【横山光輝「三国志」講座239「奇怪な老人」】

横山光輝「三国志」を一話ずつ解説してみようというコーナー。第239話「奇怪な老人」の巻。 ※解説はbotさんの個人的見解です。 ※今回の話は、大判・横山光輝「三国志」第13巻に収録されています。
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横山光輝「三国志」武将かるた_bot @yms_karuta

【横山光輝「三国志」講座239「奇怪な老人」01】 第239話です。とりあえず、とはいえ和睦した魏と呉。曹操は漢中も平定し、呉からも年々の貢物を誓わせたという大戦果をあげることができました。都に帰ると魏王を名乗り、鄴郡(ぎょうぐん)に魏王宮の建設を始めます。

2019-09-06 16:20:03
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【横山光輝「三国志」講座239「奇怪な老人」02】 建安21年10月に魏王宮は完成します。曹操はその完成を祝う祝宴のため、各州に特色ある名物珍味を献上するよう通達を出します。魏国内だけでなく、呉の孫権も温州の蜜柑を四十荷、人夫に担がせてはるばる都へ送りました。

2019-09-06 16:23:00
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【横山光輝「三国志」講座239「奇怪な老人」03】 温州蜜柑は美味天下に有名だったようです。荷車とか馬車に載せずに、あえて人に担がせたのは、大事な献上品を傷めないようにするためでしょうか。途中、船も使ったかもしれませんが、基本人力で大事に運んだようです。

2019-09-06 16:25:47
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【横山光輝「三国志」講座239「奇怪な老人」04】 何日もかけて移動する蜜柑輸送隊。途中で休憩をはさみながら移動します。使者の役人は、それにしても、天下の美味を一堂に集めての祝宴とは、と曹操の威光を見せつけるような行為に半ば呆れ顔をしています。

2019-09-06 16:27:50
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【横山光輝「三国志」講座239「奇怪な老人」05】 そんな折、一人の老人が輸送隊に近づいて話しかけてきます。お疲れのようで、というおじいさんに対し、疲れたとも、都までまだ千里もあるくたびれる旅をしているという輸送隊メンバーに、わしも手伝ってやると荷物を背負うおじいさん。

2019-09-06 16:29:55
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【横山光輝「三国志」講座239「奇怪な老人」06】 大丈夫かと心配する輸送隊メンバーたちでしたが、横目に、こんなものはわしにとっては軽いものじゃ、との答えに、元気なじいさんよ、と笑い合います。出発の合図とともに、おじいさんも荷物を背負ったままついてきます。

2019-09-06 16:31:40
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【横山光輝「三国志」講座239「奇怪な老人」07】 山道を息を切らせながら登る輸送隊。輸送隊の一人に疲れたようだから自分のを担げ、とおじいさんは荷物を交換します。すると、荷物が軽くなっています。途中で荷物の中身を落とした様子はないのに、どうしてこんなに軽いのか、と不思議な様子。

2019-09-06 16:33:28
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【横山光輝「三国志」講座239「奇怪な老人」08】 おじいさんは、次々に荷物を取り替えてやると、足取りが軽くなった荷駄隊は、旅をつづけ、ついに魏王宮に到着。いやあ、助かったよ、という荷駄隊のメンバーに、一体あんたは誰じゃ、と今更ながら聞かれるおじいさん。

2019-09-06 16:35:35
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【横山光輝「三国志」講座239「奇怪な老人」09】 自分は魏王曹操の同郷の友で、左慈、字は元方、と名乗ります。曹操に会ったら話してみろ、覚えているかもしれんと言って、ではこれで、と立ち去ります。 さて、温州蜜柑が呉から届いたと曹操に報告。あれはうまいと一つ持ってくるように言います。

2019-09-06 16:37:45
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【横山光輝「三国志」講座239「奇怪な老人」10】 うやうやしく運ばれてくる温州蜜柑。側近が、温州蜜柑でございます、と曹操に渡します。曹操は、これはなんともいえぬ甘味でのう、と皮をむこうとしますが、様子がおかしいです。皮しか無い、他の蜜柑も見てみますが、どれもこれも皮ばかり…。

2019-09-06 16:39:23
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【横山光輝「三国志」講座239「奇怪な老人」11】 どういうことだ、と奉行を呼びつける曹操。しかし呼び出された奉行もどういうことかさっぱりわかりません。曹操は、確かに温州蜜柑で傷もついていないのに、むいてみると中身がない。奉行も実際に見て驚くばかり。

2019-09-06 16:40:51
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【横山光輝「三国志」講座239「奇怪な老人」12】 蜜柑を運ぶ途中になにかあったか、と曹操に尋ねられた奉行は、何もなかったと思いつつ、老人が若い者に負けぬ力で荷を担いでくれたことを思い出します。曹操と同郷で左慈と名乗っていたと言いますが、曹操は思い出せない様子です。

