NSAIDSについて

NSAIDSについての解説と、副作用について
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ファーマ💊@薬学系Vtuber @vt_pharma

皆さんこんにちは。今日は痛み止めについてのお話をしたいと思います。皆さんのお家の薬箱にはかなりの確率でバファリンやロキソニン、といったお薬が入っているのではないでしょうか。

2019-07-17 10:38:28
ファーマ💊@薬学系Vtuber @vt_pharma

市販されている痛み止めのほとんどはNSAIDS(Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs)いわゆる、ステロイドではない痛み止めで占められています。また、慣例として、NSAIDSは医療用麻薬や神経因性疼痛用薬を除いたCOX阻害薬を指す場合が多いです。

2019-07-17 10:41:11
ファーマ💊@薬学系Vtuber @vt_pharma

鎮痛剤の中で最も使いやすいのがアセトアミノフェン(カロナール®︎)です。用量の調節次第で、小児から老人まで。また、癌性疼痛のような激しい痛みにも対応できる非常に便利な薬剤です。 他のNSAIDSでしばしば問題となる胃腸障害や腎障害のリスクもほぼありません。

2019-07-17 10:44:43
ファーマ💊@薬学系Vtuber @vt_pharma

しかしながら打撲や筋肉痛といった、局所の炎症を抑える効果はあまり期待できません。 また、肝機能障害の原因となることがあるため、大量服薬ではリスクが伴います。 日本の添付文書では1日に4000mgまで投与可能とあり、ほとんどの患者さんにおいてその用量で安全に使用できます。

2019-07-17 10:50:59
ファーマ💊@薬学系Vtuber @vt_pharma

しかしながら、代謝酵素に変異がある場合は比較的少ない量のアセトアミノフェンで中毒を起こす場合もあります。実際過去に2400mg/dayでの使用で死亡例があります。 厚生労働省の報告書では肝臓の代謝酵素CYP2E1とグルクロン酸抱合に関わるUGT1A6の変異がリスクであるとの記載があります。

2019-07-17 11:01:27
ファーマ💊@薬学系Vtuber @vt_pharma

代謝酵素のCYP2E1はアセトアミノフェンの処理の5-10%を、グルクロン酸抱合のUGT1A6は50%を担っていると言われています。 遺伝子変異がない限り、このような肝障害は起こりづらいため通常用量でアセトアミノフェン中毒となる可能性は決して高くないです。不必要に心配しすぎないでくださいね。

2019-07-17 11:18:43
ファーマ💊@薬学系Vtuber @vt_pharma

重篤副作用別対応マニュアル薬剤性肝障害 厚生労働省 参照 pic.twitter.com/e0tcmldPkS

2019-07-17 11:19:41
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ファーマ💊@薬学系Vtuber @vt_pharma

話がマニアックな方に逸れてしまいました。

2019-07-17 11:20:59
ファーマ💊@薬学系Vtuber @vt_pharma

今日お話したいのは、皆さんが薬局でよく購入される、ロキソニンやバファリンといったCOX阻害薬のお話です。

2019-07-17 11:21:59
ファーマ💊@薬学系Vtuber @vt_pharma

痛みってどのように感じるか皆さんご存知でしょうか。 我々が体に強い刺激を受けると、神経から電気信号が脳に向かい、脳が「痛い」と感じるわけです。さらに、刺激を受けた箇所に痛みを感じさせる物質(プロスタグランジンE2)が発生するため、痛みが続くわけです。

2019-07-17 11:27:17
ファーマ💊@薬学系Vtuber @vt_pharma

NSAIDSは痛みを感じる物質の産生に関わるCOX2という酵素を阻害するため、痛みを抑えることができます。 よく知られているロキソプロフェン(ロキソニン®︎)、アスピリン/ダイアルミネート(バファリン®︎)はこのCOXを抑える働きを持っているお薬というわけです。

2019-07-17 11:31:11
ファーマ💊@薬学系Vtuber @vt_pharma

しかしながら、良いことばかりではありません。 COX阻害薬は痛みに関わるCOX2以外にCOX1も阻害してしまいます。 COX1は消化管、腎臓、血小板に発現しているため、NSAIDSの使用で胃潰瘍になったり、腎臓の機能が落ちたり、血が止まりにくくなったりするリスクがあります。

