あー何もしないでピチピチ爆乳褐色清楚姉さん女房がほしー!

はーほしいな20前後のワンコ系メス男子嫁がよ(誰も読まないところに本音を書く)
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帽子男 @alkali_acid

マコト君は立ち上がった。 「僕。もういちど行ってきます」 「どこへですか」 「キャサリンさんのことを伝えてきます」 「やめて下さい」 「だけどこのままじゃおかしいですから」

2019-08-19 01:48:14
帽子男 @alkali_acid

こんなにぺちゃくちゃしゃべったのは初めてだったかもしれない。 ちょっと熱中症気味か。 黄昏の光のせいか。もうすぐだが日も沈む。 宵闇がやってくる。熱気は引かないが。 うっとうしい季節。 マフラーをいじったバイクの音が蠅のようにうるさい。 近づいてくる。子供の甲高い叫び。何もかもうざ。

2019-08-19 01:49:44
帽子男 @alkali_acid

大人も何かわめいてる。 喧嘩か。 振り返ると、変なマスクつけた奴等が火炎瓶とかバットとか手にバイクに二ケツとかして数台走り回ってる。 「何だあれ…」

2019-08-19 01:51:29
帽子男 @alkali_acid

バイクの一台が火炎瓶ぶん投げる。 まじでやりやがった。 公園の遊具にぼわと炎。子供が泣き叫んでる。 バイクがそっちに向かう。え。まじで。 ガキやぞ。バット振り回してるが。

2019-08-19 01:52:36
帽子男 @alkali_acid

「やめなさい!」 キャサリンが飛び出した。小さな輝石の甕を掌にのせて突き出すと、きらきら光る砂が風に乗ってバットを包みもぎ取る。 「っすげ」 だがもう一台がぐるりと回り込んで、警棒を構える。バチバチ言ってる。護身用のスタンガンだ。

2019-08-19 01:54:28
帽子男 @alkali_acid

その場にいあわせたマコト君はビビリでありヤンキーのタフさもオタクの熱意もなかったし、ビビリでコミュ障であった。 だがちと若かった。そして若い男が好きな女を前にしてしばしばのぼせあがり、脳に興奮を引き起こす化学物質を分泌させ、おかしな行動をとらせるのはきわめてありがちだった。

2019-08-19 01:55:52
帽子男 @alkali_acid

さっきの五棟目のアパートでのできごともこれで説明できる。 要するにキャサリンを狙ったスタンガンの一撃を、マコトは身を挺して受け止め、おもっくそ痛い目に遭った。

2019-08-19 01:56:38
帽子男 @alkali_acid

「ぎゃあああ!」 完全にやられ役の雑魚の悲鳴を上げて若者は地面に転がり、びくんびくん痙攣した。かっとなったキャサリンが甕を振るうと、きらめく砂はバイクのタイヤに潜り込み、いきなり逆転させなんかとんでもない大回転を起こして吹っ飛んだ。

2019-08-19 01:58:24
帽子男 @alkali_acid

そのうちにさっき二人を見張ってた、団地の地元ヤンキーおじさん達がどっから出して来たのか角材とか持って押し寄せると、よそから襲撃してきたマスク達は急いで引き上げていった。ご丁寧にナンバープレートは外してあった。

2019-08-19 01:59:38
帽子男 @alkali_acid

泡と涙と鼻水を吹いてびくんびくんするマコトを、キャサリンは抱き起す。 「マコト、マコト。気をしっかり持ちなさい」 そばにうんこ座りでヒゲのおっさんがしゃがむ。 「医者呼んだ方がいい」 「これはなんですか」 「改造スタンガン。死ぬ場合もある」

2019-08-19 02:01:36
帽子男 @alkali_acid

翻訳アプリを通すと改造スタンガンはなんか意味不明な単語になったが、どっちにしろ黄金酒の蔵の奥方には通じない。 「医者を早く」 「おい、医者呼んで来い」

2019-08-19 02:03:02
帽子男 @alkali_acid

「この団地にひとりいる。まだ学校卒業してないから、しばらく免許ないけど腕は良い。救急車より早い」 「早く」 来た。ジョンが。地元ヤンキー二人に担架持たせて。 「…ガラハ。やはり君だったのか。さっきそばまで来ていたな」 「モルティド。お久しぶりです」 「その子は?」

