10周年のSPコンテンツ!
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レオンハルト(正史)@英同邪SGOSS/メム @higururoll
昔、一振りの剣をもらった。 ある男からの餞別だ。 彼がとある軍事国家に雇われることになり、長く過ごした傭兵舎を後にすることとなったとき。 一人の後輩、弟分、あるいは息子のように可愛がっていた存在へ、その男から。 「大事にしろよ。武器は傭兵の命だぜ」 そう言われて。
レオンハルト(正史)@英同邪SGOSS/メム @higururoll
もらった剣は、剣というより直刀で。投影武器の「ニホントウ」とやらに近いような外見をしていた。 外見に違わずその剣は扱いが難しく、また、重さもあったので、当時まだ十になったかどうかの少年には手に余る代物であった。 けれど、少年はその剣に込められた意図を知っていた。
レオンハルト(正史)@英同邪SGOSS/メム @higururoll
『この剣を扱えるような一人前の戦士になれ』 そう言われていると知っていた。 だから、来る日も来る日も鍛練をした。来る日も来る日も剣を振った。 何度も。 何度でも。 そして、数年後。 その剣を一人前に扱えるようになるなった頃。 とある軍事国家から、その青年ーーレオンハルトに声がかかった。
レオンハルト(正史)@英同邪SGOSS/メム @higururoll
その軍事国家の名前は、スペルビア。 その名を聞いた時、レオンハルトは密かにほくそ笑んだ。 「やっと追いついたぜ、兄貴」 全てはこの日、このために。 青年はこれまで幾度も列強国家から傭兵として雇い入れの声を掛けられていた。だが、その全てを一瞥すらせずに断っていた。
レオンハルト(正史)@英同邪SGOSS/メム @higururoll
それは、ひとえに。 この国に、雇われたかったから。 この剣をくれた男と、再び肩を並べたかったから。 だから、待った。 そして、悲願は実った。 レオンハルトは、軍事国家スペルビアに迎え入れられたのだ。 「待ってろよ、アマールラ」 静かに獅子は獰猛に嗤う。 今でもその腰には一振りの剣。
レオンハルト(正史)@英同邪SGOSS/メム @higururoll
大切な兄貴分がくれた、何の変哲も無い、とっておきの一振りの剣が差してある。 その剣はレオンハルトにとっての想い出で、人を繋ぐ絆で、心を生き長らえさせる原点だ。 よかった。 内に秘める混沌がその魂を喰い尽くす前に、まだ一夢見れそうだ。
レオンハルト(正史)@英同邪SGOSS/メム @higururoll
@GCt_SGO #SGOSS事前登録 【名前】レオンハルト 【クラス】邪紋使い 【勢力】英雄 【所属】同盟 【出身】大戦 【タグ】#黒獅子は英雄の夢を見るか 正史時空のレオンハルトとなります。よろしくお願いします!
レオンハルト(正史)@英同邪SGOSS/メム @higururoll
今、一振りの剣が折れた。 ある男からの餞別だったものだ。 彼がとある軍事国家に雇われることになり、長く過ごした傭兵舎を後にすることとなったとき。 一人の後輩、弟分、あるいは息子のように可愛がっていた存在へ、その男から。 「大事にしろよ。武器は傭兵の命だぜ」 そう言われて。
レオンハルト(正史)@英同邪SGOSS/メム @higururoll
その剣が折れたのは、レオンハルトが『レオン』になり、反英雄『皇帝邪紋』と呼ばれ始めるようになってからだ。 なんてことはない。折れた理由は単純明快、ただの金属疲労だ。 それだけ、男はこの剣を酷使した。まともに振るうことすら儘ならなかったあの頃から使い続けて幾星霜。
レオンハルト(正史)@英同邪SGOSS/メム @higururoll
人を斬って、斬って、斬って。 斬って。 斬って。 斬り続けた。 その果てに、酷使に耐えられなくなった金属が壊れ、折れた。ただそれだけ。 それだけだ。 それだけ、レオンハルトが人を殺し、国を滅ぼし、世界を壊したということ。 その剣の破片は端的に、その事実を指し示していた。
レオンハルト(正史)@英同邪SGOSS/メム @higururoll
「……どうすっかな」 ぽつりと漏れた呟きを拾う者はいない。皆死んでしまった。 剣が折れた。ならば、代わりの剣を探さねばならない。混沌から剣を作り出すこともできるが、些か面倒だ。 かといって、今更レオンハルトのために剣を売ってくれる商人などいないだろうし、打ってくれる鍛治師もいない。
レオンハルト(正史)@英同邪SGOSS/メム @higururoll
世界を敵に回すということは、味方は誰もいないということなのだ。だから、武器の一つだって、これからは自力で調達しなければならない。 さて、どうやって調達しようか。武器には拘りたい。 だって。 誰かが言っていた。 『武器は傭兵の命だぜ』 誰かがーー誰かが……?
