夜闇のように微笑んで

深海さかな @dzurablk_kai

あの日、姉が闇に同化した夜に、私は自らの存在も闇に封じることを決めた。顔を覆う仮面は今や肌の一部のように感じる。冷たく、固い闇。私の知る姉のような、暖かく柔らかな感触とは似ても似つかぬ、紛い物の夜闇。それはあの夏の温い空気とは対極の、肌を刺す冬の冷気のようだった。

深海さかな @dzurablk_kai

仮面の端に触れた指先に走る痛覚と、体液の伝うひやりとした触覚。 それらを優しく舐め取る舌先の柔らかさに私は、私と妹の存在を確定する。目に見ることができないのは姉と同じだが、今の私には妹と自らの存在が確かに感じ取れた。

深海さかな @dzurablk_kai

「ダイジョウブ…私は、ドコにも行かないカラ」 そう言って私を抱きしめる妹の感覚はまるで、虚無を内に秘めた姉の陶磁器の肌に似て、ひんやりと冷たく心地よかった。 了

深海さかな @dzurablk_kai

「川内が神通を堕とす」って構図、あんまり見ないなー とか、書いてて思ったなど

深海さかな @dzurablk_kai

※百合の話ではないです ※むしろ百合では川内が堕とされてほしい派 ※そういう話ではない