10周年のSPコンテンツ!
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イカゴジラ @pascal_syan
『レディース、エーンド、ジェントルメェーン!!』 高らかに、そして元気いっぱいに。 『ついに、ついに!このときがやって参りました!皆様お待ちかねの、決勝トーナメントでございますッ!』 観客たちの歓声。 『本日はここ、アロワナモールから、熱戦の様子をお送りいたします!』
イカゴジラ @pascal_syan
アロワナモール。 ナワバリバトルのフィールドのひとつ。ショッピングモールの一角を改装している。縦長のフィールドを、左右に見晴らしのいい高台で囲む形となっている。スタート地点から迂回路を通るか、一部の壁を塗ることで、高台に登ることができる。
イカゴジラ @pascal_syan
臨時の観客席が設けられ、テレビ・ネット中継ももちろん完備。 サイキョー杯の本番は、今始まったと言ってもいい。一万組の中から選ばれた四組が、頂点を争うのだ。 『トーナメント第一戦は、フライ・オクト・フライ 対 チーム・サキモリ となります!』
イカゴジラ @pascal_syan
リスポーン地点に、それぞれ両チームが立つ。 「ハチーーーーーーッッッッ!!!!!!!!!!!!!!」 フィールドに爆音が轟く。今回もテンタクルズが応援に駆けつけたようだ。 『果たしてどちらが勝ち進むのでしょうかッ!?それでは、試合開始ですーーーーーー!!!』
イカゴジラ @pascal_syan
両者、一斉にスタート。自陣を塗り固めながら、中央を目指す。ほぼ同時に中央エリアへ到着し、早くも激戦が開始された。 「無理に攻め込むな!」 ゴトーが叫ぶ。 「向こうはトラップ地獄だ!処理してから進むぞ!」 「了解、アニキ!」
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「処理ってどっちの話なのかな?」 「!?」 ゴトーたちの背後に、クライスが立っていた。 「お、お前、いつの間に…!?」 「トラップかな?それとも……」 ブキの銃口を向ける。 「俺たちのことかな?」 トリガーを引く。 爆風が閃いた。
イカゴジラ @pascal_syan
ノヴァブラスターネオ。 一定距離を進んだあとに爆発する弾丸が特徴の、ブラスター種のブキだ。直撃はもちろん、爆発したときの爆風でもダメージを与えられるので、壁裏の敵などに攻撃を当てやすい。 ノヴァブラスターは、ブラスター種の中でも特に射程が短い。その代わり、火力は凶悪だ。
イカゴジラ @pascal_syan
サブはトラップ、スペシャルはキューバンボムピッチャー。丸っこい愛らしい見た目とは裏腹の凶悪な火力と、守りに適したサブスペシャルの組み合わせ。実に彼らしいチョイスと言えるだろう。 彼の弾丸はロックに直撃し、爆風がゴトーを掠めた。爆風だけでは敵は倒せないが……
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突如、上空から弧を描きながら、砲撃が飛来した。 「うおおおーーっ!!??」 ロックにつづき、ゴトーも撃沈。高台の上からのアヤメの砲撃が、すかさず彼を仕留めたのだ。 「サンキューっす」 「いいから前に進みなさい」 「はいはーい」
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サキモリの三人の騎士は前進する。無口な双子たちのブキは、スパイガジェット。ノヴァブラスター特有の連射の隙を、黒い傘でカバーしながら、トラップを続々と設置していく。フライオクトの四人はなんとか前線を保とうとするが、徐々に押されてきた。
イカゴジラ @pascal_syan
トラップと爆風と爆撃が吹き荒れる中、ナナイは気づいた。 ハチの様子がおかしい。 いつもならこんな劣勢、すぐに押し返せるはずなのに……どうも、ハチの動きが鈍いのだ。いつもより多く汗をかいているし、彼女も頑張っているのだろう。 だが、いつものような、動きのキレがない。
イカゴジラ @pascal_syan
ゴトーやロックたちも、何だか足取りがフラフラしているような……みんな、思うように立ち回れていない? 「う……!?」 ぐら、と、体の軸がぶれる感覚がした。目眩?どうして?さっきまで、なんともなかった、のに…… 「あれあれー?なんか調子悪い?」
イカゴジラ @pascal_syan
王者シグルイを破ったあのハチを、いとも簡単に撃破してみせた。 「思ったより呆気ないなあ〜。昨日ちゃんと寝た?それともあれはマグレだったのかな?」 ナナイは自らの身体に鞭打つように、ブキを持つ手に力を込めた。 「ハチを馬鹿にしないで!」
