【星を遺す者】吊るされ男は秘密と踊る

ヒポ先生（聖別）／FateESアフター @higururoll

その日催されていたのは、帝国の中でも一部の派閥、純血ラジカリストによる夜会であった。帝国が既知宇宙統一会議に参画することをよく思わない者達の集団だ。そして、当然その会に呼ばれているのは同派閥に出資をしている者や、賛同している者が多い。

ヒポ先生（聖別）／FateESアフター @higururoll

楽しげな空気と豪奢な食事。過激な思想の発言が時折飛び交うが、この場ではそれも許される。 そんな空間の端に、一人の男。白地の布に青い刺繍で目のような紋様が描かれた服装を纏う片眼鏡の男は、ひどくつまらなそうに壁の華となっている。男はその空間では服装も相まって異彩を放っていた。

ヒポ先生（聖別）／FateESアフター @higururoll

知る者が見れば、その服装は愛を標榜する宗教集団、ラスキウス聖織軍のものと分かるだろう。 @Byredo_owh

ヒポ先生（聖別）／FateESアフター @higururoll

#吊るされ男は秘密と踊る 【相席するは愛なりて】 ここ十年で開拓の進んだニューガイアでは、民間向けの幾つかの店舗――例えば食事処など――が設置されるに至っている。とはいえまだ振興地域であることは確かなため、それらの店舗の区画は狭く、一つの店舗の大きさも小さい。

ヒポ先生（聖別）／FateESアフター @higururoll

エリオットはそのうちの店舗の一つに入って昼食を摂っていた。時刻はニューガイア基準で正午を過ぎた頃。店内は込み合い、人でごった返している。 「すみません、相席よろしいでしょうか？」 二人席のソファーに腰掛けていたエリオットに声がかかる。声の主は片眼鏡をかけた優男風の男性だ。

ヒポ先生（聖別）／FateESアフター @higururoll

歳の頃は二十代後半といったところだろうか。手には店の定番メニュー、人工肉と保存チーズのハンバーガーと飲料がトレーに載っている。 周囲を見回せば、他の席はおおかた埋まっているようだった。 @RolrolLungi

ヒポ先生（聖別）／FateESアフター @higururoll

#吊るされ男は秘密と踊る 【赤織と白織】 ラスキウス聖織軍本部の協会。違法建築じみたその建物の上層階には、各色織個人に割り当てられた部屋が存在する。それを存分に利用する者もいるし、たまにしか帰らない者もいる。その辺りは自由となっているのだ。 その一室、とある扉の前にメムは立つ。

ヒポ先生（聖別）／FateESアフター @higururoll

「さて、今日は何を要求されるんでしょうねぇ……」 扉にかかるタロットの紋様は『女帝』。ラスキウス聖織軍の中でも一二を争う変人奇人の類だ。 扉を二階ノック。中に当人はいるだろう。 「マリリンさん。どうも。メムですよ。中に入っても？」 @mayosan14

アンテルリュード【DF92】@英君パSS @Saregano_p

@higururoll 「この世に愛がなければ、そもそも戦争など起きませんからねェ」 「……」 「えぇ、ありますよォ。ワタクシにも、秘密の、一つや二つくらい。この聖織軍に言えないことだってねェ」

ヒポ先生（聖別）／FateESアフター @higururoll

@Saregano_p 「そうですか。……ふふ、いえ、いいんです。私は秘密を暴き立てたいわけではなく、ただ貴方も秘密を抱えているということが愛おしいので」 「秘密は人を魅力的にしますから、ね」

アンテルリュード【DF92】@英君パSS @Saregano_p

@higururoll 「愛おしく思って頂けるのであれば、織長、上機嫌ですよォ。見てもらえるのは大好きなのでェ」 「それがアナタの愛ですものね。このラスキウスでぜひとも満足していってくださいよォ」

姉TBT @Byredo_owh

@higururoll ■「お楽しみですかな？」高位貴族たちの談笑と、純血主義者でなくば聴いた事も無さそうな旧世紀のクラシックが響く中。その透き通ったよく通る声が、全く楽しく無さそうにしている貴方に掛けられたのはそんな時だった。貴方が"それ"と出逢ったのは、この夜が最初の事であった■→