2019-08-19 02:08:36
帽子男 @alkali_acid

キャサリンは答えようとし、探し求めた男の後ろにふと視線をやる。 子供を抱いたジョンの妻が心配そうに後ろからついてくる。 マスク軍団への警戒より伴侶にまつわる心配が勝ったらしい。 黄金酒の蔵元の奥方はゆるやかに息を吐き、たわわな胸に白目を剥いた若者の頭を押しつけた。 「私の夫です」

2019-08-19 02:11:43
帽子男 @alkali_acid

風が吹いていた。 マコト君は草原に立って、空から槍のような岩が降るのを見ていた。 天の帯がくっきりと見える春、正しくは五つある季節のうち二の季節だが、その二の季節に新たな岩が落ちてくる。草原に深々と突き刺さり、甘い匂いをまき散らす。

2019-08-19 02:14:32
帽子男 @alkali_acid

「あのいわはどこからくるの?」 「空には岩をつくる生きものが住んでいるの」 誰かが教えてくれる。 「岩は生きものの、おやつをためておくところなの」 「どうしておちてくるの?」 「生きものの、巣わかれがおこるから。つかわなくなった岩をすてるの」 「どうして?どうしてつかわなくなるの?」

2019-08-19 02:16:30
帽子男 @alkali_acid

「マコトは知りたがりね」 「しりたいもん」 「いつか、岩のせんせいになるかしら」 「いましりたいの」 「そう。でも帰りましょう。ここに長くはいられないから」 誰かが手を引く。

2019-08-19 02:17:46
帽子男 @alkali_acid

「…おかあさ…」 はい全部が夢でした。空から岩が降るはずないよね。マコト君を気にかけてくれる女性なんかいるはずないよね。 「マコト。眼が覚めましたか」 いや全部が全部夢じゃなかった。 いるのはあの小さなアパート。寝てた。

2019-08-19 02:19:33
帽子男 @alkali_acid

「キャサリンさん?」 ピチピチ巨乳褐色姉さん女房がそばにいる。手を握っている。 「すいません記憶ないです。団地はどうしたんですか」 「火を消していました」 「そうなんですか…」 「ここには、異郷の民を嫌う地元の民がいるのだそうです」 「…すいません」 「いずこもいます」

2019-08-19 02:22:07
帽子男 @alkali_acid

「私も異郷の民は好きではありません」 「…そう、ですよね」 「異郷の民は、私から………ジョンを…奪った」 「…すいません…」 「汚らしいし、うるさいし、匂いもよくないし」 「すいませ…」 「特に男性は、ふしだらなことばかり考えて」 「…はい…」

2019-08-19 02:24:43
帽子男 @alkali_acid

キャサリンの長い指が、そっとマコト君の、まだ少年の面影をとどめた細い顎を掴んで、引き上げる。 「本当に、あんなことばかり考えているのですか」 「ときどき…」 人妻の唇がゆっくりと若者の唇に重なる。 「ときどき?」 「本当は…いつも…です…キャサリンさんが…来てからは…」

2019-08-19 02:26:41
帽子男 @alkali_acid

「私は帰らなくてはなりません。黄金酒の仕込みの時期が来ますから」 きっぱりと奥方は言った。するとかりそめの夫は腕を伸ばしてそっと相手の指をとらえた。 「行かないで下さい」 「いいえ。ここは私の暮らすべき国ではありません」 「…だったら…僕を、連れて行ってください」

2019-08-19 02:28:59
帽子男 @alkali_acid

「あなたを?」 キャサリンは考えこむようにじっとマコト君をまた眺め下した。いささかわざとらしかったが、もちろんコミュ障の年下には解るはずもなかった。 「もし連れて帰ったら。向こうであなたは契約を結ばねばなりません。さもなければ」 「はざまに落ちるか、消えるか」 「そうです」

2019-08-19 02:30:32
帽子男 @alkali_acid

「もし二年経っても契約を続ければ、たとえ異郷の民同士がただ滞在のためになしたかりそめの婚姻でも、無効とは言えなくなる」 「…ちゃんと解ってます」 「いいえ。あなたは解っていません。もっとよく教えた方がよいでしょうね。婚姻の意味を」

2019-08-19 02:33:55
帽子男 @alkali_acid

キャサリン、あるいはガラハ、黄金酒の蔵元の奥方は、まだ何も知らぬ年下の夫に、めちゃめちゃ「わからせ」た。

2019-08-19 02:35:04
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