本当は怖い『天気の子』考察

ハッピーエンドのはずなのになんでか見終わった後にずっと憂鬱だったのが、物語を反芻していくうちに実はこれぜんぜんハッピーエンドなんかじゃないんじゃないかって解釈ができて腑に落ちてすっきりしたので、手前の妄想ですがまとめてみます。
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瀬久原万太郎 @mount_low

「天気の子」がハッピーエンドだったのになんか鬱なんだが、ひょっとして「火垂るの墓」と似てるからかも。「火垂るの墓」が妹を死なせてしまった兄が後を追う心中話なのと同じ話の作りじゃないか。帆高が選んだあの世界は実は陽奈と二人で堕ちた地獄なんじゃないのか。

2019-08-02 17:33:13
瀬久原万太郎 @mount_low

荒天を鎮めるために人柱に選ばれた少女がいて、その子を慕ってしまった少年がいて、少女を人柱にしたくない少年は少女をさらって駆け落ちする。しかし最終的には追い詰められて心中。ところが少年は生き残ってしまい、改めて少女の後を追う。「天気の子」の筋書きはまんまこう説明できてしまう。

2019-08-02 20:13:27
瀬久原万太郎 @mount_low

警察に追われて街を逃げ惑う様子はまんま駆け落ち。ラブホでカラオケは最期の思い出作り。帆高が線路を走るシーン、電車に轢かれないか心配したでしょ? すぐに電車は止まってるのがわかるんだけどさ。あれは身投げを観客に印象付けさせたかったんだな。あの線路、人身事故の多い所だったりしてね。

2019-08-02 20:18:39
瀬久原万太郎 @mount_low

先に逝ってしまった陽菜を追う帆高はずっと自殺行為を突っ走ってる。拳銃を構えても複数の刑事に拳銃を突きつけられたら、自分のこめかみに当ててるのと変わらない。そしてビルを駆け上って屋上から陽菜のいる天界に昇る

2019-08-02 20:24:27
瀬久原万太郎 @mount_low

天界で陽菜を見つけた帆高は深く深く奈落にまで堕ちるように落ちて現世に戻る。死んでこそいないものの、じぶん達の生きていた世界を水没した地獄に変えてしまったこの世をまるごと地獄に変えてでも陽菜を助ける。それが帆高の選択。だからなんか憂鬱なんだ。

2019-08-02 20:29:02
瀬久原万太郎 @mount_low

村を襲う水害を治めるために人柱になるはずだった少女が逃げ出してしまったら、水害は収まらず村は水没してしまうのが道理。帆高は陽菜を助けるために街をまるごと無理心中したようなものなんだ。だから、一見すると前作同様のハッピーエンドのようで、瀧と三葉のようには二人を素直に祝福できない。

2019-08-02 23:14:13
瀬久原万太郎 @mount_low

こういう風に解釈したら「天気の子」鑑賞後になんか憂鬱な気分だったのが落ち着いた。でもまだ、なんか違和感のあるシーンがある。 ・冒頭で帆高はなんで危険だから外出るなと警告されてたのに甲板に出て死にかけた? ・須賀は東京があんな事になったのになんで事務所が立派になった?

2019-08-02 23:28:36
瀬久原万太郎 @mount_low

物語のファーストカットは陽菜が晴れを強く願って鳥居をくぐるシーン。後で「あの時、私は天気の神さまと契約して100%の晴れ女になった。代わりに人柱として命を捧げなければならない」と言うように説明される。すると、次の帆高の登場カットはそれと対になっている

2019-08-03 01:43:59
瀬久原万太郎 @mount_low

そもそも須賀さんは何者だったんだ? なんであの船に乗ってた? それも須賀さんの正体を深読みしたら、登場人物それぞれの名前の意味と役割で合点のいくものが見つかった。

2019-08-02 23:28:36
瀬久原万太郎 @mount_low

帆高は日向を追って島を飛び出したはずなのに、なぜか冒頭で嵐に魅了されて海に落ちかける。その命を拾ったのが須賀陽菜が命を捧げたのが晴天の神=天照大神なら、その対になる荒天の神は海の神でもある須佐男命須賀は須佐男の聖地帆高は須佐男に命を拾われて彼の御使になった

2019-08-03 01:44:00
瀬久原万太郎 @mount_low

100%の晴れ女であるヒロインの名前が陽菜なのはわかりやすいけど、なんで主人公の名前が帆高なのか? これも彼が荒天の神の使いなら筋が通る。帆船は風がなければ進めない、かといって嵐に遭えば制御を失い暴走する。だから帆高は劇中、須賀に振り回されて暴走気味

2019-08-03 01:50:11
瀬久原万太郎 @mount_low

陽菜が天照の巫女で、帆高が須佐男の御使なら「天気の子」晴天の神さま荒天の神さま主導権争いの物語として見ることができる。

2019-08-03 01:53:39
瀬久原万太郎 @mount_low

須佐男が雨を降らせ続けるので困った人々は天照の巫女である陽菜に頼んで雨を止まさせようとした。それを察知した須佐男は帆高を使い陽菜を見つけ出し帆高に陽菜をさらわせてしまう。陽菜がさらわれてしまったことで天照の神徳は成らず、須佐男大勝利で東京は水没しましたとさ。

2019-08-03 02:01:27
瀬久原万太郎 @mount_low

東京が水没したのになぜか須賀がまともな事務所を構えて大成功しているのも、彼が須佐男の化身なら筋が通る。ついでに雨と名付けられた猫が立派に成長して肥えてるのも。夏美さんも須賀姓だから須佐男の化身として帆高が陽菜をさらうのを手伝った。

2019-08-03 02:01:28
瀬久原万太郎 @mount_low

そう。陽菜はときどき挑むようなツリ目になる。親に先立たれて身寄りがなくなったのに大人に頼らずに、いろいろと無茶してでも弟と2人で生きようとする娘なんだよな。「天気の子」が「火垂るの墓」と似てるのまずそこだった。陽菜に清太と似てるとこあるのかな。 pic.twitter.com/N0OqjlVJX0

2019-09-02 16:12:36
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