尾上先生の勉強風景 (23) シップマン『ヒトとイヌがネアンデルタール人を絶滅させた』

ダーウィンのフォース
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尾上正人 @9w9w9w92

Shipman, Pat. (2015) The Invaders: How Humans and Their Dogs Drove Neanderthals to Extinction, Harvard University Press. =2015 河合信和監訳・柴田譲治訳『ヒトとイヌがネアンデルタール人を絶滅させた』原書房

2019-05-05 23:09:28
尾上正人 @9w9w9w92

「[イエローストーン国立公園への]オオカミの[人為的再]導入は十数年前のことだが、それと約4万5000年前に現生人類という捕食者がユーラシア大陸の生態系へ侵入したことは、非常によく似た状況なのではないかと、わたしには感じられた」3-4頁

2019-05-06 04:17:51
尾上正人 @9w9w9w92

「現生人類は生物史上最も侵入的な生物だ」9頁

2019-05-06 04:23:02
尾上正人 @9w9w9w92

「家畜動物と飼い主である人間との間にはある種の契約、あるいは協定が形成される…ウマやイヌ、ネコ、ウシ、ブタなどの『生きた道具』は受動的な協定の相手ではなく能動的な利害関係者だ。…家畜化とはふたつの種の間で継続的に交渉が続く協定であって、一方の種による他方の種の奴隷化ではない」11-2

2019-05-06 04:28:42
尾上正人 @9w9w9w92

「大型動物は小動物より繁殖が非常にゆるやかなため絶滅しやすく、生殖年齢に達した個体を失うことは種の生存上きわめて深刻な事態となる。また大型になるほど生きていくためにずっと広大なテリトリーが必要となるため、大型動物は生息地の消滅に対しても脆弱だ…この現象は『大型動物相の絶滅』」13頁

2019-05-06 04:33:50
尾上正人 @9w9w9w92

「自生種、つまり在来種が、非常に長い時間その土地の生態系の部分を構成してきた種ということを意味するのであれば、問題は長い時間とはどれくらいかなのだ…合衆国では特定の生態系において500年という時間が、在来種を非在来種や外来種、あるいは侵入種と分かつ境界線としてよく使われている」17-8

2019-05-06 09:49:17
尾上正人 @9w9w9w92

「哺乳類の最も小さな個体群つまり『最小存続可能個体数』(MVP)は大雑把にいって通常1000個体と考えられている。1000個体以下になると近親交配のせいで遺伝的多様性が消失し、有害な突然変異が高頻度で生じるようになる」20頁

2019-05-06 10:07:42
尾上正人 @9w9w9w92

「ネアンデルタール人と現生人類のミトコンドリア・ゲノムにはまったく重複する部分がなかった。…ネアンデルタール人のmtDNA遺伝子プールは現生人類とは異なる存在として十分な時間をかけて進化した」32頁

2019-05-06 10:55:41
尾上正人 @9w9w9w92

「現代人の遺伝子上にはネアンデルタール人の遺伝子の痕跡のない長い部分が複数存在することで、これはこの部分にネアンデルタール人の遺伝子が存在すると現代人にとって有害であったため、ネアンデルタール人の遺伝子が積極的には選択されなかったことを示唆…ネアンデルタール人系統の<砂漠>と」37-8

2019-05-06 11:07:01
尾上正人 @9w9w9w92

「考古学で『インダストリー』(industry)とは、形態や製作技術が共通する石器群のこと。『石器製作伝統』とも言う」41頁

2019-05-06 13:29:41
尾上正人 @9w9w9w92

「ふたつのヒト族の生存が重なる期間は2600~5400年ということになる[旧説よりも短い]。…ネアンデルタール人の絶滅は現生人類が各地域に到着してからきわめて早い時期に生じていることになり、現生人類の到着がネアンデルタール人の絶滅の重要な要因になっていた可能性を強く示唆している」p.54.

