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茂木健一郎
@kenichiromogi
小林秀雄は、おいしいものが大好きだったが、店にふらっと入って、店主に、「なにかおいしいものはあるかい」と任せるスタイルだったという。この店の何かが美味しいということを聞きつけて、それを目当てにいくことはなかった。
2019-09-21 07:20:03
茂木健一郎
@kenichiromogi
ある店のこの料理が評判だと聞いてでかけていくのは、ある種の「答え合わせ」になってしまうかたちになる。こういうおいしいものがあるのか、じゃあ、行ってみよう、ああ、確かにおいしかった。小林秀雄は、そのようなことはしなかったという。
2019-09-21 07:20:59
茂木健一郎
@kenichiromogi
店主に、「なにかおいしいものはあるかい」と聞いて、それ以上は任せるというのは合理的である。その日に入っている素材が何かはわからない。それをどう料理したら一番うまいのかもわからない。それを知っているのは店主であり、だから小林秀雄は店主にまかせた。
2019-09-21 07:21:51
茂木健一郎
@kenichiromogi
今、国際的にも日本の「おまかせ」が流行ってきているけれども、客が料理をこれだというよりも、むしろその日の一番良い素材、料理を知っている店主にまかせた方が合理的なところがある。小林秀雄は、「おまかせ」の達人でもあった。
2019-09-21 07:22:58
茂木健一郎
@kenichiromogi
ふらりと入った店で、「なにかおいしいものはあるかい」と尋ねる小林秀雄のやり方はまた、未知のもの、自分が知らないことに対する一つの心の持ち方でもある。自分の心の中に空白をつくり、そこになにかを招き入れる、そのようなことができる人であった。
2019-09-21 07:24:20