルリンを歩いて思ったことをツイートされてます。
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茂木健一郎 @kenichiromogi

独(1)高校でニーチェやワグナーが好きになって、大学の時には、一時期ドイツ留学を真剣に考えた。ところが、教養でザビーネ永田さんの授業を受けて、現代ドイツの文脈が随分変質してしまっていることを知り、とまどった。

2011-05-19 11:52:16
茂木健一郎 @kenichiromogi

独(2)昨日、ベルリンの本屋で「ベルリン市民になる方法」というユーモア・エッセイを買った。そこには、「みんなドイツにはゲーテやシラーの議論ができると期待して来る。ところが、現実のドイツ人はほとんど、カルチャーは「サブ」が付かないといけないと思っている」と書いてあった。

2011-05-19 11:53:50
茂木健一郎 @kenichiromogi

独(3)ブランデンブルク門から少しいったところには、ヨーロッパのユダヤ人の追悼施設がある。ドイツが過去と決別する時、その中には古典的教養も間接的に入っているのかもしれない。文化のアイデンティティは霧の中に入り、なかなか太陽が見えない。

2011-05-19 11:55:02
茂木健一郎 @kenichiromogi

独(4)ティア・ガルテンを歩いていたら、わあわあ自転車で走ってきた若者たちが、すれ違いざまに、「チャウシュウピン」みたいなことを大声で言った。中国人と勘違いしたのだろう。十年前なら脅かされたかもしれないが、今では、グローバル化から取り残された可哀想な人たちと思える。

2011-05-19 11:56:47
茂木健一郎 @kenichiromogi

独(5)『ウンテル・デン・リンデン』を歩いていたら、刈り上げの若者たちがずんずん歩いていた。こいつら、どんなことに悩んで、どんなことを夢見ているのだろう。集団の端に、やっぱり刈り上げのトルコ系の若者がいた。つるんでいた。ドイツの今を感じた。

2011-05-19 11:59:16
茂木健一郎 @kenichiromogi

独(6)今、ドイツ語やドイツ文化に触れることには、どんな意味があるのだろう。フランス語にしろイタリア語にしろ、グローバル化の中で旗色は悪い。それを言うならヨーロッパ全体の意味は何なのだろう。飜って、日本はこれからの世界に、どんな位置を占めるのだろう。

2011-05-19 12:00:59
茂木健一郎 @kenichiromogi

独(7)日本が明治維新を達成した時と今では、ヨーロッパというものの見え方が全く違ってしまっている。中国、インド、中東、ブラジルの台頭で、世界の認知地図はますます変わっていってしまうだろう。そんな中、我が愛しのドイツは、どんな未来を探し当てるのだろうか。

2011-05-19 12:03:11
茂木健一郎 @kenichiromogi

独(8)森鴎外がウンテル・デン・リンデンを歩いて感傷にふけっていた頃から、たくさんの川が橋の下を流れ、そして、私たちはよりフラットで、偶有性に満ち、予想しがたい時代の中に投げ込まれている。地球民の地球文化ばんざい!

2011-05-19 12:04:36
茂木健一郎 @kenichiromogi

独(9)ベルリンの街を歩きながら、自分が何を見て、何を感じ、そして連想するか。それが、「未来」を探り当てるための何よりの「魂のレッスン」となる。だからこそ、旅行は楽しい。そして、地球の未来は、いよいよ予想しがたく、胸は甘くざわめく。

2011-05-19 12:05:58
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、ベルリンを歩いて「ドイツ」について考え、グローバル化の中のさまざまな変質を想ったことについての、連続ツイートでした。

2011-05-19 12:06:49