2019-05-06 15:44:17
尾上正人 @9w9w9w92

「古人類学者と古生物学者は、『海洋酸素同位体ステージ』(MIS: Marine Isotope Stages)を気候の指標として利用する。…寒冷期には質量の小さい酸素16を含む水分子(H2O)は気化しやすくなり、そのぶん海水と海洋性有孔虫に含まれる酸素18の濃度が高くなる」62頁

2019-05-06 16:04:22
尾上正人 @9w9w9w92

「MISのステージ内における…突然の変動を『ハインリッヒ・イヴェント』(HE: Heinrich Event)と呼んでいる」63頁

2019-05-06 16:07:47
尾上正人 @9w9w9w92

「世界規模の種の絶滅で気候変動が原因と考えられているのはほとんどないのである。…IUCN[国際自然保護連合]によって気候変動と関係するとされた20の絶滅のうち、哺乳類は島に棲む齧歯類である小スワン島フチア(Geocapromys thoracatus)だけだ」77頁

2019-05-06 18:19:08
尾上正人 @9w9w9w92

「『競争的排除に関するガウゼの法則』…長期的にはひとつの種が競争相手の種を追い払い絶滅させる」80頁

2019-05-06 18:31:14
尾上正人 @9w9w9w92

「ネアンデルタール人の歯石や石器の刃を調べてみると、いくらか植物を処理したり消費した痕跡はあったものの、同位体比分析からはそうした証拠は得られず、ネアンデルタール人は植物をほとんど食べていなかったと考えられる」91-2頁

2019-05-07 01:37:19
尾上正人 @9w9w9w92

「『シュレップ効果』…重くてやっかいな物を運ぶことをイディッシュ語で『シュレッピング』…極端に大型の動物になると運搬するのが難しいため、狩猟民は大きな骨がついたままの肉を運んだり、巨大な獲物をそのまま集落や野営地まで運んだりするのではなく、手際よく解体してから運んだのだろう」97頁

2019-05-07 01:42:58
尾上正人 @9w9w9w92

イベリア半島のネアンデルタール人の、飢餓によるカニバリズム説。120-1頁

2019-05-07 02:13:22
尾上正人 @9w9w9w92

「ニコラス・コナード…『人口真空モデル』…晩期のネアンデルタール人は、ヨーロッパの多くの地域に到着した直後の[初期現生人類]とくらべると、非常に人口密度が低かった」128頁

2019-05-07 02:29:54
尾上正人 @9w9w9w92

「無遺物層がヨーロッパでさらに一般的に生じていることがわかれば、現生人類はネアンデルタール人がほとんどいない地理的領域に入り込んだといえるのではないだろうか」131頁

2019-05-07 02:35:25
尾上正人 @9w9w9w92

「ネアンデルタール人の骨にはヒト族による攻撃を受けたことを示すような痕跡はほとんど存在しない。…ネアンデルタール人はユーラシアに現生人類が登場する前、MIS3ステージにおける気候の不安定が生じる前から、生存の困難な状況に直面していたのである」132-3頁

2019-05-07 02:40:15
尾上正人 @9w9w9w92

「単独の捕食者だとすると、同じサイズの獲物を狙う追跡型ハンターより待ち伏せ型のハンターのほうが実入りがいい。この違いは、待ち伏せ型の捕食者が、獲物にこっそり近づいてから全速力で走って飛びかかることで、単独で狩りをするように進化してきたことを反映している」151頁

2019-05-07 06:13:40
尾上正人 @9w9w9w92

「『[ミック]ジャガー原理』…『欲しいものがいつでも手に入るわけじゃない。でもときにはやってみりゃ、本当に欲しいものが手に入るかもよ』…ヒグマはこの秘訣をうまく利用し、ホラアナグマとネアンデルタール人はそれができなかった」177頁 ストーンズ詳しくないから知らん

2019-05-07 09:05:30
尾上正人 @9w9w9w92

「捕食者であることは絶滅の大きなリスクを背負うわけだが、絶滅を逃れたふたつの種の一方は繁殖率が非常に小さく(現生人類)、他方は通常毎年子を産む(オオカミ)…動物相と環境のすさまじい大変動のおかげで他の種は絶滅したというのに、オオカミと現生人類はなぜ生き残ることができたのだろう188

2019-05-07 09:26:37
尾上正人 @9w9w9w92

「最も初期の現生人類がイヌを家畜化したのは、これまで予想されていたよりもずっと早い時期で、現生人類がユーラシアに到着してから1万年以内である可能性が出てきた」193頁 残り3分の1を切ってようやく、お犬様登場(苦笑)

2019-05-07 09:33:45