スポーツの緊張した場面でベストパフォーマンスを出すには

スポーツ心理学
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西川 匠🌏鰹BAR for Sports @physio_tennis

【ベストパフォーマンスを出すための原則】 スポーツの緊張した場面でベストパフォーマンスを出すには、ある原則があります。 これは40年以上前に提唱された理論で、こんにちのスポーツ心理学の大元とも言われています。 今回は、その背景にある知識と、僕の現場の知見も合わせてお伝えします↓

2019-07-26 21:31:35

ベストパフォーマンスの為に

西川 匠🌏鰹BAR for Sports @physio_tennis

コラムに入る前に。 今回の内容は「インナーゲーム」の内容の紹介が8割と、それを踏まえた僕なりの考察が2割です。 インナーゲームについて詳しい方には、あまり新鮮味がないコラムだと思うので、見ないでも良いかもです。 それでは始めます↓

2019-07-26 21:32:56
西川 匠🌏鰹BAR for Sports @physio_tennis

本日のコラムの目次 ・インナーゲームについて ・スポーツ時には「2人の自分」が存在する ・緊張の中でもパフォーマンスを発揮するには ・日常でできる訓練法 順番に解説していきますね!

2019-07-26 21:34:26
西川 匠🌏鰹BAR for Sports @physio_tennis

①インナーゲーム まず、インナーゲームの成り立ちを少しだけ。 インナーゲームというのは、アメリカのティモシー・ガルウェイというテニスコーチが、レッスン中に発見した理論です。 1973年、つまりもう50年近く前の内容なのですが、これが後に今スポーツ心理学の元になって言われています。 pic.twitter.com/4Ah2mAOx4L

2019-07-26 21:36:22
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西川 匠🌏鰹BAR for Sports @physio_tennis

彼が提唱したインナーゲームというのは、スポーツ中は常に、実際に行われているゲームとは別に、競技者の中で自分vs自分の葛藤(勝負)が行われているという主旨。 彼は前者をアウターゲーム、後者をインナーゲームと呼び、ベストパフォーマンスを出すには後者に勝利することが大事と提唱しました。

2019-07-26 21:37:49
西川 匠🌏鰹BAR for Sports @physio_tennis

当時はただ彼が言い出した独自の理論だったのですが、年々研究が重ねられ、今では様々なスポーツや音楽、ビジネスなんかにも応用されるようになりました。 (実際、様々な方面で書籍化されてる) そしてインナーゲームは、この「スポーツ時には二人の自分が戦っている」から物語が始まります。 pic.twitter.com/DJg361Qiyk

2019-07-26 21:41:00
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西川 匠🌏鰹BAR for Sports @physio_tennis

【スポーツ時には二人の自分がいる】 プレー中にミスをすると「このバカ!なんで!」と言ったり、大事な場面で「失敗したらどうしよう」と頭に浮かぶことは、誰にでもあるかと。 では、これは一体誰が誰に言っているのか? 答えは「自分が自分に言っている」で、これこそが「二人の自分」である。

2019-07-26 21:44:08
西川 匠🌏鰹BAR for Sports @physio_tennis

この「二人の自分」をガルウェイは「自分の頭」と「自分の体」に分類し、それぞれセルフ1、セルフ2と名付けた。 つまり、スポーツ中には常に自分の頭(セルフ1)が自分の体(セルフ2)に対して何か話しかけている、という解釈になる。 pic.twitter.com/QLmGAwAzYU

2019-07-26 21:46:53
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西川 匠🌏鰹BAR for Sports @physio_tennis

ガルウェイによると、セルフ1とセルフ2(体)には、それぞれ特徴があると↓ セルフ1(頭) ・自分自身はプレーできない ・セルフ2のプレーの良し悪しを判断したがる ・セルフ2を言葉で罵る セルフ2(体) ・高いポテンシャルを持っている ・自分自身でプレーし、その感覚を感じ取れる

2019-07-26 21:49:16
西川 匠🌏鰹BAR for Sports @physio_tennis

簡単にいうと、あなた自身をひとつの「会社」とした場合、 セルフ1=部下の揚げ足をとり、文句ばかり言う無能な上司 セルフ2=純粋で有能な部下 と言い換えることができます。 当然、無能な上司に文句ばかり言われていると、部下がいくら有能でもパフォーマンスは期待できません。 pic.twitter.com/cfyvP2g2vb

2019-07-26 21:50:50
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西川 匠🌏鰹BAR for Sports @physio_tennis

ですが、皆さん知っての通り、実際にプレーするとどうしてもセルフ1(無能な上司)に罵倒されることが多くなりますよね。(何やっとんねん!◯ね!みたいな) 優秀な部下に全て任せとけばいいのに、自分では何もできないのにでしゃばって罵ってしまうのがセルフ1ということになります。

2019-07-26 21:52:55
西川 匠🌏鰹BAR for Sports @physio_tennis

しかし、セルフ1も2も「あなた自身」なので、当然どちらかを捨てることはできません。 なので理想は、『無能な上司であるセルフ1には黙って見守ってもらい、優秀なセルフ2にのびのびプレーしてもらう』のを目指すべき、となります。 これこそが、インナーゲームの目指すところとなります。