姉TBT @Byredo_owh

@higururoll #ディープメモリーズ 【BGM:ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト - ディヴェルティメント第17番ニ長調K.334第3楽章】 youtu.be/jbSdvsW9SUU →

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姉TBT @Byredo_owh

@higururoll ■「失敬」貴方の顔を覗き込む"それ"の瞳の色は血の赤だった。切れ長の瞼。銀の髪は腰まで波打ち、身を包むのは他の貴族と同じく時代錯誤な旧ガイア様式だが、他の貴族より格下の装い。男か？女か？「余りお目に掛らないお顔だったもので」物腰は軟弱な貴族というより、武人。さてはこの連中の番犬か■

ゲンカシュー🍂GCRBアフター🍂美々丞 @EXyakinikuB

@higururoll その夜はとにかくエックスの目には綺麗に映った。夜のランニングを中断し、目につく綺麗な風景へと足を踏み入れて。 ただそれだけで終わる夜だと本人は思っていた。聞こえる声に不審を感じて"きれい"な路地裏に入る前は。 「っ！」 →

ゲンカシュー🍂GCRBアフター🍂美々丞 @EXyakinikuB

@higururoll 一瞬だけきれいだと誤認した脳は体を動かせなかった。ただ少しの間、記憶に焼き付けるように呆然と立ち尽くしている目でそれを見て。 「お、おい！なにやってんだよ…ッ！」 妙に感じる恐怖に急かされてやっと体が駆け出す。 エックスが伸ばした手は、伸ばされた手と苦しそうな男の顔を隠した。

ヒポ先生（聖別）／FateESアフター @higururoll

@mayosan14 おおよそ女帝の二つ名に相応しくないような緩んだ態度。しかし、それとは裏腹に、彼女に蓄えられた知識はその名を色織に連ねるに敵うものだとメムは知っている。 扉を開けて入室。後ろ手に扉を閉め、寛ぐ彼女の傍へと歩み寄る。 「いつも貴方にはお世話になっていますからね」 →

ヒポ先生（聖別）／FateESアフター @higururoll

@mayosan14 彼女は知識を司る赤織。 彼は粛清を司る白織。 ならば、問うべきは決まっている。 「では、いつものように。今回粛清すべき対象についての情報を頂戴したく。なるべく詳細にね」

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@Zegna_red 深夜のショットバーは気楽でいい。パーテンダーは物静かで、流行らない店内では無粋な輩に声をかけられることもない。独り、静かに酒を味わうことができる。 そうして酒を呷るモニカの手元に、不意に一杯のカクテルが供される。 それは琥珀色の液体。聞けば、グランド・スラムという酒だという。 →

ヒポ先生（聖別）／FateESアフター @higururoll

@Zegna_red 「あちらのお客様からです」 古典の小説を読めば出てきそうな台詞をバーテンダーが吐く。 カウンター、三つ離れた席で、同じ色のカクテルを口に運ぶ男。白地に青で瞳の描かれた独特の紋様の服を纏う男は、場末のバーには不釣り合いな気配ーーどこか貴族然とした雰囲気を漂わせていた。

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@Saregano_p 「ええ、ええ。私はこの秘密と愛に溢れたラスキウス聖織軍を愛しているのですよ、織長」 「……愛故、ですからね」 「さて、こんなところでしょうか。ふふ、面談と聞いて少し緊張しましたが、大したこともなくて安心しましたよ」

ヒポ先生（聖別）／FateESアフター @higururoll

@mayosan14 「ふふ、貴方も意地が悪いですね」 同調するようにメムもころころと笑う。どちらも腹の底が知れない者同士、気が合うのか。 「金髪の癖っ毛、色白で16より下の子供ですね。ええ、いいですよ。見繕っておきましょう」 メムの財力と伝を辿れば、用意できないニューガイア人はまずいない。 →