尾上先生の勉強風景(28)

暑い夏にも勉強を続けるのが学者
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尾上正人 @9w9w9w92

Montagu, Ashley. (1981) Growing Young, Bergin & Garvey. =1986 尾本恵市・越智典子訳『ネオテニー——新しい人間進化論』どうぶつ社

2019-07-24 12:16:37
尾上正人 @9w9w9w92

「この用語を初めてもちいたのは、バーゼル大学の動物学の教授ユリウス・コルマンである。1884年に、彼は、いもりやその仲間たちを研究していて、そのうち、形態は幼生期のままでありながら性的に成熟してしまうものたちの、その変化過程を記載するために『ネオテニー』という用語をもちいた」15頁

2019-07-24 13:46:22
尾上正人 @9w9w9w92

「ハヴロック・エリスは…先人たちの業績とは無関係に、ネオテニーの考えを人類に初めて適用した。彼は、1894年に、ヒトと類人猿の胎児やこどもは、それらの成体どうしより、お互いにはるかに似ていることを指摘した。さらに、両者の胎児は、類人猿の大人よりも、ヒトの大人にずっと似ていると」16頁

2019-07-24 13:50:35
尾上正人 @9w9w9w92

「1926年になって…ルイス・ボルクは、このような傾向[ネオテニー化]にたいして『胎児化』という名称をあたえた。…平面的な顔、少ない体毛、大きな脳容量、手足の構造、骨盤の形態など数多くの身体特徴が、成長とともに他の動物では変化するのに、ヒトでは、成人にまでそのままもちこされると」16頁

2019-07-24 14:05:57
尾上正人 @9w9w9w92

「1932年に彼[ホールデン]は、人類進化の最終段階における本質的な特徴は、あらたな性質の獲得ではなく、むしろ胚や胎児、幼児がもつ形質、すなわち子宮内で外界の刺激から保護されていた形質そのものが保持される点にあるのだ、ということを強調した」17頁

2019-07-24 14:10:17
尾上正人 @9w9w9w92

「彼[コンラート・ローレンツ]はドイツの社会学者アルノルト・ゲーレンの影響を強くうけていた。ゲーレンは、すでに1940年に、人類のいちじるしい特性は、一生のあいだ発達しつづけることである、と考えていた。つまり、人類の特異な点は "非特殊化" ないし "多面性" ということになる」17頁 ほほお

2019-07-24 14:16:56
尾上正人 @9w9w9w92

「猿人アウストラロピテクス・アフリカヌスや原人ホモ・エレクトゥス…さらにネアンデルタール人など、先史時代の人類の幼児の頭骨は、それぞれの時代の人類の成人のそれより、むしろ、現代人の頭骨により近い特徴を数多くしめしているのである」19・305頁 pic.twitter.com/BYzvKLyAgB

2019-07-24 14:51:17
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尾上正人 @9w9w9w92

「成体進化(ジェロントモルフォシス)とは、祖先型が成体段階において特殊化するという進化のひとつのかたちである。その総体的効果とは、進化能力の減少であり、ひいては種の絶滅につながるものと考えられる。大型類人猿…の成獣はすべて…3万年ほど前の上部洪積世より以前の先史人類も」20頁

2019-07-24 14:59:06
尾上正人 @9w9w9w92

「類人猿の場合には、[成体進化ゆえに]幼児からみて約束された形態からは遠ざかり、ある特殊な成体型を強調する方向に発育しているということになる。ヒトでは、幼児的な状態を何年間にもわたって維持しつづけるのである」20・22頁 pic.twitter.com/POSvcJEbog

2019-07-24 15:06:50
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尾上正人 @9w9w9w92

「彼ら[ボノボ]は、他の類人猿にくらべて形態上の特殊化が少なく、ブラキエーション(腕わたり)のために長い腕を発達させることもなかった。犬歯、脳容量、体重などについて、彼らは他の類人猿ほどにオス・メスによる性差をしめさない。これらの点で…他の類人猿より一歩ヒトに近づいている」23・25

2019-07-24 15:14:07
尾上正人 @9w9w9w92

「[少数の調節遺伝子の働きにより]類人猿から人類への転換がネオテニーによって達成されるのは、それほど難しいことではないと考えられるのである。つまり、チンパンジーは、遺伝子のうえではヒトに似ている。ただし、姿かたちや構造においては、類人猿なのである」25頁

2019-07-24 15:17:56
尾上正人 @9w9w9w92

「人類の進化および個体発生の両方において、ネオテニーの対象となるのは、胚よりはむしろ胎児の性質である。…類人猿の胎児形質の保存は、モザイク的におこった。つまり、子孫に保存されるのは、胎児のすべての特徴でなく、いちどに1個、もしくは少数の形質にかぎられる」28-9頁

