ぱすイカ二次創作③

ぱすかる❄ @pascal_syan

そして……何日が経っただろうか。ナワバリして、ご飯食べて、寝て、またナワバリバトルして、ご飯食べて、寝て……それ以外、特に何もなし。いつも通りの生活が流れていった。サキの場合、時折「バイト」があったが、それも日常のひとつ。 今日も何事もなく終わるだろうと、そう思っていた。

ぱすかる❄ @pascal_syan

「サキ、今日、用事アル？」 「用事？今日はシフト～……無いね。予定も特になし。暇だよ。どしたの？」 「コノアイダ、話シタコト。ワタシ、トモダチ、紹介シタイノ、覚エテル？」 「あー、ええっとー……」 思い出すような仕草。 「ああ、プライベートマッチしようって話ね！」 「ソレネ～」

ぱすかる❄ @pascal_syan

「実ハ、今日ヤルノ。チョット急、ソレデモ、ダイジョーブ？」 「全然大丈夫～」 「……今カラデモ？」 「まじで急じゃん……」 「ゴメンネ……ソノヒト、忙シイ。時間、アマリ、トレナイカラ」 「今日とれただけでも奇跡って感じ？」 「ソウ、ソレデス」 「なんかすごそうな人だなあ」

ぱすかる❄ @pascal_syan

「場所は？」 「Bバスパーク、現地、集マルデス」 「よかった～近場で！じゃあ行こっか、相手待たせたらいけないし」 会場に向かって歩き出す。 「ヨーコの友達っていうからには、すごく強かったりして」 「スゴイ、スゴクツヨイ。デモ……」 「でも？」

ぱすかる❄ @pascal_syan

「…………」 サングラスの下の表情は、伺い知れない。だが、彼女がとても真剣なのは、すぐに分かった。 「もしかして……ライバルだったり？」 「ソ、ソーネ、ライバルネ！」 「友達でライバルかあ……燃えるじゃん！なんかこっちまで興奮してきた！全然関係ないのに！」 「そ、そう……？」

ぱすかる❄ @pascal_syan

「ライバル、……ライバルねえ。こりゃ、手を抜いたらお相手に失礼かな。今日の私は本気で行くよ！」 「サキ、分カルノ早イ、助カルデス！」 「ヨーコ、絶対勝とうね。ま、まあ、友達の友達だけど……ヨーコのライバルは私のライバルみたいなものだし！？」 「エイエイオー、デス！」

ぱすかる❄ @pascal_syan

ヨーコは、どこか安堵したような表情を浮かべていた。まるで、胸のつかえが取れたかのよう。心強い一言に、背中を押された……そんな気持ちが、ヨーコを奮い立てた。また、サキも、奮起していた。やる気に満ち溢れていた。今の私なら、なんだって出来ちゃうかもしれない！そんな気さえしていた。

ぱすかる❄ @pascal_syan

「さあ、準備完了！ブキ、よーし、ギア、よーし、やる気は？」 「ヨーシ！」 「あとは、相手を、待つだけっ！」 ちょっとした静寂。 「……来ないね」 「モーチョット、ラシイネ。」 「そっかあ。忙しい人なら、遅刻したってしょうがないよねえ」

ぱすかる❄ @pascal_syan

Bバスパーク。スケートボードの練習場である。そのため、起伏が激しい地形となっている。段差は勿論、独特のカーブがかった壁面が厄介だ。 中央には小高いタワーが立っている。チャージャー等の遠距離ブキは高台を取りたがるので、高台をイカに攻めるかがカギだ。

ぱすかる❄ @pascal_syan

また、敵陣の裏取りがしやすい構造なので、うまくいけば挟み撃ちにできる。だが、それは敵も同じ。防衛を疎かにしていると、いつの間にかこちらが挟み撃ちにされていることも。一ヶ所に留まらず、常にフィールド全体を警戒した方がいいだろう。

ぱすかる❄ @pascal_syan

「そういえばこれ、2対2？」 「ソウナノネ」 「うーん、パブロで大丈夫だと思う～？」 「使ウ、慣レタホウ、イイデス」 「パブロか銀モデなんだよね。ここ、カーリングちょっとやりづらくてさあ…」 「カーブ、ツライ、分カル」 「パブロのほうが動きやすいんだよね。それに、塗りにおいては最強だし」

ぱすかる❄ @pascal_syan

パブロ。筆の形をしたユニークなブキだ。筆を左右に高速で振り、インクを撒き散らす。射程はかなり短い。一発の威力もそこそこだ。相手を倒すには、かなり近づかなければならないし、素早く筆を振らなければならない。聞いているだけでも、なんだか疲れそうだ。実際疲れる。