イカゴジラ @pascal_syan
「駄目だ!ナナイ!突っ込むんじゃねえ……!」 ゴトーの叫びも虚しく、トラップと砲撃の嵐の前に、ナナイは散っていった。 『何という、圧倒的!一方的な試合展開でしょうか!あのフライ・オクト・フライが、手も足も出ませんッ!ど、どうなっているんだーっ!?』
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試合終了のホイッスルが鳴り響く。 『ああーっと!試合終了です!フィールドの8割が、サキモリの色に染められてしまいました……!フライ・オクト・フライ、ここで敗退です……ッ!!』 悲痛なアナウンスを他所に。 「……ハチちゃん!ハチちゃんっ……!」 「お、おい、どうした?」
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「ハチちゃんが、ぐったりしてて…返事しないの!!」 ナナイの腕の中に、ハチが倒れていた。 「おい、ハチーッ!!」 テンタクルズの二人が、観客席のライブステージから飛び降りてきた。すぐにハチの元へ駆け寄る。 「きゅ、救急!救急呼べッ!」 ゴトーが叫ぶ。
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会場がざわつく。スタッフが多数駆け寄る。少しして、担架が運ばれてきた。担架に乗せられて、ハチはフィールドから退場する。チームメイトやテンタクルズが付き添っていく。 騒然とする中、どこ吹く風といったふうに、サキモリの面々は立ち去っていく。
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「……なんか、おかしいよ……」 例のカフェの一角で、サキたちは生中継を見ていた。 「手も足も出ないどころか、急に倒れちゃうなんて……やっぱりなんか変だよ!」 ヨーコは頷く。 「ハチ、強い。あれ、絶対、変なのね……!」
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「恐らく」 シグルイは腕組みをしながら、 「インクに何かを仕込んでいるのだろう。攻撃を受けるたび、少しずつ動きが鈍っていったように見えた」 「そ、そんなことしたら、不正ですよ!失格ですよね!?」 サキが怒りの声をあげる。 「なんで誰も何も言わないんですか!?」
イカゴジラ @pascal_syan
「声をあげたところで、金や権力を使って揉み消されるのがオチだ。だから誰も手を出せない……」 「う、うぐ……汚い……」 「そう。ヤツらの手口は汚い。誰も手を出せないのをいいことに、好き放題にしているのだ」 四人全員が、胸のうちに憤怒を宿していた。
イカゴジラ @pascal_syan
「なんだぁ、あいつら!」 カマトットの面々も似たような心境だった。 「絶対っっおかしい!絶対!!」 アカネは苛立ちを素直に吐き出していた。 シローも、もやもやとした気持ちだった。あのシグルイさんを破ったハチさんが、あんなにもあっさりやられるなんて。
イカゴジラ @pascal_syan
「こりゃ、裏に何かあるわな」 エースケが呟く。 「もしあたいたちが、明日の試合で勝って、あいつらと戦うことになったら……」 アカネは勢いよく立ち上がった。 「ボコボコにしてやる!徹底的にな!フライオクトの分も、フシチョーの分もまとめて!!」
イカゴジラ @pascal_syan
全員が頷く。 「その前に、シグルイたちをボコボコにしないとだけどなッ!」 「ま、まあね、そうだよね」 「作戦はバッチリだ!あとは気合いだよ!どんなアホ晒そうが、あいつらには絶っっ対勝つ!負けっぱなしじゃカマトットの名が泣くからねっ!!!!」
イカゴジラ @pascal_syan
「やろう、ねーちゃん!」 「狙うは優勝だ、姉御!」 「私も全力出すよ。カステラに誓って……!」 決意を新たに、挑戦者たちは、戦いの舞台へと向かう。 翌日。 決勝トーナメント第二戦が、幕を開ける……!!
イカゴジラ @pascal_syan
『さあさあさあ、やってきましたッ!フェスでの熱戦が、蘇ろうとしています!王者と挑戦者が、再び相まみえたのはこの、決勝トーナメントです!何という偶然!いや、必然だったのかもしれません……!』 これでもか、と、アナウンスが観客たちの興奮を煽り立てる。
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