諸国珍談奇談 第六集

松崎貴之 @gelcyz

【諸国珍談奇談】明治13年7月8日付『いろは新聞』。山形米沢の法音寺には物部守屋の頭骨が伝わる。直江兼続が集めた霊神霊仏の一つ、善光寺の如来像の厨子に納まっていたという。確かにかような像や付属宝物が今に伝来しているが果たして頭骨は…？houon.org/houonji/houmot…

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【諸国珍談奇談】明治13年10月16日付東京曙が語る火葬事情。東京の話か地方の話かわからないが「火葬場ハ上中下の差別ありて」焼き方も代価も違ったらしい。下等の場合は桶や棺から遺体を出して焼く。伝染病で死んだ場合臭気が漏れるのを嫌い出さずに焼こうとすれば上等の値段を取られたという。

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【諸国珍談奇談】明治14年2月28日付郵便報知新聞。伊藤壮平という紙細工の匠がいたらしい。煙草入れ等に加工するための蛇皮や竹の皮を伊藤は紙で拵えてしまった。竹の皮の斑点など精巧を極め、大抵の人には本物と並べても真贋が見分けられないという話が流布していたようだ。

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【諸国珍談奇談】明治24.7.9大阪毎日「蛇は大阪に限る」。「米国へ輸出する蛇は紙製木製色々あるが　中に木製にて尾を握れば全体動き　堅く握りしむれば蛇は首を振り向けて腕に巻き附く細工の蛇が一番受け宜く　又一番大阪の職工が上手なりしと　然し此の蛇を作る職工は至つて少なしと云」

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【諸国珍談奇談】明治29.3.22大阪毎日新聞「一頭三耳八足の牛」。千葉県下平群郡八束村の農、生稲（おいね）長吉方に生まれ３日で死亡。塩漬けにして東京へ送った。浅草奥山に見世物となって現れるのは数日のうちだろうとの知らせがあった。

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【諸国珍談奇談】明治29.4.8大阪毎日。引越魔といえば北斎が有名だが、国周は上をゆく引越魔だった。「今より六年前既に〔北斎の記録である〕八十二ヶ所へ移転せし由なれば今日までには恐らく百ヶ所以上にも及びつべし」。今回移転ごとに課税されることになったため「大いに心配し居るとなん」。

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【諸国珍談奇談】蝋細工の肖像会館。明治34年5月6日付東京朝日。「第五回内国勧業博覧会の副事業として肖像会館を設置するの計画あり」「蝋細工を以て古今の英雄豪傑畸人名媛に至るまで其肖像を網羅し衣服の如きも成るべく遺存のものを用ひる設計」、下関春帆楼での日清戦争講和の光景等も候補に。

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【諸国珍談奇談】当今の読書界も文盲の極度に達せしと見ゆサテ種々なる妖物の跳梁するも亦怪むに足ず就中驚くべきハ史疑といふ偽書なり徳川家康の一賤民の子なりといふことを考証せしもの…何の事やら埒も無き妄誕なり弁ずるさへも耻しき程の物と覚ゆるを重野博士の紹介に至て驚絶せり…/東朝M35.4.28

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【諸国珍談奇談】鬼婆遺物展覧会、開催。明治35年5月15日付『東京朝日』。4月21日より5月21日までとの看板を掲げ浅草の正智院境内に「福島県安達郡二本松在大平村観世寺」の宝物という鬼婆ゆかりなる珍妙な品々が集結。出刃包丁、鍋や器、鬼婆の遺骸を埋めた鍬など。霊験ある観音像も出展。

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【諸国珍談奇談】親の因果が子に報いと獣首人身の嬰児のアルコール漬を見世物となし居たる下谷竹町の高田安千代（43）は其嬰児の実は人間ならずして猿の嬰児の皮を剥ぎしものと分り禁止を命ぜらる/萬朝報M37.7.10

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【諸国珍談奇談】印度産ケツカイ獣（興行人武井利作）大人小人共一銭で此怪獣は大さ小猴の如く顔は猫、口中二枚の舌あり手足は猴に似て毛は逆毛と云ふ珍奇の動物である/旧湊川新橋跡の昨今、『神戸又新日報』M37.7.19

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【諸国珍談奇談】蛇に蛙を呑ませる観物を諸処にて興行したる下谷竹町加藤政吉は昨日禁止を命ぜられ始末書を徴せらる/萬朝報M37.7.23