ぱすかる❄ @pascal_syan

だが、筆の穂先を地面に押し付け、細いインクのラインを描きながら、ヒト形態のまま高速で走り回ることができる。イカダッシュほどではないが、それに迫るほどの速さ。機動力では全ブキ最強と言ってもいいだろう。

ぱすかる❄ @pascal_syan

スペシャルウェポンはスーパーチャクチ。筆の振りだけで仕留められなかった相手にトドメを刺したり、囲まれたときに爆風を目眩ましにして逃げたり……使い方は多岐にわたる。 機動の高さを活かし、敵陣へ潜入したり、奇襲したりすることもできる。貧弱そうに見えて、ユニークな戦いかたができる。

ぱすかる❄ @pascal_syan

だが、肝心の火力について。火力は筆の振りの速さに依存している。せっかく敵の懐へ潜り込んでも、筆の振りが遅ければ、仕留められずに返り討ちにされてしまう。 サキの筆振りの速さは……平均よりもちょっと下くらい。油断してる相手くらいしか叩けないだろう。

ぱすかる❄ @pascal_syan

「でもねえ、使ってみれば分かるんだけど、塗り広げるのはこいつが一番速いから。マジで」 「ホント？」 「私の、腕がっ、よければっ、たぶん、ボールド、越えるんじゃっ、ないっ？」 金属バットのように、パブロを素振りする。

ぱすかる❄ @pascal_syan

対して、ヨーコの持ちブキは、スパッタリー・クリア。スパッタリーのマイナーチェンジモデルだ(この間のヒューもその一種)。メインの性能はそのままに、サブウェポンとスペシャルウェポンを変更している。

ぱすかる❄ @pascal_syan

「スパッタリー、好きだね～」 「ココ、カワイイ。ダイスキヨ」 スライドするための噴射口が歯ブラシの形をしているのが、スパッタリーシリーズの特徴だ。なぜ歯ブラシなのかは、知る由もない。このブキの開発者に尋ねてほしい。

ぱすかる❄ @pascal_syan

「……なかなか来ないね」 「ウーン、ソウナノネ」 忙しい人とはいえ、流石にいかがなものか。ヨーコの友達兼ライバルだから言わないでおくが、赤の他人だったら嫌味のひとつでも言いたいところだ。 「ア、来タヨ！」 噂をすれば。さて、どんなヤツが来るんだろう？姑のような気持ちになるサキ。

ぱすかる❄ @pascal_syan

遠くから見るに、男性二人組のようだ。 「サキ、アノネ」 「なに？」 「実ハ、2人、サイキョー杯、同ジチームネ」 「え、ま、マジで！？チームメイト！？友達でライバルでチームメイト！？関係性が濃すぎない！？ていうかチーム結成おめでとう！！よかったじゃん！」 「エ、エヘヘ」

ぱすかる❄ @pascal_syan

「ソレデネ、……ソノ、アトヒトリ、マダ足リナイデス」 「あらまあ～……早く見つかるといいね」 「ダカラネ、……アノネ、」 「？ だから、何？」 ヨーコにしては珍しく、もじもじと言葉を濁している。向こうから二人組が近づいてくる。まるで、時限爆弾のタイマーが近づいてくるような……

ぱすかる❄ @pascal_syan

「お前が、最後の一人になってほしい」 二人組のうちの片方の声が、サキの背後から聞こえた。ヨーコの言葉の先を補うかのように。 「……そういうことだろう？」 「シグルイ……」 「はっ？」 サキは、ゆっくりと背後を振り返る。

ぱすかる❄ @pascal_syan

二人のうち、一人の顔は、ついこの間見たことがある。オクトーだ。見知った顔に少しだけ安堵しかけたが……もう一人の男の存在が、それを許さなかった。 オクトーを引き連れて現れるということは。 ヨーコが呼んだ名前は。 テレビや雑誌、噂話でしか見たことのない、幻の中の幻……

ぱすかる❄ @pascal_syan

「シ、シ、シ、あわ、ああわわわっ……」 言葉がうまく出てこない。 あの、あのシグルイが、どういうわけか、自分の目の前にいるのだから！ 許されるなら、口から泡を吹きながら卒倒したい。オーラが余りにも神々しくて、目が潰れそうだ。眩しい。後光が見える。幻覚だ。目が回る……！

ぱすかる❄ @pascal_syan

というか、待って。この二人が、ヨーコのチームメイト？最強じゃないか！裏でこんな、こんなものすごい人をスカウトしていたなんて、なんて強かなんだろう。流石ヨーコだ。そのうえ最後の一人に、この、この私を招きたいときた。なんと斬新な発想だろう！なかなかできることじゃない。こんなの、