2019-07-17 11:33:23
ファーマ💊@薬学系Vtuber @vt_pharma

それならCOX2だけに働く薬があるといいじゃないか、と思うかもしれませんね。実際にCOX2選択性のNSAIDSは医療用医薬品としては販売されています。

2019-07-17 11:39:02
ファーマ💊@薬学系Vtuber @vt_pharma

セレコキシブ、エトドラク、メロキシカムなどがCOX2選択性のNSAIDSに当たりますが、長期の使用で心血管イベント(心筋梗塞など)を増加させるという報告もあり使用には慎重にならないといけないようです。

2019-07-17 11:39:26
ファーマ💊@薬学系Vtuber @vt_pharma

と、ここで終われば普通の薬学系botですが、ファーマちゃんは違いますよー!(ドヤ顔) 実は薬剤師業界では常識になっている、COX2阻害薬が心血管イベント増やす、という常識に一石を投じる調査があるのです! pic.twitter.com/wIfZUr6Pcc

2019-07-17 11:45:09
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ファーマ💊@薬学系Vtuber @vt_pharma

PRECISION試験を紹介します。 2万4千人を無作為割付し、セレコキシブとイブプロフェン、ナプロキセンの比較で心血管イベントの発生リスクを調査した試験ですが、セレコキシブ群で心血管イベントの増加は見られないという結論が出ています。 N Engl J Med. 2016 Dec 29;375(26):2519-29.

2019-07-17 11:52:52
ファーマ💊@薬学系Vtuber @vt_pharma

詳細はこんな感じです。 celecoxib群のibuprofen群に対する非劣性(ハザード比0.85;95%信頼区間0.70~1.04),naproxen群に対する非劣性(0.93;0.76~1.13,非劣性p<0.001)

2019-07-17 11:53:40
ファーマ💊@薬学系Vtuber @vt_pharma

あとサブグループ解析ですが、 重篤な消化管イベントリスクはcelecoxib群がibuprofen群(1.1% vs 1.6%, p=0.002), naproxen群(vs 1.5%, p=0.01)より有意に低く。 腎イベントリスクはcelecoxib群がibuprofen群より有意に低く(0.7% vs 1.1%, p=0.004),naproxen群(0.9%)とは有意差はなかった

2019-07-17 11:54:55
ファーマ💊@薬学系Vtuber @vt_pharma

COX2阻害薬の面目躍如って感じですね♪ やはり腎毒性と消化管の副作用は少ないようです。 心血管イベントが増えるのは類薬のクラスエフェクトではなくて、rofecoxib特有のものだったのかもしれませんね・・・

2019-07-17 11:57:19
ファーマ💊@薬学系Vtuber @vt_pharma

一言でまとめると、セレコックス意外とイケるじゃん! ていう論文でした。日本で使用の多いロキソプロフェンとの比較も見てみたいですね。参考文献載せておきます。 nejm.org/doi/pdf/10.105…

2019-07-17 11:59:45
ファーマ💊@薬学系Vtuber @vt_pharma

心配症なのでメガスタディばかり取り上げてしまいますね…

2019-07-17 12:53:25
ファーマ💊@薬学系Vtuber @vt_pharma

今日のツイートはちょっと難しかったかもしれません。

2019-07-17 13:13:12
ファーマ💊@薬学系Vtuber @vt_pharma

一般の人向けに今日のまとめ。 ①アセトアミノフェンは安全だが、局所の炎症には効果が薄い。 ②市販のNSAIDSは炎症を抑える効果があるが、胃腸や腎臓に負担をかけることがある。

2019-07-17 13:17:35
ファーマ💊@薬学系Vtuber @vt_pharma

皆さんがおっしゃられている通り、ロキソニンなどのNSAIDSを服用される際はお腹に何か入れてから内服する等、胃腸をいたわったほうが良いと思います。迷ったら薬剤師さんに聞いてみてください。あ、私にでも構いませんよ?

2019-07-17 13:18:54