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【諸国珍談奇談】明治38.6.6付『中央新聞』。「昨年二月日露海戦の劈頭戦に於て名誉の戦死を遂げたる士官候補生梶村文雄が敵弾の為めに睾丸を浚はれ『残念露助！睾丸を拾つて来い』と絶叫せし壮烈談は当時嘖々たりしが…」

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【諸国珍談奇談】九耳の猫。「九尾の狐とは聞いた事あれど九耳の猫とは珍らし巌手県一関町字前川戸に住む及川某の飼猫が此春生落せるは頭の上に九ツの耳ある奇猫にて完全に生育し居るより動物園か珍世界に寄附する積なり」/萬朝報M39.8.29

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【諸国珍談奇談】埼玉県入間郡川越町…大澤達四郎（41）は一昨日、北多摩郡五日市村の熊野神社の大祭に猫の死体を河童なりと称し観物となし居たるより五日市分署に引致され科料金1円50銭に/都新聞M39.10.5

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【諸国珍談奇談】「天からハ人糞床下にハ爆薬」埼玉県大里郡寄居町なる上武鉄道停車場構内の舎宅に住む工夫監督小池道之助…日頃配下の工夫を冷酷に使い大変恨みを買っていた。家に小石が投げ込まれ、それが人糞入りビール瓶へエスカレート、火薬詰めビール瓶まで投げ込まれ爆発騒ぎに/都新聞M39.10.21

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【諸国珍談奇談】未曾有の大海老。「土人ハ龍鬼と称し魔神の如く恐れ居りしもの」という台湾産の大海老が浅草で見世物になった。「全身に淡紫色の斑点あり足先に金毛を生じ惣丈五尺八寸余」、10月28日から中川館で展示され、11月3日までに1200人もの観客を集めた/都新聞M39.10.26 + 11.3

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【諸国珍談奇談】明治39年のサンタ。本郷壱岐坂教会にて「麦藁帽子の大なるを戴き黒き着物に白鬚の老人現はれ『我れハ神の使なり神様の云ふにハ勉強したものにハ沢山御褒美を上げよ怠けたものにハ少しやれとの事なれど皆さんハ不平を云つてハなりません皆さん一同笑つて別れませう』後略」/萬朝報12.26

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【諸国珍談奇談】「昨日は初金比羅とて芝虎の門の同神社にては（中略）額堂の傍には人体解剖の見世物あり（後略）」/都新聞M40.1.11

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【諸国珍談奇談】明治40年5月3日付『都新聞』「人面獣体の豚の児　珍世界に出づ」。「本年三月廿二日千葉県香取郡笹倉村倉田宇三郎の養豚場に出産し同月廿四日各新聞に記されたる人面獣体の豚の児は今は学術参考品として浅草公園珍世界に出陳したり」

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【諸国珍談奇談】ふんどしコレクター。東京の団子坂に梶森寛堂というふんどしの収集家がいた。彼のコレクションには吉良上野介、高橋泥舟、井上馨、大村益次郎、清水次郎長といった著名人のふんどしもあったという。『神戸新聞』M40.6.10。どうやって集めたのか、集めてどうしたのか、気になり過ぎる。

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【諸国珍談奇談】どこかで同じような話を見聞きした覚えがある。明治41.7.8『神戸新聞』「首縊縄を売薬店で売る/西濃地方の迷信」。首吊りに使われた縄の黒焼きが癲癇の妙薬として秘密裡に高価で取引されているという話。一筋で70円から80円。ここでは大垣を中心とする西濃地方での迷信とされている。

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「首吊り　黒焼き」でググると梶井基次郎の「のんきな患者」にそういう一節があるようだ。青空文庫に入っているのですぐチェックできる。確かにあるな。作家の完全創作ではなく、巷間言われていた迷信を作中に取り入れたということか。aozora.gr.jp/cards/000074/f…

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【諸国珍談奇談】明治43.10.20付「報知新聞」夕刊（19日発行）。情報が渋滞を起こす「人魚標本の輸出」記事。シカゴ市動物園のため、全長約2.4m、1.2ｍの「人魚の彫刻」を都合3個、仙台市の彫刻師が横浜の貿易商の注文で製作、送付したという。（続 pic.twitter.com/q1FbvHP96I

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【諸国珍談奇談】明治43.10.25付「萬朝報」。愛媛県の74歳の老女の額の真ん中に7月頃から角が生え始め、一寸（約30cm）以上！になった。利に抜け目ない香具師がさっそく50円で売ってくれと家族への交渉にやってきたという。 pic.twitter.com/wJMVrH8aQF

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