レオンハルト(正史)@英同邪SGOSS/メム @higururoll
「ーー誰だっけ……」 記憶の中の誰か、背の高い大男が言う。けれどその顔を、声を、思い出せない。 とても大切な、とても尊敬していた人だったと思うのに。 思い、出せない。 「チッ……」 いつもそうだ。そうやって記憶が抜け落ちていく。 レオンハルトの自我を蝕む混沌は、記憶を奪う。
レオンハルト(正史)@英同邪SGOSS/メム @higururoll
彼の大切なものを、彼が人間たるその証左を少しずつ削り取り、混沌へと還してしまう。 そして、今まさに、こうして削り取られてしまった。武器に関する大切な記憶を。大切な人との想い出を。 ぎり、と奥歯を噛んだ。酷く心が荒んで、苦しかった。
レオンハルト(正史)@英同邪SGOSS/メム @higururoll
血の海に変わった国の大地を踏みしめて、男は歩く。倒れたまま動かない屍を適当に物色しながら。 そのうち、死体の中に一本の剣を見つけた。何の変哲もない鉄剣だ。持ち主の固くこわばった拳を引き剥がし、強奪する。 自分の手で握り、二三回振って重さを確かめる。 「悪くねェな」
レオンハルト(正史)@英同邪SGOSS/メム @higururoll
よし、これにしよう。 ついでとばかりに鞘も回収して、自分の腰に括りつけた。 「は、まるで死体漁りの盗賊だな」 そう皮肉って、独り嗤った。 これからは、こうして生きていくのだ。戦いに負けた敗者から聖印を、邪紋を、武器を、何もかもを奪って。 そうして奪い尽くしながら果てへ至る。
レオンハルト(正史)@英同邪SGOSS/メム @higururoll
それしかない。それしかできない。 そう分かったから、そうする。 『武器は傭兵の命だ』 そう言った誰かだってきっともう生きていないのだから。 もう、気にすることはない。 第一もう、自分は傭兵ではない。傭兵にしては強くなりすぎた。 自分はもう、反英雄なのだから。
レオンハルト(正史)@英同邪SGOSS/メム @higururoll
「ここはいつ来ても雑然としとるのー」 「うっせ」 それから数ヶ月。反英雄の皇帝邪紋としてパンドラ跡地に座してから、幾分時間が経って。 レオンハルトにも、仲間、と呼べるような存在が増えた。 その一人、翠の魔女WiZが、男の棲みかに忌憚のない感想を述べる。
レオンハルト(正史)@英同邪SGOSS/メム @higururoll
「なんというか、もう少しだな、生活感とか……」 「寝るだけの場所なんだからベッドがありゃいいんだよ」 「いうてそれソファよな?カーテン掛けて取り繕っただけのソファよな??」 はぁ~、と溜め息。翠の魔女がその美しいかんばせをしかめさせる。 「で、用向きは何だ」
レオンハルト(正史)@英同邪SGOSS/メム @higururoll
「人の塒にケチつけに来た訳じゃねぇんだろ」 「ん、では『商談』といこうか」 ウィズが指を鳴らすと、ゴーレムの配下達が機敏に動き、床に武器を並べていく。 剣。斧。槍。鎌。他にも無数の金属。 おおよそ人を殺傷するためだけに作られたあらゆる物体が二人の前に陳列されていく。
レオンハルト(正史)@英同邪SGOSS/メム @higururoll
「武器か」 「そうよ。王たるおぬしにはそれらしい武器があった方がよかろ」 ウィズが用意した武器はどれも頑強で精密で美しく、傭兵だった頃のレオンハルトには到底買えなかったような高級品でもあった。これら全てを、ウィズはレオンハルトのために用意したという。 「ささ、好きなのを選ぶとよい」
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