2019-07-26 21:54:30
西川 匠🌏鰹BAR for Sports @physio_tennis

セルフ1(頭)が黙って見守り、セルフ2(体)がのびのびとプレーしてる状態。 それがまぎれもなくベストパフォーマンスを生む状態なのですが、ではどうすればこの状態を作り出すことができるのか?それも、緊張する場面で? ガルウェイはこれに対し、「今、ここに」がポイントであると考えました。

2019-07-26 21:56:21
西川 匠🌏鰹BAR for Sports @physio_tennis

【緊張の中でもパフォーマンスを発揮するには】 皆さんが知りたいのは、「大事な試合の大事な場面で、パフォーマンスを発揮するにはどうすればいいか」だと思います。 インナーゲームでは、セルフ1がどういう時に顔を出し、どういう時に黙っててくれるかを知ることで、そこに近づくとしています。

2019-07-26 21:58:07
西川 匠🌏鰹BAR for Sports @physio_tennis

重要なのは、セルフ1は判断(judgment)が好きということです。 一方、セルフ2は純粋に感覚を感じ取るだけ。 例えばピッチャーが「ボール球」を投げた時の反応は、 セルフ2(体)→「この感覚で投げると、◯cmボール玉になる」 セルフ1(頭)→「外したやんけクソが!ボケカス!」 pic.twitter.com/HJswB7UNmr

2019-07-26 22:00:52
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西川 匠🌏鰹BAR for Sports @physio_tennis

そして、セルフ1がjudgmentする時はある共通点があり、 「なんでミスしたんだ!」 「次もしミスしたらどうしよう」 「あの選手は自分と比べると…」 「周りは自分のことをどう思ってるのか…」 など、全て『今ではないこと』『ここにないこと』なんですね。 つまり、過去や未来,他者などです。

2019-07-26 22:02:23
西川 匠🌏鰹BAR for Sports @physio_tennis

これが、インナーゲームの中で最大のキーワードと言われるところで 、 『今ここに』 原本では『now and here』と書かれています。 つまり、「今ここにある何かしらの感覚に意識を傾ける」ことができれば、セルフ2が優位となり、セルフ1が黙って見守ってくれる、ということになります。

2019-07-26 22:04:45
西川 匠🌏鰹BAR for Sports @physio_tennis

抽象的な話なので、僕の現場での知見も合わせてお話ししますね。 実際に僕がサポートしていた選手で、非常にプレッシャーのかかった場面に強い選手がいました。 その選手に、「緊張した場面で何考えてんの」って聞くと、 『いつも通り、ボールを捉える時の感覚をイメージする』って答えたんですね。 pic.twitter.com/r2yqlflO12

2019-07-26 22:06:44
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西川 匠🌏鰹BAR for Sports @physio_tennis

まさしくこれが、「今ここに」集中することであり、インナーゲームの理想と考えられています。 この「感覚」というのはガルウェイ曰くなんでも良く、自分の体の使い方に意識を向けるもよし、球技ならボールを捉える感覚に意識を傾けるでもよし。 「自分が信頼できる感覚」であれば良いとのこと。

2019-07-26 22:08:38
西川 匠🌏鰹BAR for Sports @physio_tennis

これに対し僕が感じているのは、緊張する場面でパフォーマンスを発揮できる選手ほど、日々の練習を経て、何かしらの『確固たる感覚』を持っているんですね。 これは、以前僕が運動学習のコラムであげた「自動化段階」を経て、「感覚を探す旅」に入ってる、ということです↓ twitter.com/physio_tennis/…

2019-07-26 22:11:18
西川 匠🌏鰹BAR for Sports @physio_tennis

運動は自動化していくほど、その感覚は磨かれ続ける。 cm単位だったのがmm単位に、そしてコンマ数mmへと。 なので③自動化段階を僕は、 「感覚を探す旅」 とも言える。 あと自動化は疲労が少ないことが条件とされる。 身体的疲労があると自動化された運動も意識的な運動に切り替わってしまう。

2018-09-23 21:02:05
西川 匠🌏鰹BAR for Sports @physio_tennis

運動は自動化していくほど、その感覚は磨かれ続ける。 cm単位だったのがmm単位に、そしてコンマ数mmへと。 なので③自動化段階を僕は、 「感覚を探す旅」 とも言える。 あと自動化は疲労が少ないことが条件とされる。 身体的疲労があると自動化された運動も意識的な運動に切り替わってしまう。

2018-09-23 21:02:05
西川 匠🌏鰹BAR for Sports @physio_tennis

一方で、緊張した場面でどうしてもパフォーマンスが落ちてしまう選手もやはりいます。 こうした選手の多くは、普段から自分の感覚に意識を傾けないというか、どちらかというと目の前の結果を気にしてしまう(うまくいった、ミスしたなど)タイプが多かったです。

2019-07-26 22:13:06
西川 匠🌏鰹BAR for Sports @physio_tennis

なので、緊張した場面でのパフォーマンスをインナーゲームの観点から考えると「メンタルの良し悪し」より、普段から作り上げて来た確固たる感覚があるかどうかが重要ということですね。 無論、これはインナーゲームの視点から僕が現場で感じていることなので、これが全てではないのは当然ですが。

2019-07-26 22:14:49