2019-07-24 16:02:45
尾上正人 @9w9w9w92

「成体形的特徴への変化が、ネアンデルタール人、オーストラリア原住民、ヨーロッパ人の順でしだいに少なくなるという傾向…中国人の成人頭骨では、他のあらゆる集団よりも幼体形が明瞭にあらわれている…モンゴロイド系人種に属する人々の頭蓋は…コーカソイドよりもネオテニー的に進化している」34-5

2019-07-24 16:10:57
尾上正人 @9w9w9w92

「[ヒトの]女性の頭骨は、いかなる人種でも、男性のそれよりも幼体形である…これは他の多くの身体的特徴についてもいえることで、おそらく、機能や行動上の性質でもそうであると私は信じている」35頁

2019-07-24 16:13:47
尾上正人 @9w9w9w92

「身体と頭部の位置関係…ヒトの直立姿勢は、胎児の状態が生後も保持されたもので、視線は水平だが、身体は垂直というものなのである」36頁

2019-07-25 03:12:39
尾上正人 @9w9w9w92

「ヒトをのぞくすべての霊長類に特徴的な突出した顎[プログナティズム]が生ずる。人類では、胎児期の屈曲が保持される。人類の正顎(オルトグナティズム)または平面的な顔は、このネオテニー的状態によるものである。この見解は…ボルクによって『正顎性の問題』と題する1923年の論文でも」41頁

2019-07-25 04:22:59
尾上正人 @9w9w9w92

「ネオテニー化のすすんだ日本人男性において、上顎・下顎の大きさは縮小したが、歯はそうではなかった。その結果、男性の多くで歯の過密化や咬合異常というかたちの不調和がみとめられる」55頁 これは正しいのか?

2019-07-25 04:31:39
尾上正人 @9w9w9w92

「ヒトとことなり、類人猿の成長は、正反対の原理、すなわち祖型の成体の特徴を発達させるという原理にしたがって進む。すでにのべたように、この過程はド・ビーア(1930)により成体進化(ジェロントモルフォシス)と名づけられた」61頁

2019-07-25 09:25:38
尾上正人 @9w9w9w92

「ド・ビーアがしめしたように、幼形成熟(ネオテニー)は、動物の進化の上で、柔軟性を失なうことなく、結果として大きな変化をもたらすことができたが、[類人猿や猿人・旧人の]成体進化(ジェロントモルフォシス)では、これができなかった」61頁

2019-07-25 09:34:27
尾上正人 @9w9w9w92

「幼形成熟的な種が、進化上、より大きな柔軟性をもちえたことの理由として、第1に、おそらくその種は古い種にくらべてより多数のあたらしい遺伝子をもつようになったからであり、また第2に、個体変異の幅が、たぶん広いからである」61頁

2019-07-25 09:39:10
尾上正人 @9w9w9w92

「ボルクは、どうやらダーウィンを理解するのにやや困難を感じていたらしい。なぜなら彼は、ダーウィンとラマルクの説は、いずれも新種の起源を説明するには不十分である、とのべることから記述をはじめているのである。…ボルクは、新種の起源は、むしろ内的要因のはたらきによると感じた」62頁

2019-07-25 09:49:28
尾上正人 @9w9w9w92

「いわゆる "若返りホルモン"[プロミン]は、これまで研究されたすべての哺乳類動物の胸腺に、高濃度でみいだされている。プロミンその他の物質は胸腺でつくられ…時期は遺伝的に制御されているが、これがネオテニーを起こすホルモン、あるいはそういったホルモンのひとつである可能性が高い」65頁

2019-07-25 10:10:32
尾上正人 @9w9w9w92

ボルク「胎児化の程度がことなるということは、多かれ少なかれ、ヒト化(ホミニゼーション)の発達段階を意味する…ある人種が身体的に胎児化し、生理的に遅延している程度が大きいほど、それはサル的祖先から発達し遠ざかった存在なのである。胎児化と遅延の量的差異が、人種差の基本である」69頁

2019-07-25 10:29:39
尾上正人 @9w9w9w92

「乳房と唇…直立姿勢および顎の短縮化への適応にともない、女性に半球状の乳房が発達し、これにたいし、外側にめくれた粘膜質の唇が発達するというユニークな反応が生じた。このようにめくれあがった唇は、類人猿のうすい唇よりも、半球状の表面に吸いつくのに適している」72頁

2019-07-25 10:41:30
尾上正人 @9w9w9w92

「プラトンは、冗談半分に人類を "羽毛のない二足動物" と定義した。これに答えてディオゲネスは、ニワトリの羽毛をむしり "プラトンの人類" として贈った」73頁

2019-07-25 10:44:35
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