2019-09-06 16:42:37
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【横山光輝「三国志」講座239「奇怪な老人」13】 そこに左慈本人が曹操に会いにやってきました。曹操は目通りを許します。左慈は温州蜜柑を見て、これ見事な温州蜜柑というと、曹操は見た目は見事だが中身はないと答えます。一ついただいてもいいかと、左慈。こんなものくれてやる、と曹操。

2019-09-06 16:44:30
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【横山光輝「三国志」講座239「奇怪な老人」14】 中身がない蜜柑を剥くのをみて笑うつもりでしたのでしょうが、左慈が蜜柑をむくと、汁がしたたり落ちてきます。これはうまいと左慈。酒と肉を食べた後、口直しに蜜柑を食べると更に美味、と言い出します。わけが分からぬ曹操は、酒と肉を用意させます。

2019-09-06 16:48:21
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【横山光輝「三国志」講座239「奇怪な老人」15】 二人がかりで持ってきた大きな瓶に入った酒と、子豚だか羊だかの丸焼きの肉が左慈の前に出されます。左慈は瓶を軽々と持ち上げ、ゴックンゴックンと酒を一気飲みしたかと思うと、ムシャムシャと肉を食べ始め、あっという間に平らげてしまいます。

2019-09-06 16:51:43
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【横山光輝「三国志」講座239「奇怪な老人」16】 もうないのか、という左慈を見て、曹操はこれは凡人ではない、と仙術の心得があるのかと尋ねます。左慈は、蛾眉山中に入って30年修行して仙術を悟ったと言います。

2019-09-06 16:53:19
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【横山光輝「三国志」講座239「奇怪な老人」17】 で、肝心の要件です。曹操は位人臣の最高を極めたが、これ以上の欲望は地上の人間の望むことではない、と左慈。ここで一つ、官途(かんと)から身を退き、左慈の弟子となって峨眉山に入って無限に生きる修行をしないか、と言います。

2019-09-06 16:55:44
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【横山光輝「三国志」講座239「奇怪な老人」18】 秦の始皇帝が最後に望んだのは永遠の命であったことは有名なエピソードですが、最高を極めた為政者にとって、不老不死は何ものにも代えがたい魅力を持っています。曹操も、それも一理ある、と答えます。

2019-09-06 16:57:47
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【横山光輝「三国志」講座239「奇怪な老人」19】 しかし、天下はまだ治まっておらず、また自分に代わって天下を治められる人間も見当たらない、と曹操。左慈は、劉備玄徳に任せれば曹操よりも万民は安んじ、朝廷も安心になるだろうと言い出します。この発言は曹操は見逃すことはできません。

2019-09-06 16:59:22
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【横山光輝「三国志」講座239「奇怪な老人」20】 よりによって劉備玄徳に天下を任せろとは、玄徳の回し者かと、左慈を捕らえるように命じます。兵士達によって後ろ手に縄を縛られた左慈。曹操は玄徳に何を命令され、何をしに来たのか吐かせろ、と命じますが、左慈は高笑いしながら牢へ向かいます。

2019-09-06 17:02:17
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【横山光輝「三国志」講座239「奇怪な老人」21】 役人たちは左慈を拷問によって自白させようとしますが、何度棒で打っても左慈は高笑い。しまいには役人の方が疲れ切ってしまいます。ならばと、眠らせない策に出ます。立ったまま柱に鎖で縛られた左慈。白状するまで一睡もさせないと言い牢を出る役人。

2019-09-06 17:05:16
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【横山光輝「三国志」講座239「奇怪な老人」22】 ところがしばらくしなうちに牢屋の中からいびきが。眠らせるなと牢の中を見ると、なんと左慈は鎖から抜け出し、横になってぐっすり眠っているではないですか。牢役人は自分たちの手にはおえん、と曹操に報告することに。

2019-09-06 17:06:43
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【横山光輝「三国志」講座239「奇怪な老人」23】 拷問も鎖も使えないのならば、と曹操は左慈にこれからは水も食事も与えるな、と兵糧攻め。こうして左慈の牢は堅く閉ざされ一週間ほど放置されます。ところが、まいるどころか、ますます血色がよくなっているとの報告。

2019-09-06 17:08:12
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【横山光輝「三国志」講座239「奇怪な老人」24】 曹操は直接見てやると、牢獄へ向かいます。扉を開けると左慈が元気な様子です。お前は魔か人間か、と曹操は尋ねます。左慈は、一日千疋の羊を食べてもまだ食えるし、十年食わずにいても飢えることはない、と仙術マスターらしい特殊能力を披露。

2019-09-06 17:10:16
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【横山光輝「三国志」講座239「奇怪な老人」25】 そういう人間に向かって曹操のしていることは、天に向かって唾するようなもの、と言います。口の減らない奴、と負け惜しみを言う曹操。閉じ込めておけ、というのが精一杯です。そんな曹操に高笑いで答える左慈。

2019-09-06 17:11:59